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はい!こちら、中学生パトロール隊です!!  作者: 華ノ月
第四章 青い炎は恵みの雨を受ける
63/111

17.


「あぁ………。お前の質の悪い遊びで逮捕された青木友成だ!!」


 友成が鋭い眼差しで玲奈を指さしながら叫ぶように言う。


「……あの日、いつものように仕事に行くために俺は電車に乗った。その日も電車は満員で俺は身動きが取れずにいた。その近くにお前がいて、俺の手を掴むと大声で叫んだ。『痴漢よ!』ってな。そして、俺は近くにいた人に取り押さえられて鉄道警備隊に連れてかれた。警備隊の人に事情を聞かれて説明したが、警備隊はお前の言葉を信じ、俺を逮捕した。しかし、その後で確たる証拠が見つからなくて俺は釈放された。だが、そのせいで俺は仕事を失い、近所でも後ろ指をさされるようになった。地獄の日々だったさ……。何もしていないのに、なんで俺がこんな目に遭うんだってね……。そして、俺は確たる証拠を見つけるために今回の計画を立てた」


 友成の言葉に玲奈は焦るものの、開き直るように言葉を吐いた。


「それで?その確たる証拠とやらは見つかったの?……なんて、そんなことあるはずないわよねぇ……。だって、証拠も何も元からそんな事件ないんだから……」


 玲奈が不敵の笑みを浮かべながら勝ち誇ったように言葉を綴る。




「……高嶺の勝ち組女子……」




「!!」


 友成から出てきた言葉に玲奈が驚愕の表情をする。


「お前の携帯番号からあるサイトを見つけた。これ……、お前の書き込みだよな……?」


 友成がそう言って、玲奈が書いたつぶやきのコピーを玲奈の足元にばらまく。


「な……なんで……?!」


 玲奈がそのコピーを見て、驚きの声を上げる。


「なんであんたが私の番号を知っているのよ!!」


 そこまで言って、玲奈がある事に気付く。


「ま……まさか……」


 そう言って、彰人の方を振り返る。


「あ……あんたたち……グルだったの……?」


 玲奈の言葉に彰人が冷笑を浮かべる。


 彰人と友成がグルだったことを確信し、唇を噛み締める。


「木原、お前は昔から何も変わっていないんだな……」


 友成の言葉に玲奈が訝しげな顔をする。


「今回の計画で、なぜ、彰人を仕向けられたと思う?お前の好みを把握していないとそんなことできないよな?」


 友成の言葉が良く分からなくて玲奈が言葉を放つ。


「……知り合いにあんたみたいな男はいないんだけど?」


「名前を名乗ってもまだ分からないか?俺はお前の中学の同級生で、お前から嫌がらせを受けていたあの「青バカ」だ!!」


「……?!」


 友成の言葉で玲奈が思い出したのか、玲奈が憎しみのこもった声で言葉を綴る。


「……そう、あんた、あの「青バカ」だったのね……。勉強ばっかしている根暗の……」


「あぁ、そうだ!お前は昔から人前では「おしとやかな子」を演じていたが、裏では俺のことを虐めてたよな!周りの人間はお前に騙されていたから俺の言葉はなにも聞き入れてもらえなかったが、裏の顔こそがお前の本性だ!!」


 友成の言葉に玲奈が更に唇を噛み締める。しかし、不気味な笑顔を作り、言葉を吐く。


「……だから何だって言うのよ!このことだって大河さんに言えば、大河さんはあんたたちより私を信じるわ!だって、大河さんにとって私はおしとやかで素敵な女性なんだから!!」


 玲奈が勝ち誇った表情で言葉を吐く。


「このこと、大河さんに言いつけて、あんたたちを破滅させてやるわ……」




「……その必要は無い」




 突然、声が聞こえてきて、玲奈がその声に驚いたように振り返る。


「た……大河さん?!」


 大河がゆっくりと玲奈に向って歩いてくる。傍には颯希と静也もいる。


「ど……どうして大河さんがここに……?!」


 状況が飲み込めずに玲奈が震えながら声を出す。


「……話は全て聞かせてもらったよ。まさか君がそんな人だったとはね……。君の言う「遊び」に関しては警察が事実確認のために調べを進めている。じきに君が起こした事件の数々の真相が分かるはずだ……」


「う……嘘……」


 玲奈が愕然としながら呟く。


 そこへ、颯希が玲奈に向って言葉を綴る。


「玲奈さん……、あなたがやったことはただの自己満足です。それであなた自身は幸せかもしれませんが、その幸せは「本当の幸せ」ではありません。あなたのその「幸せ」の下で沢山の人が不幸になっています。人を陥れる「幸せ」はあってはなりません。だから……」


 颯希はそこまで言うと、深呼吸を一つする。


 そして、玲奈を指さすと、力強い声で言い放った。





「あなたのような『悪』は、裁きの鉄槌を受けるべきです!!」





 颯希の言葉に玲奈がわなわなと震えだす……。そして、鞄からメイク用のハサミを取り出し、叫んだ。


「この……、クソガキがぁぁぁぁぁぁ!!」


 玲奈がハサミを振りかざしながら颯希に突進してくる。


「させるかぁぁぁぁぁぁ!!」




 ――――バシーーーン!!!




 静也が背中に担いでいた竹刀を振り、玲奈の胴をめがけて思い切り振った。


 竹刀がお腹に命中して、玲奈がその場に倒れる。




 ――――ファン、ファン、ファン……。




 倉庫の外でパトカーの音が鳴り響く。そして、警察官が数名なだれ込み、玲奈は殺人未遂の現行犯で逮捕された。事情を聞くために、友成や彰人も連れて行く。


 そして、颯希たちにも状況を聞くために一緒にパトカーに乗り込んだ……。



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