3.妖精のファディ
「……ドコはここ?……あ、反対だった。いや、でもここ………どこだ?」
玲菜が目を覚ますととてつもなく豪華な部屋だった。豪華な部屋の豪華なベッドに寝かされていた。急いでベッドから降りようとしたが急ぎすぎて落ちた。
痛っ!!…うあぁ~…あざできそうだわぁ………。確か自分は学校の帰り道を歩いていたら…水たまりに埋もれて。いや、
まず水たまりに埋まるってまずないと思うけど。とりあえず探索するか。
部屋を歩き回ってそこらじゅうをじろじろ見る玲菜。
「ん~…まず外を見るか。外見てからのほうがいろいろといいことがありそうな予感がしなくでもない…。」
そとを見ようと窓を探したが窓がどこにもない。探しても探してもどこにもない。
「え?なんでないの?密室!?…あ、ドアあったや。一回出ますか…。っていうか、あれ?なんで服濡れてないの?」
水たまりなのだから濡れるはずなのだが玲菜の服は全く濡れていない。変だとは思いながらもドアを開けようと近づいたとたんに、玲菜に異変が起こった。
体中にいつもと違うような感覚。何かがまとわりついているような、振り払って踏みつけたくなるようなイライラするものが、体中にまとわりつく。
「え、何これ気持ち悪。なんか…うざい。っていうかなんなの子の目に見えない重たい空気みたいなの。振り払っても……取れないし。」
暴れまくっても取れない物質。しばらく黙って考えているとボソボソと声が聞こえてきた。
『れいなちゃん、きこえる?』
「聞こえるけど…誰?」
『えっとね、ボクはこのセカイでいうようせいなんだ。ファディっていうんだ…よろしくね?』
「うん…よろしく。で、何の用?というかこのウザい物質何。ファディ?姿現して。」
姿見えないし変なとこから声聞こえるしメッチャコワいんだよね。声的に幼いけど…妖精って何。
普通の家ならあぁ、そこに窓あるよね。って言えるくらいの場所に何かが現れた。
ふわふわしている桃色の髪の毛、おっとりして眠そうな緑いろの目。身長は妖精だからなのか手のひらに乗るサイズ。一言で言うとショタだ。
「え、ショタ?」
『あはは…ショタってなにかわかんないけどちがうとおもうよ…あのね…ここはれいなのせかいとはちがうせかいなの…あのね、イセカイってわかる?』
「ん?異世界のこと?」
『うん…そうなの。それでね、れいなちゃんはそのせかいにきたの。』
「へえ~…そうなんだぁ……って、え?!!異世界来ちゃったの!?
みずたまりからまさかの異世界トリップ?えええええ…」
『うん…でね、もともとのせかいにかえりたいとおもう……?』
「帰りたいって聞かれたら帰りたいって言えるよ。でもこのパターンからいえば帰れないんでしょう?」
『うん…そうなんだ…なんか…かえれないってきいたわりにはおちついてるね』
「だって帰れないならどうあがこうが帰れないでしょ?もうこの世界で生きるしかないんだからあわてても体力の無駄だし。」
『そっか……。ボクはれいなちゃんのそばにずっといるから…そ…ろそろ…げんか……い…ばい…………ば…い……。〗
「え、ちょ、待っ……いっちゃったよ……。」
突然限界だか何だかとか言って消えてしまった妖精のファディ。
そばにずっといるとかきもいけど…。まあとりあえず帰れないんだよね。
「異世界トリップ?これはあれか、王道のちーとのうりょくだかなんだかがあるのか。……あっ、このうざったいのがそれかな?」
『えっとね、それはまりょくだよ……』
「うわっ、ビックリした!てか喋れんのかよ!!」
『うん…あともういっこ……せかいのゼンブのことばがわかるんだよ……でも…とりあえずそとにでようか…」
横にふよふよういてそうなファディが右手をすっ、と動かした気がした。するとドアが勝手に空いた。
『さあ…どうぞ…。』
ちょっと怖いし言葉が全部わかるとか怖すぎるなんて思いながらも玲菜は外に出た。
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