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プロローグ
東北県の片田舎、小さな県立学校の小さな音楽室で、
日々練習に励む吹奏楽部。
部員、中高合わせて45人、
ステージにはいつも全員揃って立つのがお決まりだ。
演奏会ではいつも、
曲を演奏する前に、私たち吹奏楽部のモットーである言葉を
ステージで叫ぶ。
ー……その言葉は、
「音楽は、愛だ!」だ。
吹奏楽部で6年間を歩んできた今となっても尚、
この言葉の意味に思い老けることがある。
果たして、私たちの奏でる音楽は本当に愛なのか。
そもそも自分の思う愛とは何か、自分の奏でたい音楽とはどういうものなのか。
華やかで、聡明で、感動的で、立体的な、
そんな、私にとっての吹奏楽を、拙い言葉ではあるが、綴っていこうと思う。