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エッセイ〜全てはバイパスドライブインから〜

二本松の夜

 3月。春と冬がせめぎ合うような時期なのかも。この日も夜中雪が降り、翌日にちょっと積もった。昨晩のことではあるが思い出しながら書いてみる。



 友人、幕田卓馬くんとお馴染みの二本松『バイパスドライブイン』に車で向かっていた頃にはまだ降雪はなかった。ドライブインの駐車場には既にびっしりと自動車が並んでいて、県外ナンバーの中に『長崎』という字を見つけた時の驚き。テレビの力はすごい。幸い窓際の席は空いていて幕田くんは「カツカレー」、こちらは「モツ煮ラーメン」という変わり種を注文し、着席するや否やお互いの「活動」の様子を確認し合う。



幕:「自分が書きたいと思うものってなかなか評価されないというか、、やっぱちょっと需要と合ってないんだなってのは感じる」


な:「いつか時間差で伝わることもあるんじゃないかな」



正確ではないものの概ねこういうニュアンスのやり取り。この直前に幕田くんのXに「火を見て、日々を観る」を評価している人の投稿を発見していたり、評価が即座にではないパターンは意外とあるように感じている。悩みとはまではゆかないにしろ、そういう葛藤の中で書かざるを得ないのは多くの人に共通の話だと思うし、励まし励まされの日々という感じもある。



 そんな話を交わしている間に『モツ煮ラーメン』が盆で運ばれてきて、そのボリュームに圧倒され一口目からちょっとした感動があるラーメンだった。バイパスドライブインでは意外と話をしていても周りの目を気にしなくていい雰囲気があって、タオルや桶を抱えたお風呂目当てでやってきたらしい人も見掛けたり、『フリーダム』は特徴の一つかも知れない。幕田くんのカツカレーも『安心する味』だったそうで、メニューの豊富さも魅力なんだなと再確認。友人が長編を完結させてからも楽しんで新作に取り組んでいる様子が分かったので安心している部分もある。




一時間ほど滞在して、次の目的地へ移動した。



 場所は二本松駅。ロータリーの隣の有料の駐車場を降りて徒歩で1分という距離にある、



『Livespot SOLA』さん



に到着。ここは2020年5月にオープンしたライブハウス(ライブパブ)。その年に一度一人で入ってみたことがありコロナ禍を経て、2023年の2月にこの場所をモデルにした『空を見上げた気持ち』という短編を書いたことがある。2020年の時にはライブを観たというよりは夕方のフリーな時間にカラオケとかをさせて貰ったという感じなので、夜はどんな感じなのか実は『未知』の体験であった。地下へ通じる階段を降りている間にもギターの音楽が響いてきている。



「ああ、こういう感じなのか!」



 初体験の幕田くんも既に感激している様子。入店すると既に席が埋まっている『盛況』の状態で、お客さんはみんなライトアップされたステージの方を見ていた。驚きなのが一日2000円、ワンドリンクというシステム。この日は「SOLAオープンライブ」という催しで、事前に予約して1組につき20分程度で自由に弾き語り、バンド演奏のライブをすることができるらしい。後方の席に二人で着席すると、相席でテーブルにいた二人も後で演奏する予定になっていると教えていただいた。『地元』ということも大いに影響していると思うけれど、着席した瞬間にアットホームというような感覚があり心地良かった。ただ演者は遠くは『山形』、『須賀川』、『郡山』と多様な場所から遠征してきているという話を伺って、そこは想像以上だったと告白しておく。



 ビートルズのカバーのバンド演奏に始まり、男性の弾き語りのオリジナル、女性と男性のデュオのグループ、『小田和正』の曲を高音の美声で歌い上げる男性など、本当にあっという間に時間は過ぎてゆき、『木蓮の涙』の心にダイレクトに響いてくる歌声で、こういう風に音楽を楽しんでいる人達がいるんだと心強い気持ちになった。幕田くんもいたく感動したらしく同席していた須賀川の男性と意気投合して、



「俺たちも弾き語りでやってみるのもいいよな!」



とかなり乗り気になってくれていたのが嬉しい。二人のデュオである『ダケスタリスク』の曲の「夜の道」、「花に酔い」、「道の上」辺りだったら練習すればなんとかなりそうな気配も感じた。本当に自由に音楽を楽しんで良い場所があるということ自体が幸運で、やっぱり歌で何かを伝えたいという気持ちというのは普遍的なものなのだと感じる。



…全てのライブ終わってから、2曲ほどカラオケさせてもらいました。『THE YELLOW MONKEY』の『JAM』と『フジファブリック』の『茜色の夕日』です。やはりああいう場所では気持ちがある曲を歌いたくなります。



 帰りには雪が結構な勢いで舞っていて、幕田くんに『郡山まで気をつけて』と自宅前で見送った。眠る前に、是非聴いていってと最後にバンド演奏してくれたザ・ブルーハーツの『情熱の薔薇』の歌詞が胸の中で熱く燃えているのを感じた。なんか色々エモい気がしている。

ユーザーである幕田卓馬くんの活動報告にもこの日の事が書かれています。興味のある方は是非そちらも。

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― 新着の感想 ―
素敵な夜……! ドライブインとライブハウスの雰囲気、そしておふたりの関係性と周りのお客さんたちとのふれあいがすごくいいなぁと思いました。 こういう夜があるから、人生って楽しいし頑張れる気がしますよね。…
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