6.思い出すアルラント。
その俯く様子ををにこにこと笑いながら見るアルラントは思っていた。
あんな適当な召喚でこんな少女が、こんなにすごい魔力を持っているとは、思いませんでしたが…魔力だけでなく容姿を美しい。これは期待できそうですね…それに私より強い!あぁ…魅力的です…
そんなことを思いながらもアルラントはほかのことも考えていた。
「アルラント!!本当に少女を召喚するのか!?」
「するって言ったらしますよ。そんなこともわからない単細胞な頭なんですか?もしかして頭のねじが緩すぎてそこから最近が入って脳みそ腐りました?大丈夫ですか?」
「相変わらずの毒舌!!でも気にしないのがオ・レ・☆」
などど苛つくことをアルラントの部屋でぬかしている男はアルラントの幼馴染の親友ともいえる人、シヴァ・レイシアだった。シヴァはアルラントの親友だがイファナの国の大臣だ。
「何がオ・レ・☆ですか。なんですかついに本当に腐りましたか。それとも恋人ができて浮かれすぎてるんですかね、そんなんだったらいつか別れますよ。」
「それは嫌だ!!なんでレナと別れなきゃ…っていうかアルラント、お前『王様』だからってなんだよ、もう・・・。俺にそんなこと言えるのはお前しかいないぞ。」
「私にそんなあほみたいなバカらしい口きけるのはシヴァだけですよ。」
「うぅ…また負けた!!」
なぜか本当のことを言っただけなのに膝と手を床につけて項垂れるシヴァにアルラントは『風の釜』を二つ投げる。
「うおっ!?王様が殺人しちゃダメな」
シヴァの言葉は最後まで続かなかった。
アルラントが笑顔でものすごい量の書類をシヴァの目の前に置いたからだ。
「これ、やっておいてくださいね?あぁ、ちなみにシヴァへの婚姻届も入ってますから、やらなきゃ損ですよ?」
そのままアルラントは笑顔で部屋を出る。そのまま廊下を突き進むがいつまでたっても聞こえるシヴァの
「アルラント--------------!!ごめんなさいっていうから助けてぇぇぇぇぇぇぇ…」
その声を聴きメイドたちが駆けつけるがアルラントの部屋に勝手に入るということは王様の部屋に許可なくはいる事。なのでメイドは入らずに、「シヴァ様!!どうなさいました!?」と言っている。だがドアには防音効果の魔法をかけているのでそんな声は聞こえない。
「……自業自得、ですよ?シヴァ・レイシア。」
そのまま魔術師長のもとへと向かう。魔術師長の部屋に入ると魔術師が魔法で実験していた。
「……オフィーさん、またやってるんですか?また爆発しますよ。この研究室は結構高いんですよ?」
「うぉおっ!!ビックリした……なんじゃ、アルラントか、老人を驚かすでないぞ!」
「オフィーさんが勝手に驚いたんでしょう。」
それを聞いてふぉっふぉっふぉと笑う。
「ねえ、オフィーさん。本当に召喚するんですか?」
「するぞぃ。」
「なぜ?」
「イファナの国とユラスは大変非友好的じゃ。そのため最近は兵器を投入しようかとユラスの国の王が話し合っておった。イファナのほうが技術は優れているが…ユラスじゃから不安なのじゃよ。そんな時のために準備をしておくのじゃ。強ければアルラントの嫁にもなるし、一石二鳥じゃ」
「でもオフィーさんの魔力が一気に減ります、命が危ないんですよ?」
「ふぉっふぉっふぉ、大丈夫じゃよ。何せわしにはお前という最強の必殺技がおるんじゃからのぉ、ふぉっふぉっふぉ」
それを聞いてアルラントは少し恥ずかしそうならがらにもオフィー…魔術師長にあいさつを言って、部屋を出る。そして自分の部屋に戻った。
「みんな…召喚することに疑問を持っていない…なぜ?」
そう、思ったことを思い出し、アルラントは誰にもバレないように、くすくす笑った。