プロローグ
とにかく楽しく書きたいと思います。ぜひ読んでみて下さい。
土曜日の朝、8歳になる娘と5歳の息子と家でゆっくり過ごしていた。
妻とは5歳の息子が生まれてすぐに離婚し、2人の子どもを引き取って生活していた。
毎日忙しいので、休みくらいゆっくりしたいなぁ。
そう心の中で呟いていると「お父さん、どこか行きたい!」と息子の声が。元気が有り余る子供たちのパワーに負けて、「どこに行きたい?」と反射的に答えてしまう。
そんなやりとりを後悔していると「山の上の神社のところにあるお店に行きたい。」と娘の声が。息子も「僕も行く!」と元気な声が。
よくよく娘に聞いてみると、どうもそのお店のわらび餅がおいしいらしい。
「よし、じゃあそこにしよっか。ちなみに腹減らしに歩いて登るよ。神社にお参りしたらわらび餅食べるよ~」
歩いていくことに「え~」と言いながらも嬉しそうな子どもたち。そのハイキングが全ての始まりだった。
家が山のふもとなので鳥居が立つ参道まで歩いていく。そのまま目的の神社まで続く階段を登るようになる。高くない山なので30分も歩けば目的のお店に着く予定だ。何度も登っている山なので子ども達もスタスタ登っていく。
15分ほど歩いてちょうど半分くらいまで登ったあたりで先を歩いていた息子が立ち止まり、娘と何かを話している。
「遥、大地何かあったの?」と声かけると、山林の中を指さし、「扉があるよ」との声が。指がさされた方向を見ると半開きの扉が不自然に山の中にあるのが見える。
「行ってみるね。」と言ってすぐに息子は走って扉の方へ。娘も「大地待って!」と言いながらすぐ後ろを追いかけていく。
「2人とも危ないからストップ!」と叫ぶも、2人は扉の間を抜けて、向こう側へ。
慌てて子ども達を追いかけて扉をくぐると、ギギギギギと音が聞こえてくる。振り返ると勝手に半開きの扉が閉まって、フッと消えてしまった。
「えっ」
思いがけない異世界生活のスタートだった。