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マイホームを贈ろう!②

「いやはや、騒がしくしてしまい、申し訳ありませんな」


「あ、いや、どっちかっていうとなんか俺のせいっぽいので、気にしないで下さい」


「そうですか? メイシャ?」


「はーい、もちろんご用意しておりますよ。どうぞ、大英雄カズヒト様」


 メイシャと呼ばれた女の子が、紅茶とお菓子を持ってきてくれた。


「あ、あのー……大英雄ってのはやめていただけると……様もちょっと……」


「えー? いいじゃないですか? ねぇ社長?」


「ははは、そうですなぁ……でもカズヒト様がそう仰っているのでやめておきましょう」


「はーい」


 ……普通の店員さんかと思ったらこのおっちゃん社長だった。なんでいきなり1番えらい人が出てくるんだこの不動産屋。

 あ、この紅茶美味しい……お菓子も……サクサクしてほろっと崩れて……実にうまい。


「それで、どういった物をお探しでしょうか」


「そうですねー……広めの土地が欲しいですね。家はちょっと自分で建ててみたいので、大工さんを探してアドバイスもらいながら一緒に作業しようかと」


「ほぅほぅ……カズヒト様は建築もされるのですね? でしたら腕の良い大工もご紹介できますが?」


「あ、そんなこともできるんですか。では土地を購入したらお願いします」


「かしこまりました。土地の候補はこんなところでしょうか」


 社長から3種類の土地を提示される。


 ①街のど真ん中より少しだけ南に行ったところ。恐らく一等地。広いけれど、高そうだなぁ。

 ※日本で言うと一般的なコンビニ8軒分程度


 ②街の少し外れ。森の近く。街から離れただけあってかなり広い。

 ※日本で言うとサッカーコートくらい


 ③最後、街からかなり離れた場所。主に移動とかの面で利便性はかなり悪いが、そもそも俺がワープ系スキルを使えるのでその辺は全く問題ない。

 えげつないくらい広い。

 ※日本で言うと東京ドーム1個分くらい


 どれも一応近くを通ったことがあるな。①なんかは歩いて行っても近いな。


「とりあえず、3件とも見てみたいんですが」


「かしこまりました。今から見学されますか?」


「ええ、お願いします」


 徒歩数分。①の土地に到着する。


「こちらが1つ目の土地です。なかなか広く、都市の中央部に近いので利便性も抜群となっております。お値段のほうは、11億ほどとなっておりますが、カズヒト様ですので5億で提供させて頂きますよ」


 超コストカット術使ってないのに勝手に割引された。


「うーん、いい土地ですけど……」


 少し離れた場所に俺の銅像があるんだよなぁ……あれか俺の銅像……ほんとに建ってんじゃん……嘘だろオイ。

 本人も全く知らない間になんで銅像建てられてるんだ?

 あ、俺が1年くらい音信不通になってたから世間的には死んだと思われてたりするのか?

 でもさっきは普通に声かけられたしなぁ。よくわからん。


「ちょっと……あの……なんというか……目立ちそうかなって。はは……」


 カズヒトの家! とかって押しかけられたらたまらんな。


「お気に召しませんかな? では2件目に参りましょう」


「あ、ちょっと距離ありますよね? ちょっと腕をお借りしますよ」


「え?」


 時間がもったいないのでサクッとコストカット魔術で移動することにする。


「ペネトレーションワープ」


 ふっと、景色が変わる。


「えーっと、この辺なのかな?」


「おお、おおお……これはすごい。瞬間移動のようなスキルでしょうか? なんと珍しい……さすがは英雄と呼ばれる方々は違いますな」


「あー……え、えっと、次の候補は」


「これは失礼。あちらでございます」


 ロープで区切ってあり、ルノ・テロワールと書かれた看板が一定間隔で建てられている。


「おー……これはなかなか広いですね。立地もそこそこ、って感じかー……よさそうだなぁ」


「お気に召しましたか?」


「そうですね。悪くないです。でも、一応3件目も見せてもらえますか?」


「ええ、もちろんですとも」


「では。ペネトレーションワープ」


 社長さんの腕を掴み、魔術で移動する。


「おお、えーと……ああ、あちらでございます。後ろの小さな山が見えますでしょうか? あちらもここの土地に入っておりますよ」


 2回目だからか、早くも慣れた様子で紹介してくれる社長さん。それにしても……


「ひ、広い……なんて広さだ……」


「この土地ですと、全体で42億ほどになりますが、カズヒト様ですので勉強させて頂きまして……そうですね、20億ピッタリでご提供させて頂きます」


「え!? 20億!?」


「おや……少々お高かったでしょうか……でしたら」


「いやいやいや、逆ですよ! なんでそんなに安いんですか!?」


 いくら1等地とは言え、あの広さで5億だったのに、この広大な土地で20億だって!? 定価でも破格なんじゃ……


「そうでしょうか? 広すぎるのか、利便性が悪いのか、とにかく今まで買い手がつかなかったのですよ」


「山もあるし……あ、あっちのほうは川も。土地も……うん、けっこうしっかりしてますね。めちゃくちゃいい土地じゃないですか!」


「はは……そう仰って頂けると……」


「買います」


「え?」


「買います。一括で」


「…………え?」


 社長さんがポカーンとしている。


「あの……」


「ああああありがとうございまああああす!」


「うおっ」


 ビックリして反応が遅れただけか。


「すぐ契約したいんですけど、どうすればいいですか? 最初の事務所に戻れば大丈夫ですか?」


「え、ええ」


「では。ペネトレーションワープ」


 3度目のワープを使い、不動産屋の事務所へ戻る。

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