闇龍アルエス、その1―闇龍の魂―
三色の宝石と十柱の龍神達、そして闇龍により亡き者にされた魔族達の導きにより、リタ、ヨゼフ、ナンシーは、闇の空間アウン・ファレルの端に着いた。
「とうとう、私達はここまで来たんだね」
「ああ。ここまで長かったよね。でも、闇龍を倒せば、ガルドラは元の平和な魔界に戻るはず」
「そうね。きっとそれが、砂龍神デュラックの本当の願いよ」
三人は闇のように暗い要塞のような場所を、ただひたすらに走っていく。
(今度は封印するのではなく、闇龍を倒す。魂も肉体も、闇龍に関する物なら全て取り除かなければならない)
その思いを胸に、三人は闇龍の肉体がある場所に向かう。
きっとあそこに、あの魂もいるはず。ナンシーの言う通り、命をかけてでもアルエスを倒さなければならない。真の勝利。――それは邪悪な存在を抹消し、二度と蘇らないようにすること。そう思うとリタは、胸が痛くなるのだった。それは、ヨゼフやナンシーも同じだった。
要塞は山のように高く、険しいものだった。
ダブの遺跡のように何段も何段も階段を上り、幾つもある梯を登り、リタ達は黒雲がかかった区域に入る。その区域はレザンドニウム領国の魔道城の屋上にかかっていた黒雲と同じく、闇に染まっている。
視界が遮られ、懐中電灯なしでは到底進めないほどに、辺りが暗くなってきた。三人は懐中電灯を片手に、階段を上りきった所にある回廊をゆっくりと進む。その時、三人の頭を、誰かの声が過った。
『よく来たな、フィブラスの砂龍王子――いや、砂龍王女よ。俺に逆らい、十人の戦士を集めた報いを受けるが良い』――
身の毛もよだつような低い声が、三人の頭を痛めるように聞こえてくる。だが、彼女達はそれにも全く動じず、闇龍の魂及びその肉体が待つ部屋へと進む。
光が降りた場所から北西に七メートル進むと、そこには薄紫色の縁取りがしてある大きな扉があった。
「ここだね。闇龍の魂が向かった先は」
リタは冷静に言った。三人は大扉を開き、中にある肉体を見た。闇のように黒い体に、白い鬣、そして薄紫色の角や目。その体は、レザンドニウム領国で魂が見せたように大きく、鋭い牙や爪が今にも三人に襲いかかってきそうな雰囲気を醸し出している。
その威嚇するような眼差しは、いかにも《命を吸い取る能力を秘めた邪悪な龍》という風格だ。
三人は魂を威嚇するように、それぞれの武器を構える。今、魔界の平和をかけた戦いの火蓋が、切って落とされた。




