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月明かり

変な時間に目が覚めた。

時計を見ると午前3時過ぎ。


外は静かで虫の声が聞こえる。

昼間寝ていたので、やけにすっきりしている。


スーパーかねひでから少し歩くと海があるとオーナーの車の中で聞いていたので、少し散歩してみることにした。


他の人を起こさないように静かに寝床から這い出し、リビングを通り抜け、縁側に脱ぎっぱなしにしてあったビーチサンダルを探す。

あったあった。誰かがちゃんと揃えておいてくれたようだ。



しばらく歩くとヒタヒタと波の音が聞こえてきた。

波の音はとても静かで子供をお風呂に入れるように波は静かに岸壁を濡らしている。


海は黒くて、月以外には岸壁に明かりはない。


誰もいない岸壁に寝っころがり、空を見上げる。


大の字になってみる。


背中には昼間の太陽の熱がまだ感じられ、ぽかぽかする。


気持ち良いな。



ふと頭の中には仕事のことが浮かび、そのことを考えようとしてみるのだが、

深く考えることが出来なかった。



みんなは明日も数字に追われるのか。


僕は復帰できるのかな。



そんなことしか思いつかなかった。




少し肌寒さを感じはじめたので、また暗い帰り道を戻り、寝床に潜り込む。


肌がベトベトして気持ち悪い感じがしたが、シャワーの音で他の人を起こしてしまいそうなので我慢して朝まで待つことにした。


携帯で2ちゃんまとめサイトを読んで、いろんな人がいるな~と思いながら、時折、為替やダウの終値が気になって、その数字を見つめる。



昔の僕の情報という武器たちは、その輝きを今、完全に失っている。



クリニックの先生からもらった薬を飲んで、眠くなるのを待った。




次に目が覚めたのは日が高くなってからだった。


リビングから女性の声がする。聞いたことない声だな。


自分の身体がベトベトする。汗臭いのが分かる。

シャワーを浴びなければ、髭を剃らなければ。


女性の声は若くて、今はアーティスと話しているようだ。

アーティスの声のテンションから察するところ、結構かわいいとみた。



僕は今までの人生でいつも第一印象を大切に心がけてきた。

学生時代に主将してたときも、社会に出て営業マンになっても。



今は我慢だ。今の僕は人前には出れない。



目が覚めてから1時間ほどたった頃、どうやら二人は昼食の買い物に出かける様子だ。


どうか早く行ってくれ。とにかく肌が重なるところはネチャついてやばい。



二人が出かけたのを確認し、キッチンの脇の扉を開け、離れのようになっているシャワールームにシュッと入る。



はぁ~ サイコーだ。生き返る。



頭はクリニックの薬のおかげでぼんやりしているが、身体は爽快感と昨日買ったボディーソープの匂いに包まれた。

体を拭いたタオルをシャワールームの横にある裏庭に干して、リビングに戻る。


髪をセットするか悩んだが、このゲストハウスできっちりキメる方が違和感がある気がして、やめておいた。



しばらくボーっとしていると、テレビのワイドショーの料理のコーナーが始まり、昨日買ったカップめんを思い出したのでキッチンでお湯を沸かし、慣れた手順でお湯を注ぐ。


大学の時にアメリカに語学留学していたことがふと浮かび、あの頃はこのカップめんの味が無性に美味くて、そのたびにやっぱり自分は日本人だなっと思ったことを思い出した。


10年前か。あっという間だったな。


僕の中身は全然大人になってないや。。



そして食べ終わると、また眠くなり、穴ぐらに潜り込んだ。


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