2.トリップの世界
白い、白い神殿のような場所で、30人近い人数が集まっていた。
その人たちの服装はどれも異様で紫のローブ、白いローブ。黒いローブを着ている者もいる。その人たちの真ん中には複雑な魔方陣のようなものが書いてあった。魔方陣の一番近くにいる二人が喋っている。
「本当に召喚するんですか?魔術師長!」
「あぁ、もうこうなったからにはするしかないのじゃ…。」
「で、でも召喚して失敗したら魔術師長が死にますよ?」
「いいのじゃ。さあアルラント、召喚するぞぃ。」
白い長い髭が生えている長身のおじいさん。魔術師長と呼ばれている。アルラントと呼ばれた男の子は銀髪の紫色の目をしている。長身で顔は整っているが口は皮肉げに歪んでいる。
その二人が立っている
「―――――――――――――――――――――――————―」
おじいさん…魔術師長が長い呪文のようなものを言った瞬間に、魔方陣が輝きだす。その光景を見て息をのむ人たち。アルラントは歪んでいる口元をさらに歪ます。魔方陣から虹色の光が漏れ出して光が魔方陣の上に集まりだしていた。
「虹色の…………光ということは………………。」
「成功じゃな…」
魔術師長はうれしそうな顔をする。
急に光が消えて魔方陣の光があった場所に一人の少女。その少女はゆっくりと魔方陣の場所に落ちていき、魔方陣は消える。
「黒髪………異様な容姿ですね……。」
「………………そうじゃな…。」
周りの大勢の人たちはざわざわ言い出す。
「ざわざわ煩いですよ。この少女が起きてしまいます。黙りなさい。」
そのアルラントの一言だけで黙る人たち。その様子を見て魔術師長は思う。
ずいぶんと恐れられてるのぅ…まあ『血の騎士』じゃからなぁ…ひゃひゃひゃ、成長したのぅ
「さてと、じゃあまずはこの少女を運ばなくては。リーラントー!!この少女運んでくださーい。」
「えー俺がー?わかったよーだ…。」
リーラントと呼ばれたものは妖精だった。容姿は整っていて髪の毛の色は青。目も同じ色だ。その妖精が指をクルリと回すと少女は消えた。
「アルラントの部屋に運んだぜ。じゃ、ばいびーだ。」
「アルラントさんの!?危険ですよ!!」
「いいんですよ。それともあれですか、リーラントの意見に逆らうのですか?」
「い、いえ。そういうわけでは…。」
リーラントは消えたがそのあとにリーラントを否定するような発言をした男はアルラントに脅されて黙る。
「では、魔術師長…ちょっとあの少女を見てきます。」
「あぁ、いってらっしゃい」
アルラントが手をパン―とたたくとアルラントは自分の部屋に戻る。
「あの少女が救ってくれればよいのじゃが…この召喚が吉と出るか、凶とでるか…少女次第じゃな。」
アルラントが消えた後つぶやくように言う魔術師長。心配そうな表情もあるがどこが嬉しそうだ。
「小さな少女ですね…。」
アルラントの部屋は白をもとにした金の刺繍が入っている部屋だ。豪華な装飾が施されている家具ばかり。その部屋にある天蓋付きベッドには先ほど召喚された少女が眠っていた。
「目を覚ましたらどのような顔をするのでしょうか…楽しみですね」
くすくす笑うアルラントはとても楽しそうだ。