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5.魔術師長はおじいちゃん?

無理やり魔術師長の部屋に連れてこられた玲菜の目の前には優しそうなおじいちゃんがいる。このおじいちゃんがアルラントのいう『魔術師長』かな?すっごく険しい目で見られてるんだけどさ…メッチャコワいんだけどさ…。



その玲菜の考えを見透かしたかのように「大丈夫ですよ」と頭を撫でるアルラント。


「……1067もあるのか……わし何て400程度しかないというのに…期待できそうじゃの」

「85の光の球を軽々とはねのけましたよ、しかも無意識に。」

「っ、なんと……すごいのぉ……。」


さらにまじまじと見るおじいちゃんに玲菜はビビッていた。


「え、あの…何ですか?」

「おぉ、すまんの…あまりに純粋できれいな魔力じゃったから…見惚れてしまったわぃ。」


ふぉっふぉっふぉと笑うおじいちゃん。あははは…と笑う(苦笑)玲菜。その光景を見て温かく見守っているアルラント。



……アルラント助けろよ!!何温かく見守ってんだよ!!…いま目合った!!目合ったよね!?何その見て見ぬふり!!ファディーーー!!たーすーけーてー……



「ふぉっふぉっふぉ…そんなに怯えなくてもいいんじゃよ、れいな」

「? なんで私の名前を?」

「れいなの隣に浮いてるファディーナンド様…失礼、ファディが教えてくれたんじゃよ。」

「え?おじいちゃん見えるの?」

「おじいちゃん…ふぉっふぉっふぉ……そうじゃ、見えるんじゃよ、わしは特別でな」


またもやふぉっふぉっふぉと笑うおじいちゃん。


「あのですねぇ…なんかアルラントに無理やり連れてこられたんですけど、なんで来たんですか?」

「ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ…ちょっと魔力を見ただけじゃよ…ちょっとわしの魔力全部出してみるが…耐えきれるかのぅ…」


とかなんとか言いながらおじいちゃんは頭に手をやって、そのまま手をグーにして、体の前にやると玲菜に何かを投げるかのような動きをした。すると1秒後、玲菜の体に何かウザい物質…魔力が400ぶん、増えた。


「うきゃあ、気持ち悪っ!!」


テーイ!と何かを魔術師長に投げるとその魔力は戻る。


「おぉ…なんと……。400何てそう簡単によけられるものでもないというのに…さすがじゃのぅ、ふぉっふぉっふぉ…」



またふぉっふぉっふぉって笑ってるねおじいちゃん。ところでアルラントは何し……何やってんの!?え、え、なんか手の中に作り出してんだけど、怖いッスよアルラントさん!超怖いッスよ!!



アルラントの手の中には光の球の闇バージョンと言えば分るものがおよそ20センチぐらいの大きさで作り出されていた。


「アルラント!?なにやってんの!?」

「あれ、バレてしまいましたか。ひっそり闇の球をぶつけてみようと思ったんですが…。」



そ、そういえばなんかぼそぼそ言ってたような気が…。っていうか闇の球って光の球の闇バージョンなんだよね?だったら手の中に闇を集めるイメージで……あ。できた。



いつの間にか玲菜の手の中には闇の球。それも50センチを超える強大な玉。


「おぉ……もうここまで行くと怪物級じゃないですか…。理想的ですね…!」


理想的ですね…!でとてもうれしそうに笑うアルラント。


「アルラント……やはり性癖は変わってないんじゃな…ふぉっふぉっふぉ」



性癖って何!?



「アルラントは自分より強いものに恋い焦がれるのじゃよ。わしはアルラントより強いは同性なのでのぅ…でもれいなは異性じゃからな…れいな頑張るのじゃ!」

「頑張るのじゃ!ってなんですか…でも強いれいな、大好きです!!」


いきなり抱き着いて来ようとするアルラント。それを見て凄まじく青い顔をする玲菜。



げっ!なんか向かってきた!!ぎゃあああああああああああ…



「うわぁ、来ないでえええええ!!」



誰助けてえええええええ、と真剣に思った玲菜の前に、とてつもなく美形な騎士が現れる。その騎士は玲菜を見てにっこり笑うとアルラントに手をかざし、何かを呟く。するとアルラントは元いた場所にもどる。


「あれ?」

「………呪文を言わずに…『英雄』を呼び出したとな…。」

『あ、エセルだ。』

『ファディ様、玲菜様のもとにいたんですか?』

「うん。エセルもれいなのとこにいたの?」

『はい、玲菜様がこの世界にいらっしゃった瞬間、私は玲菜様のおそばにいました。』



え、マジですか?じゃああのベッドから落ちた時もいたの!?ということは見てた!?うわ、恥ずかしい…。



一人でうつむく玲菜。

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