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はい!こちら、中学生パトロール隊です!!  作者: 華ノ月
第五章 花を愛でる小人たちは悲しみの雨を降らせる
79/111

15.


「お疲れ様、八木さん。ちょっと休憩するといいよ!」


 ゴミ集積所で鹿島が八木にそう声を掛ける。八木はその言葉に甘えることにして集積所の中にある喫煙所に腰を下ろし、タバコを吸いながらため息を吐いた。


「……医者になんて言えばいいんかな……」


 たばこの煙を吐きながら八木がポツリと呟く。睡眠薬の追加が欲しいと言えば、まずその理由を問われるのは分かっている。しかし、本当のことを話すわけにもいかない。


「はぁ~……」


 医者にどう言って誤魔化すかを思案する。しかし、元々の性格が正直なところがあるせいか、嘘を付かなければいけないことを思うと、気が重くなる。


「八木さん!お客さんだよ!いつもの子たち!」


 そこへ、一人の従業員が八木に声を掛けた。その声に「分かった」と返事をする。「いつもの子たち」ということから颯希と静也がゴミを持ってきてくれたのだと思い、腰を上げて喫煙所を出る。


「八木さん!」


 颯希が手を振りながら自分を呼んでいる姿が見えてそちらに歩を進める。


「やぁ!颯希ちゃんに静也くん!それに、この前の時に来ていた雄太くん……だったよね?」


 八木が颯希たちを見て嬉しそうに声を掛ける。しかし、颯希たちの手にゴミ袋がないことから不思議に思い、口を開いた。


「あれ?今日はゴミを持ってきたんじゃないのかい?」


「その……、実は今日は八木さんにお聞きしたいことがありまして……」


「聞きたいこと……?」


 そこへ、車の中から木津と呉野が出てきた。警察手帳を見せ、自分たちが刑事だという事を話す。


「……刑事さんがなんでまた?」


 八木が状況を飲み込めないのか、刑事が訪ねてきたことに驚きを隠せない。


 そこへ、颯希が重い口を開く。


「……八木さん、福祉施設の入間さんから話を聞きました。何か変わったことがなかったか聞いたところ、八木さんが睡眠剤の追加を貰えないかという事をお聞きしたのです……。ですが、入間さんの話では薬は日数分処方されていると言っていました……」


 颯希の話に八木は表情を重くする。


 颯希が更に問う。


「八木さん、なぜ、薬が足りなくなったのですか……?」


 颯希の言葉に八木が本当のことを話していいのかどうか思案する。しかし、刑事も一緒という事だから下手に嘘をつくわけにもいかない。


「……実は――――」

 

八木は深い溜息を吐くと腹をくくり覚悟を決めたのか、なぜ睡眠薬が足りなくなったかを話し始めた。


「――――と、言うわけなんだ……」


 八木が話し終わり、深く息を吐き出す。


 八木の話に颯希たちは今回の事件の合点がいった。



「……しかし、その事でなぜ刑事までいるんだい?」


 八木が自分のしたことでなぜ刑事まで来ているのかがよく分からなくて聞く。


「すみません、八木さん。今の段階ではまだお教えするわけにはいかないのですよ」


 呉野が「申し訳ない」と言う表情で八木に詫びる。


「貴重な証言をありがとうございます。もし良かったら何という睡眠剤か教えて頂けませんか?」


 木津の質問に八木が薬の名前を告げる。


「……分かりました。ありがとうございます」


 木津と呉野が八木にお礼を言う。


「……八木さん、今度来るときはまた町で集めたゴミを持ってくるので、その時はよろしくお願いしますね」


 颯希が八木にそう言葉を綴る。


 そして、颯希たちはゴミ集積所を後にした。



「……俺たちはこれからその三人について調べてみる。まぁ、十中八九そいつらが犯人だろう……」


 呉野が運転する車の中で木津が後部座席に座っている颯希たちにそう告げる。




 それから、数日掛けて木津と呉野は三人の情報を調べた。すると、連続殺人事件の物的証拠が続々と出てきた。そして、木津が颯希に連絡して、犯人が彼らで間違いないことを伝える。


「木津さん……、お願いがあります」


 電話で颯希が木津にあるお願いをする。そのお願いに木津は悩んだが、元々、三つの事件が一気に解決につながったのは颯希の仮説のおかげだ。そう考えるとお願いを無下にも出来なくて、悩んだ結果、颯希のお願いを聞くことにした。


『……分かった。その代わり、俺と呉野も同席する』


 木津の言葉に颯希は「はい」と答え、静也と雄太にも連絡をした。その後で、凛花にも電話をする。そして、凛花にある事に関して許可を取って欲しいと言うことを頼む。それと同時に、ある人を連れてきて欲しいという事も話した。




 そして、事件解明の幕が上がる……。





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