発覚
『凉奈。もし、僕がいなくなって寂しくなったときはこれを想い出して。ごめんね、……好き』
『…え?聞こえなっ…』
もし君が僕を想い出した時には僕はもう居ないだろう。
だから、この夏には最高の想い出を……最後の夏休みを。
きっと花火の音と歓声にかきけされ、聞こえていないだろうけど。
*
『ごめん。僕、心臓に病気あったみた、い?』
それはある日のこと。
僕は学校で突然心臓に激しい痛みを感じ、そのまま倒れてしまった。病院に行ったところどうやら病気のようで。
まだ初期段階だけれど、入院をしなければ"命が危ない"らしい。
『いやっ…ちょっと、まじめに……?』
『うんっ……』
思わず涙が出そうになるのを堪えながら頷く。
前髪の隙間から上目で凉奈を見ると、堪え泣きしているようだった。
『……ッ、治るんだよね……?』
"治る"。
まだ初期段階だから、多分治るはず。
しかし佑は幼い頃から少し病気がちで、体が弱く、治るかどうかははっきりとはわからない。
しかし凉奈に心配をかけたくなくて、思わず『…治るよ』と言ってしまった。
凉奈は『よかったあ、』とほっとした様子で。
それがまた切なくなった。