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ガルドラ龍神伝―闇龍編―  作者: 水沢らくあ
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三色の宝石の秘密、その1―リタの親戚達―

魔道族のキア領主の呪縛を解き、ことは片付いたかのように思えた。だが、それも束の間、キアに取り憑いていた魂が、実は千五百年前に第三砂龍王子デュラックとその仲間達によって封印されたとされていた闇龍アルエスであることが、判明した。


 リタは再び闇龍を封じようと、仲間達の力を借りて巨大変身をして、彼に立ち向かった。が、闇龍の圧倒的な力で、彼女達はレザンドニウム領国よりも遠くに吹き飛ばされてしまった。そしてここは、ポラテルドほどではないが、大きな島。


 ガラスが埋め込まれているかのように、太陽の光を反射して水色の砂を照らしている。その光は、十人の少年少女が倒れている姿をも明るく照らし出す。光に導かれるように、偶然通りかかった一人の少女が、十人の所に駆け寄る。


「リタ姉様? しっかりして下さい、お姉様!」


 青いドレスに身を包んだ少女が、傷だらけのリタの体を揺するが、彼女の反応はない。心配になって彼女は、試しに他の龍戦士達の体も揺すってみる。だが、リタと同じく何の反応もない。


(大変。早くお父様やアナイスを呼んで来ないと……)


 少女は顔を真っ青にして、父親と他の男性を呼んで来た。しばらくして、彼女は二人を連れてリタ達の所に戻って来た。


「ルトワンヌ、そんなに慌ててどうしたというのだ?」


 シルクハットを被った男性が、ルトワンヌと呼ばれた少女に訪ねた。少女は、水色の砂の上に倒れたままになっている十人の龍魔族達を指差す。その十人が龍戦士達だとわかると、男性は他の魔族を呼び、彼女達を運ぶ。


(それにしても、なぜリタ姫が? レザンドニウム領国で、何が起きた?)


 男性は様々な疑問を浮かべながら、リタ達を自分の家に運んだ。十人が運ばれた場所は、家、というよりも貴族の邸を思わせる感じのする建物だった。その邸内の寝室に十個並んでいる赤色のベッドの上に、十人の龍戦士達は寝かされた。


 しばらくして、砂龍戦士リタが目を覚ました。彼女の目の前には、黒いシルクハットを被った男性と、青いドレスに身を包んだ十二歳くらいの少女がいた。


(叔父上、それにルトワンヌ姫まで。ということは、ここはログテル砂漠なのか?)


 リタは思った。彼女は目覚めて早々、ベッドを貸してくれた礼を言う。


「この度は私達を助けて頂き、恩に着ます、叔父上。先程までレザンドニウムで、闇龍と戦っていました」


 リタが言ったことに、叔父のトルード侯爵と従妹のルトワンヌ姫は目を丸くする。


「アルエスが……。そうか、あなたも大変だったのだな、リタ姫よ。今夜はゆっくりしていきなさい。他の龍戦士達の手当ても必要だからな」


 トルード侯爵はまだ驚いていたが、心の中に追いやる。


 侯爵達が部屋を後にしてから、一時間が経過した。時刻は午後四時を回り、夕方の空がリタの心を憂鬱にする。彼女の右足の腫れや右二枚の羽の傷は、嘘のように引いていった。


(まだ、みんなは目を覚まさないのか……)


 そう思うとリタは、深く溜め息をつく。


(あの時、私が無鉄砲にアルエスの前に出なければ、みんなをこんな目に遭わせずに済んだ。やっぱり、私には龍戦士達の隊長は務まらないんだ)


 リタはレザンドニウムでの出来事について、自責していた。彼女がしばらく空を眺めていると、次第にヨゼフ達が目を覚ます。彼らはゆっくりと起き上がり、同時に自分が怪我をした箇所を触ったり鏡で見ながら、体の様子を窺う。


(俺達、確かキアの行動に歯止めをかけて……。というか、闇龍と戦ってというか……。この辺りの記憶は、曖昧だな)


 葉龍戦士ヒアは、首元の傷を手鏡で見ながら、レザンドニウムでの出来事に関する記憶を辿っている。リタは他九人の無事を確認すると、現状を説明する。九人はふむふむと頷いている。


「ここがログテル砂漠か。だとしたら僕達は、レザンドニウムからかなり飛ばされたことになるね」


 華龍戦士ニアロスは、不思議な発言をする。彼の言っていることが正しいかどうかを確かめるために、水龍戦士ヨゼフは黄色いカーペットの上で地図を広げる。その地図によれば、レザンドニウム領国からログテル砂漠まで、十三キロもあるという。それを見て一同は、顔が青くなった。


(じゅ、十三キロも? よくこんなに飛ばされて、僕達は平気だったな)


 ヨゼフは自分達の無事に感心していたが、それがリタの親族のおかげであることを忘れなかった。ヨゼフが地図をリュックにしまった瞬間、彼の胸元に隠してつけている青い雫型のペンダントが、輝き始めた。


「ヨゼフ、このペンダントは?」


 岩龍戦士リアスが、不思議そうに青く輝くペンダントを見て言った。


「これは僕がリタ達と一緒にアヌテラを発つ時、ラノア族長がくれた《雫のサファイア》って宝石だ」


 しばらく十人が《雫のサファイア》という宝石の輝きに見とれていると、メイドらしき女性が十人分の食べ物と飲み物を持ってきた。「リタ殿下、ただいま食べ物と飲み物をお持ちしました」


「ありがとう、そこに置いといて」


 リタはメイドと当たり障りのない挨拶を交わし、銀の盆を九人の所まで運んだ。銀の盆には、フルーツポンチやサラダ、そして苺のケーキや紅茶があった。


 早速十人は、サラダをつまむようにして食べた。その時、雷龍戦士ペレデイスが、九人に先程の現象についての話を振る。


「なあ、ヨゼフはあの現象についての話を、聞いたことがあるか?」


 ペレデイスが訪ねると、ヨゼフは首を横に振る。彼の代わりに、火龍戦士ナンシーが答える。


「その話、私達火龍族に語り継がれてる話にあったわ」


 ナンシーの発言に、一同が目を丸くする。「そ、それは本当なの、ナンシー?」


 風龍戦士ビオラが訪ねたのに対し、ナンシーは首を縦に振る。


「でも、聞いたのは五歳の時だから、記憶が曖昧だけど……」


 ナンシーは、言葉を詰まらせる。

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