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結婚指輪を贈ろう!②

 ま、まぁ、楽しんでくれるならそれが何よりだから、俺は俺で指輪の製作に取り掛かるとしますか。


 本で調べたところによると、金属というのはその物質単体より、愛嬢の良い金属を混ぜたほうが強度を増すのが一般的だ。

 ただし、それは伝説の3金属、今回のアダマンタイト・オリハルコン・ヒヒイロカネには当てはまらない。

 より純粋な状態であるほど強度を増す。


「ドロップ状態でも純度はよさそうだが……」


 フル鑑定をかけると、純度は80%程度だった。


「うーん……これはいいのか悪いのか? まぁ岩石を掘り出したりすることを考えるとかなりいいほうなんだろうけどさ」


 ちなみに不純物は金だった。伝説級の金属ともなると、金ですら不純物扱いとは。


「さてさて、とりあえず炉の真似事をしてみよう」


 あっちで飯の用意をしている俺が組み上げてるカマドに似ているが、こちらはより規模が大きく、密閉性が高い。


 岩と金属を交互に合わせていき、都度フェノメクションで溶かしながら固めていく。こんなんでいいのか?


「とりあえずできた」


 炉の中に燃焼性の高い物質(マッネーのダンジョン産の何か)をぶちこみ、内部の温度を上げていく。


「いいぞいいぞ……」


 さぁ、金属を……あれ? どうやって入れよう……


「……取り出す時は冷めてからでいいか」


 伝説級の金属「アダマンタイト」を、金属の棒でつつきまくり、金が溶け出るのを待つ。


 炉をもう2個用意して、同様にオリハルコンとヒヒイロカネもつつきまくる。


「……こんなでうまくいくのか?」


「カズヒトー」


「ん?」


 チャリーンが呼んでる。分身の俺で様子を……って、炉に意識しすぎて分身の俺を動かせてなかった。


「今いくー」


 別に特殊なことするわけじゃなし、炉は放置しとくか。



 さぁ、今日は何の料理がいいか……ふむ。異世界出身者の調味料で「味噌」というものを手に入れたのだった。

 サーモンサンドを作った時のメニーメルティーサーモンを使って石狩鍋という料理を作ってみよう。


 ……


 …………


「おいしー!」


「ほんと、美味しいわ。カズヒト、こんな料理どこから覚えてくるの?」


「街の図書館があるでしょ? 冒険譚の本もいっぱいあるんだけど、なぜか冒険者の話って飯のことがけっこう出てくるんだよね」


「へぇ……やっぱ冒険してる時でもみんな美味しい物を食べたくなるのかしらね?」


「たぶんね。あ、アルカ、口にサーモン付いてるよ」


「んぅー」


「ふふふ……やっぱり3人でご飯を食べるのは楽しいわね。アルカちゃんと2人きりの時も楽しかったけど……カズヒトがいないんだって思うと……」


「寂しかったー!」


「うっ……その節は、その……ごめんなさい」


「うふふ……いいわよ、もう。ちゃんと帰ってきてくれたんだから」


「そ、そう言って頂けると……」



 あっという間に完食し、腹ごなし用のお風呂を用意する。

 マッネーのダンジョンもそうだけど、かなり下のほうの、とりわけ最下層辺りは全く人が来ないのでやりたい放題やっている。


「ふぅー……」


 疲れた身体を癒すべく、湯船に浸かっていると。


「あらぁ? なんで浴槽別々に入ろうとしているのかしらぁ?」


「かしらぁ?」


「チャリーンちゃん……アルカ……」


「もうっ、さっき寂しかったって言ったじゃない」


「じゃない~」


 気のせいだろうか。デジャブのような何かを感じる。そして2人ともバスタオル1枚という非常に扇情的な格好をしていた。


「そ、それは……やっぱここダンジョンだしね……2人とは正式にお付き合いしているとは言え……」


 言いかけたところで


「アルカちゃん」


「がってんだー!」


 アルカにバスタオルを剥ぎ取られる!


「キャー! アルカさんのえっち!」


「カズヒト……アルカも子ども……欲しいんだよ?」


「うっ……」


 上目遣いのアルカ……破壊力がとんでもねぇぜ!


「私も、もっとたくさん子ども欲しいわぁ?」


「ううっ!?」


 1年くらい前まで処女だったと思えない妖艶なチャリーンちゃん……どスケベです。


 そんな2人に挟まれ、あっさりと理性を手放したのであった。


 つまり、この後めちゃくちゃおせっせした。




 ……この日の回数……何の回数かはよくわからないが……


 実に26回にもコトに及んだという……。


 何の回数かはわからないが。



 ……


 …………


 深夜。


 ぐっすり眠っている2人を確認し、作業を再開する。



「フェノメクション……フェノメクション……」


 金属を3種類独立したまま螺旋状に混ぜ合わせて……


「うーん、うまくいかない……」


 ダメだ。


 これもダメだ。


 ダメだダメだダメだ!


「思ってたより難しいな……」


 辺りには超高級な素材であるオリハルコン等の金属片が無造作に捨てられている。


 その小さな金属片がそれぞれとんでもない金額で売買されていることも知らず、カズヒトはポイポイ放り捨てていたのだた。


「ここはこっちのほうが……いや? 強度を上げるにはやはり……うむむ……」



 ……


 …………



「ぐがぁぁあ……ごがぁぁ……」



「カズヒトー?」


「しっ! アルカちゃん、カズヒト寝てるみたいよ」


 満足そうなイビキをかきながら寝ているカズヒトの手には、3種類の金属が複雑に組合わさった指輪が3つ、つまり3人分の結婚指輪が乗っていた。


「うふふ……完成したみたいね」


「すごい……きれー……」


「そうね。ありがとう、カズヒト」


 両サイドからチュッ、と。


 カズヒトのほっぺに愛情の印を付け、また眠りにつく3人であった。

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