貴方が悪いんだから。
どうして私から逃げるの?
私はそう問いかけた。
問いかけた先には腰が抜けて怯えることしかできない貴方。
何度も聞いた別れ話。
また繰り返し貴方は叫ぶ。
けど知ってるの。
貴方は私を愛してるんだもの。
そんな冗談聞き飽きたわ。
声を無視して歩み寄る。
貴方は這いつくばって離れていく。
せっかく私から近づいているのに。
そんなこと、今までなかったわ。
あら、今の私ちょっとだけ積極的かしら。
許してほしい?
何を言ってるのかちょっとよく分からない。
許すってなんのこと?
ただ貴方の隣にいたいだけよ?
私のもののはずなのにあの子がいたから。
邪魔だったからどかしただけなのに。
何が不満なの?
貴方は仕切りに私の手の中のものを見つめていた。
あぁこれね。
鈍い光を放つ刃物。
それを伝ってポタポタと滴り、赤い斑点が出来上がる。
握っている手はぬめりと生温かい液体が付着していた。
やめろ。やめてくれ。
そんな言葉も聞き飽きたよ。
貴方も私と一緒になりたいでしょ?
貴方の隣が取られるくらいなら。
いっそ。
貴方が悪いんだからね。