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第三十八話:闇の探究者たち

この周囲一帯が事実上の“閉鎖区”となった現在でも、なお危険を冒して侵入しようとする人間が後を絶たない。なかには科学的好奇心から、あるいは陰謀論的な欲求やオカルト的探求心に突き動かされて、密かにフェンスを乗り越える者がいる。彼らは重装備の防護服や酸素ボンベを携行し、ドローンや計測機器を駆使して「真実を暴きたい」と意気込む。

しかし、ほとんどの者は途中で引き返すしかなくなる。理由は簡単だ。廃墟に近づいた時点で猛烈な悪臭や目の痛み、皮膚のヒリつきに耐えかね、さらには地面の湿地化による足場の崩落リスクに直面するからだ。運良くクレーターの縁にたどり着けたとしても、黒い泥とガスの吹き出しが突発的に起こり、命からがら逃げ戻るケースも珍しくない。


それでもごく一部の“探検者”は、さらに奥へと入り込み、行方不明になっていると噂される。無線連絡が途絶え、捜索隊を派遣しようにも二次被害のリスクが高すぎるため断念せざるを得ない。ごくわずかに回収された映像データの断片には、深いクレーターの縁からロープを垂らし、暗闇へ降下を試みる様子や、黒い洞窟のような空間を照らすヘッドライトの光が映り込んでいたとされるが、詳細は不明のままだ。

帰還できず消息不明となった彼らが、クレーターの底でどのような惨状に巻き込まれたのか、想像するだけで戦慄(せんりつ)を禁じ得ない。ある者は腐食性の液体に落ち、肉体が溶かされてしまったかもしれない。あるいは、さらに奥深くへ迷い込み、肉塊の“本体”に取り込まれたのか――。

とにかく、そこにヒトを拒む強烈な“力”が存在することは疑いようがなかった。もはや理屈を超えた災厄の巣窟(すくつ)――言い換えれば、“おじさんの尻の穴”が変貌を極めた果ての場所。それは人間の到達や解析を許さぬ異界そのものである。

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