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Blue Bell  作者: 藍田理
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国内、ルリア

作者が文章力の向上のために作成したものなので言い回しがおかしい場合がございます。ご了承下さい。間違いがありましたらコメントや誤字報告でご報告お願いいたします。

 ―とある姫君の話―

ひとつの国を治める王と妃の間に姫君が一人生まれた。

王と妃の関係は政略結婚で成り立ち、その姫君が次に国を治める者となった。姫君はルリアと名付けられた。

 

 ―国内の風景―

国は海外との交易を積極的に行い、食糧や資源が豊富であった。

また、治安も安定しており王宮以外の民も貧窮に悩まされることはなかったそうだ。しかし、身分制が厳しいことで差別に苦しむ人々が多く存在した。

これは王が身分をひどく気にしていたことが原因であった。

そのため割り振られる土地の広さ、病気の治療の優先順位などが平等ではなかった。


 ―民の身分―

貴族・・・民の中で最高位の身分。与えられる土地が広く、王宮付近に住む。一部の貴族は召し使いや兵士に選ばれるため王宮に住む。また医者もこの身分に含まれる。奴隷を飼うことが許されている。


商人・・・貴族や王宮の者を訪ねて商売をする貴族商人、街に店を構え貴族以外の平民なども商売の対象とする街商人がある。また貴族商人の中には食糧や資源以外に海外から連れて来た奴隷を召し使いや兵士として売りに出す者も多い。


平民・・・一般市民。農家もこの身分に含まれる。大抵は商人の構える店で働く者が多い。主に王宮の離れ、街付近に住む。


奴隷・・・海外の交易によって連れて来られた人々。貴族に飼われ、召し使いや兵士にされることが多い。その他は交易のための荷運びのように商人のもとで直接働かされる者や娯楽のための道具として使われる者がいる。








晴れ渡った空の下、街の大通りを1台の馬車が走り抜ける。馬車の中には妃のピア、そして娘のルリアが並んで座っており、2人の前にはお供の召し使いが1人控えている。やはり連れて行くべきではなかったと後悔するピアだったが瞳を輝かせながら街を眺める娘に心を和ませた。しかし不安を拭い去ることができずにいるとそれを察した召し使いがピアに尋ねた。


「やはり不安でいらっしゃいますか?」


その問いにピアは瞼を伏せ静かに頷いた。


「これから向かう場所はこの子には危ないかも知れません・・・・・」


「今からでもルリア様を王宮へお送り致しましょうか?お供の召し使いでしたらすぐに手配できますが・・・」


そこまで召し使いが言うとピアは考える素振りを見せ少し間を置いて答えた。


「いいえ、連れて行きましょう。無知なままで居て欲しくはありません。私達貴族が不自由なく暮らすことができるのは奴隷という理不尽な身分を設定されてしまった何の罪も無い人々の働きによって成り立つということを幼くとも理解しておいて欲しいのです。」


「承知いたしました。」


召し使いは表情を変えず短く返事をした。するとピアはその返事に対して申し訳なさそうに口を開いた。


「せっかく提案をいただいたのに、ごめんなさい。」


「・・・いえ!ピア様がお考えになっていらっしゃることを理解していなかった私に非があります。」


「いいえ、あなたは私のわがままを何も言わず理解して下さる頼もしい方ですよ。」


ピアはそう言って召し使いに優しく微笑んだ。そして未だに街を眺め続けている娘を見つめながら召し使いに尋ねた。


「この子はどう思うでしょうか、悲しい方たちを助けようと思うでしょうか、それともあの方のように・・・」


「ピア様が伝えたいとお考えならばきっとルリア様にも伝わるはずです。こうして私にも伝わっているではありませんか。」


その言葉を聞いてピアは少し心が軽くなった気がした。そしてこれから向かう場所についての話題へ移った。


「今回は商人の方たちの娯楽施設を含む酒場を尋ねる予定でしたね・・・品定め・・と言いましたか、一度見たことがありましたがむごいものです・・・・」


召し使いが話を続ける。


「品定め、奴隷どうしを闘わせ勝ち残ったものは兵士として売買する・・・と言った意味合いで商人の間では使用されています。ちょうど昨夜外国からの奴隷船が街の港に到着したようですから、品定めは今日行われるのではないかと思われます。」


大通りを抜け太陽が反射した海が見える港が近付いてきた。ピアはこのような日に似つかわしくない快晴の空を眩しそうに見つめた。そして馬車が止まり召し使い、ルリアとともに酒場の前に降り立った。


「お母様、このおうちはなんですか?」


「ここは酒場と言うのですよ。」


そう答えたピアは表情を崩し、ルリアに目線を合わせて凛々しさを纏った声色で続けた。


「今から困っている人々を助けに向かいます。ルリア、あなたも手伝って下さいますか?・・・・人々を助けたいと・・思いますか?」


その問いにルリアは少し表情を強張らせたが、しばらくしてピアを真っ直ぐに見つめ力強く頷いた。それを見た召し使いは二人の前を歩き酒場の扉をゆっくりと押し開けた。






ルリアは生まれて初めて入った酒と煙草の混ざった匂いのする酒場の奥に広い舞台のような場所を見つけた。そしてさらに奥の鉄格子の中で怯えている人々、暗い目をして俯いている人々をじっと見つめていた。ルリアにとってそのような表情をする人々を見るのは初めてだった。

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