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はい!こちら、中学生パトロール隊です!!  作者: 華ノ月
〈番外編〉 恐怖の脅迫状?!
88/111

6.


「今日は矢が飛んできたぁ?!」


 朝、登校してきた来斗の言葉に静也が声を上げる。傍にいる雄太も驚きの顔をしていた。


「あぁ、怪我はないんだけどさ。このちっせぇ矢が頭に当たったんだ」


 来斗がそう言って、二人に小さな矢を見せる。


「やっぱり、完全に来斗を狙っているよな……」


「そうだね……。かといって先生に相談したら大事になっちゃうし……」


 静也と雄太が矢を見ながらどうしたものかと頭の中で思案する。


「とりあえず、昼休みにみんなで相談しようぜ……」


 静也のそう提案し、昼休みに颯希たちも含めて話し合う手筈になった。




「……確かに、放っておいていい問題ではないわね……」


 昼休になり、みんなでお昼を食べながら来斗が今朝のことを話すと、亜里沙が神妙な顔でそう言葉を綴った。


「あぁ………、これ以上放っておいたら危険な感じもするな……。ところで……」


 静也がそこまで言ってある二人に視線を向ける。


「なんでお前らまでいるんだ?」


 そう言いながら視線を向けた先にいる月子と月弥に訝しげな顔をする。


「あら♪いいじゃない♪減るもんじゃないし♪」


 月子が箸で生春巻きを食べながら嬉しそうに言う。


「そうそう♪友達になったんだしさ♪あっ、月子、俺にも生春巻き頂戴♪」


 月弥がそう言って月子から生春巻きを貰う。


「……いつからお前らと友達になったんだよ……」


 静也が訝し気に言葉を綴る。


「まぁ、いいじゃないですか!大勢いた方が楽しいですしね!」


 颯希は時に気にする様子もなく、いつもの顔で言葉を綴る。


「ありがとう♪さすが颯希ちゃんだわ♪」


 月子が嬉しそうに言う。


「……で、どうするの?犯人捕まえる?」


 月弥が先程の話に戻り、そう尋ねる。


「このままにもしていけませんし……。私たちで犯人を捕まえましょう!!」


「おう!!」


 颯希が静也に顔を向け、力強く言葉を綴り、静也がその言葉に返事をする。


「……で、まずどうやって調べるんだ?」


 来斗が真剣な眼差しで言う。


「そうですね……。事件が起こっているのは来斗くんが登校している時ですからね……。とりあえず、途中から私たちも合流して一緒に登校しましょう!」


 颯希が起こっている時間帯を考えてそう案を出す。


「とりあえず、僕は美優さんの送り迎えは続けるよ」


「ありがとう。ごめんね、雄太くん」


 雄太の言葉に美優が申し訳なさそうに微笑む。


「来斗くん、登校中に不審なことが起こったり、視線を感じたらすぐに知らせてくださいね!近くに不審人物がいないか確認します!」


 颯希が力強く言う。


 こうして、来斗の身に起こっていることを防ぐために颯希と静也が犯人を見つけるために来斗と共に登校することになった。




「おはようございます!」


 次の日の朝から、颯希と静也は来斗と合流して登校するようになった。


「おはよー、颯希」

「ちーっす!」


 すでに来ていた静也と来斗に会い、三人で登校する。


「私たちと合流するまでに何も起こりませんでしたか?」


 颯希が心配そうに来斗に聞く。


「あぁ、何もなかったぜ?視線も無かったしな」


 来斗がどことなく安心しているのか、ホッとした様子で言葉を綴る。


 その三人を一つの視線が捉えている。



(……ちっ……)



 来斗たちを見ている一つの視線が心の中で舌打ちをする。


 そして、何もせずにその場を離れていった。



「とりあえず、今日は何も起こらなかったね」


 雄太が安心したように言葉を綴る。


 一組は一限目の授業が体育のため、静也たちは体操服に着替えて運動場に向かった。三人で並んで歩く。運動場に着き、体をほぐしている時だった。



 ――――バコーン!!



 突然、ドッジボールが来斗の顔面を直撃した。その衝撃で来斗がその場に倒れる。


「来斗!!」

「来斗くん!!」


 来斗が倒れたことに静也と雄太が驚いて声を上げる。


「……すみませーん!!」


 一人の女子生徒が駆け寄ってくる。体操服の色を見ると、一年生という事が分かる。


「ご……ごめんなさい!大丈夫ですか?」


 女子生徒が申し訳なさそうに言葉を綴る。


「あぁ………、大丈夫だよ……」


 顔面に大きなばってんマークを付けながら来斗が言う。そして、ボールを女子生徒に渡すと、女子生徒はその場を去っていった。


「……びっくりしたな」


 静也が起こった出来事に少し放心しながら答える。


「……まぁ、さっきのは事故だからね」


 雄太も一瞬、犯人だと思ったらしく驚きを隠せない。


「それにしても、見事に顔面的中だったな、生きてるか?」

「生きとるわ!!」

「大したことない顔が台無しだな」

「亜里沙のようなこと言ってんじゃねーぞ!!」


 静也の言葉に来斗が反論しているのを雄太が「まぁまぁ」といって宥める。


 そして、普段通りに授業が始まった。



「……?」


 急に亜里沙が後ろを振り返る。


 颯希たちは一限目の授業が理科の実験のため、理科室に移動していた。その時、亜里沙が何かを感じて後ろを振り返ったのだが、特に怪しい人がいない。


(……気のせいかしら?)


 特に気に留める様子もなく、亜里沙は颯希たちと一緒に教室を移動した。



 颯希と静也が来斗と一緒に登校するようになって数日が経ったが、その間はなにも起こらなかった。そして、もう大丈夫という事になり、明日からはそれぞれで登校しようという話になる。


 そして、ことが起こった時に備えてその時の行動をみんなで確認し合った。



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