プロローグ
ヒカリは生まれついての身体障害者だ。
生まれつき足が不自由な彼女はそれでも、友人も多くて社交性の高い活発な、ショートカットの黒髪と青目を持つ美少女だ。年齢は大体13~16歳位で、車椅子に巻き込まれるのを嫌って丈の長い服やヒラヒラした服は着ないようにしており、大体いつも青いビキニアーマーに青の指ぬきグローブとショートブーツという出で立ち。
幼少の頃から車椅子に乗っている為、腕力は同年代の女子はおろか、男子ですら勝てる者はそうそういない。
ここで、彼女の服装と日々の暮らし、この世界の仕組みについて少々触れておかねばならない。
この世界そのものには明確な固有名詞が存在せず、只単に世界と呼ばれている。世界には以下の三種類の種族が存在し、互いに一触即発の空気を漂わせている。
1.人間:言わずもがな。但し魔法が使える人間もいる。
2.魔物:所謂モンスター。人間に比べて多種多様な種族がいる。知能については個体によって千差万別。
3.ロボット/サイボーグ:この世界におけるロボットや機械兵器の大半は、数千年前の戦争で投入された言わば『古代の遺産』。戦闘用に作られて今なお大多数が稼働状態にあり、その癖最早戦闘員と非戦闘員の区別が出来なくなっている事から一般人にとってはモンスターと変わりない存在である。サイボーグは現実におけるサイボーグと同義。
ヒカリはそもそも、特別な血筋を持たない一般人だ。この世界の人間の半分は魔法が使えると言われるが、ヒカリもその約半分の人間の内の一人だ。名前の通り光を操る魔法を使う彼女は二年前の武闘大会で魔法の使用が認められていたとは言え、自分より屈強で健常な他の出場者をバッタバッタとなぎ倒し、その時の優勝賞品として、前述のビキニアーマー一式を贈られたのだ。
これは、他人よりちょっと強い力を持つ車椅子の少女が巻き込まれた、理不尽な闘いの物語。