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はい!こちら、中学生パトロール隊です!!  作者: 華ノ月
第三章 小花は大きな葉に包まれる
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16.&エピローグ


 次の日の日曜日、颯希と静也はいつものように待ち合わせをしてパトロールに出動した。


「いや~……、今回の事件もすごかったな……」


 静也が息を吐きながら言う。


「でも、無事に解決できてよかったのですよ!」


 颯希が今回の事件も無事に解決できたことに安堵しているのか、嬉しそうに言葉を綴る。


「まぁ、一つだけ心配だがな……」


 静也が神妙な面持ちで言葉を吐く。


「何がですか?」


「小春ちゃん、大丈夫なのかなって思ってさ……」


 それは颯希も心配していた。あんな幼い子が睡眠剤を投与されて脳に影響が出てしまっていたらどうしようという不安がある。すぐには影響はなくても、後々で影響が出ることも考えられる。しかし、それは何もないことを祈るしかない。


「……大丈夫という事を信じましょう!」


 颯希が力強く言う。




「お姉ちゃん!お兄ちゃん!」




 遠くから声がして颯希たちが振り返る。すると、小春が小走りでこちらに向かってきた。


「「小春ちゃん!」」


 元気な小春の姿を見て颯希たちは安堵する。


「あのね!またパパとママの三人で一緒に暮らすことになったんだよ!!」


 小春が嬉しそうに語る。その表情はとても幸せに満ち溢れていた。そこへ、恵美子と茂明が小春を追うようにやってくる。そして、颯希たちのところまで来ると、二人はお辞儀をして今回のことでお礼を言った。


「この度はお世話になりました。小春が目を覚ましてすぐに病院に連れて行ったのですが、特に異常はないという事です」


 茂明の言葉に颯希たちが安堵する。


「良かったです!それで、これから仕事とかどうするのですか……?」


 恵美子のこの前の言葉で茂明が外で仕事をしていると不安になってしまう可能性はあるが、生活のこともある。そこら辺のことも颯希は気になっていた。


「とりあえず、自宅でできるパソコン系の仕事を探そうと思います。元々、プログラマーとして仕事をしていたのでパソコン関係の資格はいくつかありますからね。そちらの方で仕事を探してみようと思っています」


「そうですか。頑張ってくださいね!」


 パソコン関係なら自宅の仕事は見つかるかもしれないし、資格を持っているならなおさらだと思い、颯希はちょっと安心した。


「これからは恵美子と小春のために頑張ります。愛しい妻と愛しい娘のためにね……」


 茂明はそう言いながら、恵美子に微笑みかけ、小春の頭を撫でる。


「今回は本当にありがとうございました」


 

 そう言って、花島親子は去っていった。その幸せそうな家族の絵に颯希たちは安堵する。


「事件解決ですね!」


「あぁ、そうだな!!」


「じゃあ、今日も地域のためのパトロール、頑張りましょう!!」


「おう!!」


 颯希と静也が無事に事件が終わったことに心から喜ぶ。



 フラフラしている小春を見かけて声を掛けたのが発端で発覚した事件は、こうして幕を閉じた……。




~エピローグ~


「さぁ!今日も元気に中学生パトロール隊、出動です!!」


 意気揚々とした颯希の掛け声で静也と共にパトロールを開始する。


「今日も町の平和のために頑張りますよ!」

「元気だな~、颯希は。頭ん中、毎日晴れって感じだよな」

「なんだか馬鹿にしているように聞こえますよ!」

「半分な」

「酷いです!私でも雨や曇りの時はありますよ!」

「だから半分って言ってるだろ?」

「なんだか、嫌味にも聞こえるのですー!!」

「さぁ~、どうでしょうかねぇ~」


 颯希の言葉を静也はさらりとかわす。


 ……キュピーン!!


 そこへ、颯希がピコピコハンマーを手に持ち、獲物を狙うかのように目を光らせる。


 静也がそれに気付き、声をあげながら逃げ出す。


「へっ!捕まえれるもんなら捕まえてみろ!」


「待ちなさーい!!」


 そうやってじゃれ合いながら、今日もいつもと変わらぬパトロールが続く。


「えいっ!!」


「はずれ~!」


 パトロールのはずが鬼ごっこになってしまい、二人は道端で追いかけっこを繰り広げる。



 その近くを一人の男がブツブツ言いながら通り過ぎていった……。



(第三章 完)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回もどうなるか最後まで釘付けになりましたが、一度傷つき離れた家族の心が、また新しいスタートに向かって歩き出すラストがとても良かったです。 颯希と静也はまだ中学生ですが、今回も二人がいな…
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