お年寄りを様子観察する時、お年寄りもこちらを様子観察しているのだ
介護の現場ではよく『様子観察』という言葉が出てきます。
例えば発熱があったりした場合、解熱剤を飲んで様子を見る。また、不安で落ち着きがない時も見守りの為、様子観察をするなどです。
さて、この様子観察ですが題名にもある通り、我々が利用者を様子観察している時、利用者もやはり我々を様子観察しているんです。
これはどの業界でも似たようなことが言えると思いますが今回は介護の焦点を当てて考えます。
認知症のお年寄りは結構介護職員を見ています。人の名前やさっき何を食べたかはよく忘れますが職員の雰囲気や話し方、顔などは長期記憶の方に記憶されているのでしょう。
職員がせかせか動いてろくにお年寄りの話に耳を傾けないでばかりいると『ああ、こいつ余裕無い人だな。話しかけるの止めとくわ』とかインプットされていき最終的にはこちらが何を言っても『嫌です』と断られることになりかねません。
ウチの職場にも凄まじい速さで何でもてきぱきする職員がいるのですが、残念ながらこの人、利用者の話には耳を貸さないタイプです。
お年寄りもその雰囲気を覚えているのでこの人に相談事などはまずしないし、何ならこの人がフロアに居ると全体的に荒れます。『家に帰りたい』『部屋に帰るわ』という利用者が多発する状況。夜勤者も出勤してきて『今日あの人が居たのか』とため息をつく始末。
まあ、この職員の適正云々については機会があれば書きたいと思うのですがこんな感じで利用者はよくこちらを観察してよく覚えているのですね。
特に相手は高齢者。歴戦の戦士です。呆けている様に見えて話を聞くと「え、こいつ異世界転生者なんじゃね?」ってチートスキル持ちな人も結構います。
別に私はお年寄り=無条件で尊敬すべき人的な立場は取っていません。むしろ『こいつクソだな』や『自分の家族なら喧嘩してる』と思う事も良くあります。まあ、利用者さんは『お客さん』ですからね。そりゃきちんとした態度は取りますよ。
話がそれましたがこの歴戦の戦士、チートスキル持ちです。歳を取っているだけあって見る目は鍛えられています。もうそりゃ見ている。『あの人ってこうだよね』っていうのは大体当たってたりします。そう言うわけなので向こうもしっかりとこちらを様子観察しているという事を日々意識しながら仕事をする私なのでした。