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はい!こちら、中学生パトロール隊です!!  作者: 華ノ月
〈番外編〉 恐怖の脅迫状?!
87/111

5.


「「「種??」」」


 月子の言葉に颯希たちがはてなマークを浮かべる。


「そう、物語の種よ♪颯希ちゃんと静也くん、色々な事件を解決しているみたいじゃない。だから、その話を聞いて何かミステリーが書けるんじゃないかと思って話を聞きに来たのよ♪」


 月子が意気揚々と語る。そして、更に言葉を綴る。


「良かったら今日、私たちの家に遊びに来ないかしら?みんなでも構わないわ。勿論、お茶とお菓子ぐらいは出すわよ♪」


 月子の言葉にみんなが顔を合わせる。


「……どうする?」


 月子の提案に静也が颯希に話を振る。


「私は別に構いませんが……」


 颯希は時に気に留めた様子なく答える。


「せっかくだし、みんなで行こうぜ!!」


 月子のお誘いになぜか来斗が嬉しそうに言う。


「だってさ!こいつらの家ってかなりでかいんだろ?その上使用人までいる話じゃねぇか!ちょっと興味あるしさ!出てくるおやつも豪華なものかもしれないぜ?!」


 来斗が息を巻きながら完全におやつ目当てで行きたいという事が分かる。


「な?!な?!みんなで行こう!!」


 完全に行く気満々の来斗が更に押す。


「あ~……、分かったよ……。じゃあ、学校が終わったら校門の前に集合でいいか?」


「りょ~かい♪」


 静也の言葉に月弥が答える。


 こうして、颯希たちみんなで双子の家に遊びに行くことになった。




「リ……リムジン?!」


 校門前に駐車された車を見て来斗が驚きの声を上げる。


 学校が終わり、みんなで校門のところで待っていると、月子が「しばらく待ってね」と言い出したのだ。そして、校門前に車が来て月子と月弥が乗る。颯希たちはしばらく開いた口が塞がらなかった。


「さっ♪行くわよ♪」


 月子に促されて颯希たちも車に乗る。


「流石金持ち……。リムジンで迎えに来るとは……」


 静也が呆気にとられながら言葉を綴る。


「私たちはいつものことよ♪」


 月子が「別にどうってことない」という感じで言う。


「そうだね~♪……まぁ、小学生の時は途中まで歩きで通っていたんだけどね……」


 月夜は最初はいつもの軽い調子で言うが、途中でちょっと表情を暗くさせながら言葉を綴る。


「何かあったのか?」


 静也が月弥の言葉に疑問を持ち問い掛ける。


「……私が誘拐されかけたことがあるからよ……」


「「「えっ……?!」」」


 月子の言葉に颯希たちが驚きの声を出す。


「……俺もその時傍にいたんだけど、相手の大人に突き飛ばされて怪我を負ったんだ。月子が連れ去られそうになって俺が大声を上げたから、その声で人がやって来て月子は誘拐されずに済んだんだけど……」


「パパとママが心配してね……。それで、車での送り迎えになったのよ……」


 やはり家がお金持ちという事があり、それ故に誘拐や連れ去りも小学生の頃はよく遭遇したという。今は月弥がなるべく傍にいてボディーガードのようなことをしているらしい。


「……月子は俺の片割れでもあり半分だからね。何かあったら心配だし……」


 月弥が月子の頭をポンポンと叩きながら言葉を綴る。


「……まぁ、そういうことなのよ。さぁ!こんな暗い話はやめましょう♪」


 月子が笑顔でそう綴る。


 そして、車は大きな家の中に入っていった。


「おぉ~……、豪邸……」


 来斗が家を見て言葉が漏れる。


 月子と月夜の家は洋風に作られた館ともいえるような大きな家だった。玄関に行く途中に見える庭にはちょっとした噴水までが備え付けられている。


 大きな玄関をくぐり、中にお邪魔すると広いリビングに通された。


「適当にソファーに座ってね♪」


 月子がそう促したので、颯希たちはソファーに腰掛ける。そこへ、リビングの扉が開き中年の女性が入ってきた。


「お茶とお菓子をお持ちしましたよ」


 女性はそう言ってカートを引きながら部屋に入ってくる。そして、一人一人の前に飲み物を置き、中心に沢山の盛られたデザートを机に並べた。


「ありがとう、知登世ちとせさん」


「いえいえ、月子さんからお友達が来るというご連絡を頂いたときは驚きましたが、嬉しかったですよ。月子さんと月弥さんにこんなに沢山のお友達がいらっしゃって……」


 知登世が嬉しそうに言葉を綴る。その言葉によると、月子や月弥は友達を連れてきたりすることがないらしい。というか、学校でも常に一緒で他の誰かといる所を見たことがない。学校でも、「かなり仲の良い双子」として有名なくらいだ。


「じゃあ、早速、解決した事件を話してくれるかしら?♪」


 月子がそう言いながらミニサイズのキーボードのついたタブレットを開く。


 そして、颯希たちが今まで出会った事件の話を語った。理恵の事件。小春の身に起こった出来事。玲奈の悪戯がきっかけで起こった事件。そして、悲しみから生まれた連続殺人事件……。


 月子は口を挟まずにキーボードを操作しながら事件を一つ一つメモしていく。そして、颯希と静也がすべての事件を話し終えた。


「……これが、私たちがかかわった事件です。参考になりそうですか?」


 話を終えた颯希が月子にそう言葉を綴る。


「えぇ……。なんだか、どの事件も興味深くもあり、感慨深いものもあるわ……。最後の連続殺人事件は凄いわね。まさかその視点で事件を捜査して解決してしまうなんて……」


 月子が感心したように言葉を綴る。


「……そういえばさ、気になっていたんだけど、来斗くんのその額の怪我は何か事件絡みなの?」


 月弥が来斗のおでこに貼られている絆創膏を見てそう尋ねる。


「いや、何というか……転んだだけで……」


 来斗がしどろもどろにそう答える。


「へぇ……、運動神経良いのに結構ドジなんだね♪」


 月弥がどこか馬鹿にするようにとも取れる口調でそう言葉を綴る。


「し……仕方ないだろ!急に縄に引っ掛かったんだからよ!!」


 何となく馬鹿にされたのが分かり、来斗が大きな声を出す。


「……てことは、誰かがわざとひっかけたってことかしら??」


 月子が来斗の言葉に引っ掛かりを感じてそう言葉を発する。


「いや……その……」


 月子の言葉に来斗が少し言葉を詰まらす。


「ふ~ん……。どうやら何かあるみたいね♪」


 月子がにっこりと笑う。その微笑には「何があったか話しなさい♪」というオーラが漂っている。そのオーラを見て颯希たちが「どうしよう……」という顔をするが、月子の表情で拒否権がないのを感じ取る。隣にいる月弥も「さぁ、話せ♪」というオーラを出している。来斗もその双子の表情を読み取り、大人しく話し出した。


「実は……」


 そして、脅迫状が下駄箱に入っていた事。その脅迫状からこの前の劇が関連しているのではないかという事。今日の朝に縄が急に足に引っ掛かり転倒した事。そして、美優も危険かもしれないという事を話した。


「……そんなことになっているとは知らなかったわ」


 話を聞いて月子が驚きを隠せない顔をする。


「その脅迫状を送ったのも誰かまだ分かっていないんだよね?」


 月弥も心配そうに言葉を綴る。


 今のところ、来斗の怪我も脅迫状の犯人かどうかも分かっていないため、その犯人が仕掛けたのか、単に縄が足に引っ掛かっただけなのかは分からない。


 そして、時間も夕方になり、颯希たちは相沢家を後にした。



 だが、来斗の身に起きる出来事はこれで終わりではなかった。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 月子と月弥、独特の雰囲気があり、ミステリー作家の血を引く双子、というのもとても印象的です。その二人が描いた劇から始まる、ちょっと不穏な展開…脅迫状のような手紙が気になりますね。 中学生の…
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