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マイホームを贈ろう!①

 学ぶ男、カズヒト・コート。


 前回の指輪プレゼントは、最終的にはめちゃくちゃ喜んでくれたものの、やはりサプライズ感に欠けていて、企画としてはいまいちだった気がする。


 ……まぁ指輪をプレゼントして感極まった2人と朝から第2ラウンドを始めてしまい、俺の精根尽き果てて丸1日眠ってしまったのだが、それは置いておこう。


 さて、やはり男たるもの、一国一城の主となるのは夢である。


 数々の冒険譚にも、やはり男はかくあるべという教訓がたくさん並んでおり、その中には甲斐性という項目もあった。


 幸い、幾度も繰り返した冒険により、アルカとチャリーンちゃんを一生不自由させないぞ! ってくらいにはお金も貯まっている。


 あのひどいパーティー、欲望の坩堝から脱出できて本当によかったと度々思う。


「さて、ここか」


 冒険都市マッネーでも大手の不動産屋、ルノ・テロワールにきていた。


 それもかなりラフな格好で。


 まぁなぜそんなことをしているかというと、冒険譚で鉄板のネタとなっている、冒険者ランクが大幅に上がった後、「なんだこの貧乏そうなやつは……ペッ 帰んな」と店員にあしらわれる……からの、

「私はこういうものでしてね」とギルドカードをさっと出し、「○ランク冒険者様!? これは失礼致しましたぁぁぁ」というのをやってみたかったのである。


 我ながらクソみたいな性格をしてるなぁ……とは思うが、せっかく星を救ってEXTRAランク(※)になったのだ。ちょっとくらい目立ってみたい!


 ※【冒険者ランク一覧】

 EXTRA・・星全体の危機を救いうる者(ちなみに、カードの色はレインボーとなっている。かなり目立つ)

 SSS・・1国の危機を救いうる者

 SS・・ダンジョン都市マッネー級の街の危機を救いうる者

 S・・ダンジョンをソロ制覇可能。

 A・・上級者冒険者。ダンジョンの下層の敵をソロで倒せる。

 以下略



 まぁどのみち土地を買わないと家も建てられないしね。

 さすがにチャリーンちゃんのお宅をどうこうするわけにもいかないし。そもそもあそこは3人の思い出もいっぱいできたし、持ち家なんだから残しておきたいよね。


「よ、よし、入るぞ!」


 大勢がいっぺんに出入りできそうな立派な木の扉を押し開ける。

 うおお……クソでかサイズなのにスムーズに開くじゃないか……これが1流の不動産屋……!


 カランコロン、と小気味の良い音が鳴ると同時に、お店に来ていたお客さんや店員さんが一斉に、だがチラリ……と控え目にこちらを向く。


 さすが1流の不動産屋……来ているお客さんも……ってこれはもういいか。


 さてさて……お? なんだか俺のほうを見てヒソヒソしだしたぞ……ふふっ、こんなラフな格好で来てるもんだから、場違い感が気になるんだろう?

 そして……


「いらっしゃいませ~」


 との声と同時に、店員さんがこちらに近付いてくる。

 こいこい! 

 おめぇみたいな貧乏人に売る土地なんてねぇ! くらいの暴言こい!


「やぁ、ちょっと土地を探しててね」


「これはこれは! 大英雄のカズヒト様ではございませんか! どんな土地でも特別価格でお譲り致しますよ! さぁさぁさぁ、こちらのお部屋へどうぞ!」


「あ、えっと、うん……知ってるのね。俺のコト……」


 めっちゃ顔バレしてた。クッソ恥ずかしい。てか大英雄ってなんだ……やめてくれ……恥ずかしい。


「あ、あの!」


「うん?」


 先に来ていたお客さん……カップルだろうか? 女性のほうから話しかけられた。


「あ、あの、カズヒトさん! よ、よかったら握手してください!」


「俺も俺も! お願いしまぁーす!」


 と思ってたらカップル2人ともから握手を求められた。

 えええ……俺なんかと握手して何になるってんだ……別にイケメンでもなんでもねぇぞ?


「ふ、2人とも俺のこと知ってるんですね」


 握手に応じながら質問してみる。


「そりゃぁー! ねぇアキト」


「そうだよね、ルミちゃん。」


「「大英雄カズヒト様だからね」」


「…………え? それ流行ってんの? ヤダ……恥ずかしい」


 キツイ! なんかすげーって言われたいとか思ってたけどなんか違う!

 違う違う! そうじゃない!


「はっはっは、カズヒト様、何を仰いますか?」


「え?」


 店員さんもお店のお客さんもめっちゃ笑顔になっている。


「この星をお救いになった大英雄様ですからなぁ! ほとんどの人が存じておりますよ! ええ」


「ひゅっ」


 喉から変な声が出る。


 ちょっと待って……これ、俺が考えてる以上にヤバいことになってんじゃ……あ、そういやアルカやチャリーンちゃんとずっとダンジョン潜ってばっかりだったからあんま人前に顔出してな……


「あ、どうもどうも」


 ……なんか握手待ちの行列が出来てる。ここ何の店だっけ。


「あ、ありがとうございます! うわぁ、生カズヒト様だー」


「ふわぁ! 銅像よりカッコいいじゃん! お嫁さんいるのかなー」


「ちょっ、ちょっといいかな!?」


 なんかヤバそうなワードが聞こえた。


「え? 私をお嫁さんに!?」


「ち、違う違う。気持ちは嬉しいんだけど俺には嫁が2人いるので……」


「なぁんだ、でも3人目でもいいですよ?」


「あはは……ってそっちじゃなくて! 今俺の銅像って!?」


「え? ああ、街のあちこちに建ってますよ。知らなかったんですか? 大英雄 カズヒト様って書かれた銅像ですよ」


「ノォォォォーーー!」


 なんという羞恥プレイ……


 自分の銅像がアチコチに……イヤァァ……撤去してもらえないのかな……


 悲しみに暮れながら即席の握手会を終え、ようやく特別な応接室に案内される。






 あ、俺そういや不動産屋に来てたんだった。

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