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結婚指輪を贈ろう!①

「アルカ、チャリーンちゃん」


「なぁにカズヒト?」


「んー?」


 相変わらずアルカは飴を舐めているな。そろそろアルカに自分で飴を作る楽しさを教えてあげたいな。

 まずはシンプルにべっこう飴かな。ただの砂糖水がちょっとずつ粘り気を増していき、冷えていく過程で飴になっていくところとか、色んな動物の形へ形成していくのも楽しいんだよな。


 ...違う違う、脱線しそうだった。


「お2人に」


「私たちに?」


「?」


「指輪をプレゼントしようと思います」


「「...え?」」


 2人共なんだか不思議そうな顔をしている。


 それもそのはずか。


 俺たち3人はダンジョン都市マッネー...の東へ少々離れた(フォルドワープとかペネトレーションワープがあるので、今更距離がどうとかはあんまり関係ないけど)街、「ロックレスト」へ来ていた。


 正確に言うとこの街にある鉱石が豊富なダンジョン、「ストロンシェ」へ来ていた。


 ダンジョン内部はゴツゴツとした岩や鉱石、ゴツゴツしたモンスターに囲まれていた。

 そんな場所で指輪の話をしても「なんじゃそりゃ?」ってなるのも当然と言えよう。

 ちなみに、チャリーンちゃんの赤ちゃんは今もチャリーンちゃん宅で元気に泣いているところを、分身の俺があやしている。なかなか泣き止んでくれて困っているのだが、今はおいておこう。


「結婚指輪をプレゼントしようと思います」


「うん...具体的になったし、それ自体は嬉しいんだけど、どゆことなの?」


「モグモグ」


 チャリーンちゃんの疑問はごもっとも。そしてアルカはついに飴に集中し始めた。いかんいかん。


「最初はね、マッネーの宝石店で1番高くていいやつを2人に贈ろうと思ってたんだよ」


「私は別にそんな高いのじゃなくていいわよ? あんまり高いとなんか気後れしちゃうし...」


「アルカも特に気にしないよ?」


 ふむ...女の子はアクセサリーに気を遣うとよく聞くのだが、うちのお嫁さん達はそういうのにあんまり頓着しないのだろうか?


「で、でもね。俺は思ったんだ。特別な2人だから特別な物を2人には贈りたいんだって」


「カズヒト...」


「カズヒト、カッコイイ!」


「はは...それでさ。どうせならこの星で着けてる人がいないような物がいいなって思ったんだ。結局、どんな物でも、お店で売ってるやつって他の人も着けてる可能性があるってことだよね?」


「ええ、まぁそうね」


「だから俺は...指輪を手作りすることにしました!!!」


 バーン! と効果音が聞こえてきそうなくらい堂々と言い放った俺。


 ふふふ...2人ともさぞや驚き、喜んでくれていることだろう...


「「...?」」




 ...お2人ともポカーンとしていらっしゃる。


「あっれぇぇぇ!? なんか反応薄くない?」


「いや...あの...なんというか。言わんとしてることはわかるのよ? でもちょっと想像つかないっていうか...」


「うん。カズヒト、職人じゃないのに指輪なんて作れるの?」


「そうそう、ああいうのって、職人の人が熟練の技で色んな道具を使って作ってるんじゃないの?」


「ふっふっふっふ...くっふっふっふ」


 あ、アルカとチャリーンちゃんが俺を見ながら何かボソボソと喋ってる...

 やめて! 変な人を見る目で見ないで!


「ち、違うよ!? 俺はおかしくなったわけじゃないよ!?」


「だって...」


「ねぇ?」


「と、とにかく! 2人とも手を貸して!」


「あっ」


「んぅ?」


 2人の薬指の大きさを図らないとね。ん? なんで顔を赤らめている?


「2人のイメージ...チャリーンちゃんは綺麗な金色の髪、アルカは7色の髪でしょ? んで俺は黒い、ということで」


「と、いうことで?」


「いうことでー?」


「たぶん、ここのダンジョンって下の階層に行けば色んな金属あると思うんだよ」


「うん」


「もぐもぐ」


 ...話への興味が飴以下になるのつれぇわ。


「アダマンタイトが黒色の金属、オリハルコンが金色、ヒヒイロカネが虹色をしている鉱石だと聞く」


「見たことはないけどねー...」


「それでね、3種類の金属を層のようにして...つまり、 ≡ みたいな感じで黒・金・虹の3種類を重ね合わせてひとつのリングを作ることで、世界でも俺たち3人だけが着けているようなオリジナルの指輪を作ろうと思っているのだ!」


「おー?」


「それは確かに出来たらすごいと思うのだけれど...その3種類って伝説の金属ばかりでしょう?」


「う、うん」


「ほんとにあるのかしらねぇ」


「それを3人で探すんだよ! 絆も深まるし、思い出もできて、お揃いの指輪が完成したら素敵じゃない?」


「いいねいいねいいねー!」


「そうね、私も妊娠期間中はずっと冒険行けてなかったし、久々に楽しそうね」


「そうこなくちゃ」


 2人と手を繋いだまま...


「ペネトレーションワープ!!」


 いきなり()()()()()()()()()、30階層へとワープする。


「え!?」


「んぅー? ここは...」


「あ、ボス部屋に飛んじゃった」


「ちょっとカズヒトー!?」


「あはははー」


「ごめんなっさーい!!」


 マッネーのダンジョンで見たガーディ・ィェンみたいな敵3種類が襲い掛かってきた!


 っていうか


「あれ!? あのボス達の色...!」


「黒・金・虹色をしてるわね...」


「カラフルー!」


「これはもしかするともしかしちゃうんじゃないか? フル鑑定!」


「どう? カズヒト?」


 3人共喋りながら波状に飛んでくるビームをひょいひょい避けながら会話を続けている。

 マッネーの100階層ダンジョンを攻略した3人にはイージーモードなダンジョンである。最下層だとしても。


「きたきたきた! それぞれ3種類の伝説の金属をドロップするぞ!」


「それはまた...すごいわね」


「わぁい!」


「そんじゃサクッと倒しちゃいますか! フェノメクション!」


「シャイニングアロー!」


「お? 新技だね」


「うふふ」


「セプテントリオンキャノン!」


 3人から放たれた技の奔流で、ボス達があっという間に崩れ落ちていく。


 ボト、ボトリ、と。


 黒・金・虹の金属がドロップする。


「いよっしゃぁぁ!」


「やったわね」


「わーい!」


「とりあえずボス部屋の外に出ようか。ランブレスト! とりあえず、俺の分身が料理作るからゆっくり食べながら待っててよ。俺は精錬と加工をやってみるよ」


「カズヒトの料理、久々だから楽しみだわ!」


「わぁい! ごはんごはん!」


 なんだろう...指輪よりご飯のほうが食いつきがいいような気がする...複雑だ。

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