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はい!こちら、中学生パトロール隊です!!  作者: 華ノ月
〈番外編〉 恐怖の脅迫状?!
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プロローグ&1.

~プロローグ~


「……ねぇ、こんな題材はどうかしら?」


 ある一室で二つの影がコソコソと話す。


「あぁ、確かに良さそうだな……」


「……じゃあ、これで書いてみましょうか?」


「了解……」


 何を書くのかを決めて二人の影が何かを書き始める。


 その瞳は意気揚々としており、瞳がその書いているものに釘付けになっていく。



 何時間、その状態が続いただろうか……。


「……完成♪」


 一つの影が不気味に微笑みながら呟く。


「……じゃあ、これを元に作っていくか」


「……えぇ」



 そして、二人で次の作業に取り掛かる。



 まさか、このことがきっかけで誰も予想ができなかったあんな出来事が起きるとは何も知らずに……。




1.


「……じゃあ、まずは何をするかをみんなで決めてくれ!」


 体育館に男の先生の声が響く。


 今日は二年生が全員体育館に集まり、今年の二年生の催し物を何にするかの話し合いが行われていた。なぜなら、この学校では二年生になったらさらに交流を深めようという学校側からの指針で、夏休み前のこの時期は二年生全体で協力して何か一つのことを行うことになっている。過去には二年生全体で体育館にて仮装パーティーという時が多かったのだが、去年、一部の生徒が悪乗りし、ハチャメチャなパーティーになったので学校側が「これではいけない!」という事になり、パーティー以外のものをするように今年から定められた。その為、生徒の中にはそのパーティーを楽しみにしていた人もいたので、ガックリきている生徒もいる。なので、それを楽しみにしていた生徒ははっきり言って完全にやる気が感じられない。


「……何かやりたいものの希望がある人はいませんか?」


 進行役として各クラスの学級委員長の一人が声を出す。


 その時だった。


「「劇よ!!」」


 二人の生徒が立ち上がり、声高らかにそう答える。


「「「君たちは……?!」」」


 立ち上がった生徒二人に、みんなの視線が集まる。


「二年三組!出席番号一番!ミステリー作家の卵!相沢あいざわ 月子つきこ!」


 一人の女子生徒がなぜかミニサイズのノートパソコンを手に肩まであるストレートの黒髪をなびかせながら答える。


「同じく、二年三組!出席番号二番!ミステリー脚本家の卵!相沢あいざわ 月弥つきや!」


 もう一人の男子生徒が小型のタブレットを持って少し長めの黒髪を後ろで括りながら答える。


 傍から見たらかなりテンションの高い二人だ。二人してなぜかポーズを取りながらどや顔で佇んでいる。これが漫画だったら背景にキラキラが散りばめられていそうな雰囲気だ。先程の自己紹介の時に「出席番号まではいらんだろ」というようなツッコミをしたくなる紹介だったが、みんなは心で言うだけであえてそれを口には出さない。


「君たちは……三組の有名双子!!」


 どうやらこの二人は三組で、ちょっとした有名人らしい。というのも、父親はミステリー映画の監督で母親はミステリー作家という、近所では有名な家柄だからだ。その親の影響もあってか、二人とも将来はミステリー関係のものになりたいらしい。


「……えっと、劇という事ですが、そうなると台本がいりますよね?台本から書いていたら発表が遅くなるのでは……?」


 進行係の一人がそう口を開く。


「その心配は無用よ!」


 月子がにんまり笑って一つの冊子を見せる。


「……台本はもうできているわ」


「「「はいぃぃ?!」」」


 月子の言葉に一部の生徒が驚きの声を上げる。


「俺と月子で台本はもう仕上げてある。これなら異存はないだろ?」


 月弥が「フンっ!」と鼻を鳴らしながら自慢げに言う。


「ですが……、キャストも決めなくてはいけませんし……」


 進行係が言葉を詰まらしながら言う。


「ふふっ♪もう、誰がするかも決まっているわ……」


 どこか勝ち誇ったように月子が不気味な笑みを浮かべて答える。


「タイトルは『光と影のラプソディー』!主人公は二人!光の国の姫と闇の国の王子よ!配役は光の国の姫に二組の結城颯希!闇の国の王子に一組の斎藤静也!光の国の王は一組の峯塚来斗!その妃に二組の新海美優!闇の国の王は一組の柴崎雄太!その妃に二組の御影亜里沙!これが配役よ!!」


「「えぇ?!!(はぁぁ?!!)」」」


 捲し立てるように早口で配役を言った月子の言葉に名前を上げられた颯希たちが立ち上がりみんなで同時に声を上げる。


「なんで、俺たちなんだよ?!」


 勝手に決められた配役に静也が怒鳴り声を上げる。


 その声に月弥がにんまりとした顔をして言葉を綴る。


「簡単さ♪結城さんと斎藤君は今や近所ではちょっとした有名人だ。事件を解決している中学生としてね♪なら、そんな子たちを主人公にしようというのは自然の流れだと思うけど?」


 そう言葉を綴る月弥の顔は「何か問題点でも?」というような顔をしている。


「……てか!他の人の意見も聞かずに勝手に配役してどうすんだよ?!」


 来斗が声を荒々しくしながらもっともな意見を言う。


「じゃあ、聞いてみましょうよ……。この配役に問題がある人いますかー?」


 月子が片手を上げて他の生徒たちに聞く。


「賛成」

「賛成」

「賛成」


 所々からそういった返答が返ってくる。


「決まり……ネ♪」


 月子がにっこりとしながら答える。


「……と……とりあえず、劇でいいか多数決を取りましょう!」


 唖然としていた進行係が声を上げて言う。


 そして、多数決の結果、催し物は劇で決定した。意見として、「あの親の子供が描く台本がどんなものかみてみたい」という意見や「その配役なら問題ない」という事で満場一致で確定した。



 こうして、舞台の幕が上がる……。



 そして、この劇がきっかけであんな事件が発生するとは誰も予想していなかった。




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