第五章
霊夢は商売モードだったりしますwww
第5章
春の博霊神社…と言っても花見の季節はとっくに過ぎている。梅雨になる前にひと騒ぎしておこうという魂胆のようね。私は基本的に騒がしいのは嫌いなのだけど、魔理沙と付き合い始めてから嫌いではなくなっていた。むしろ周囲の人間、妖怪その他諸々と親交を深めるのは悪くないとさえ思っている。なんだかんだで助け合ったり出来るでしょうし。
神社に向かうと既に宴会は始まっており……と言うか参加者の大半は既に出来上がっていた。開始5分前に来てみたはずなんだけど…。
きょろきょろと視線を巡らせながら縁側に座り、萃香から御猪口と徳利に酒を貰う。
「なくなったら言いなよ」
「ええ」
「おーい、萃香!こっちも注いでくれ!」
萃香は完全に出来上がった魔理沙に呼ばれるとそのままふらふらと宴会の輪の中に戻っていった。そして入れ替えに霊夢がやってきた。
「アリスが宴会なんて珍しいじゃない」
「私だって酒くらい飲むわ」
「家で一人でワインとか?」
「洋酒だけじゃなくて焼酎とか清酒とかもあれば飲むわよ」
「ふぅん。むしろ賑やかな所に来る事の方が珍しいか」
「まぁ、それはそうね。でも私だって周囲を拒絶してるわけじゃないんだから、たまにはこうして親交を深めたりしたいとも思うのよ」
「へぇ。」
霊夢は興味を失った様で割とどうでもよさげに相槌を打つと「あ、そうそう」と話題を変えてきた。
「アリス、このお札買わない?」
「なに、それ?」
「入口に貼ると室内に沿って結界を張る御札なんだけど」
「結界張ってどうすんのよ。室内で弾幕するわけでもあるまいし」
「弾幕もできるし、外の音も完全に断てるし。内部、外部からの衝撃にも強くなるし」
「室内で弾幕したら家財道具か壊れるじゃない」
しかしアリスは内心で少しその御札に惹かれていた。今回の研究は意識にまで介入する危険な術式。だから絶対に邪魔が入ってはいけないし暴走した時に何が起こるか分からない。だからその結界は保健として優秀に思えた。
「で、いくらで売ってるの?」
「買ってくれるの!?」
「値段次第ね」
釘をさしておかないととんでもない額を突きつけられるかもしれないし。
「そこはアリスの方でも組んでくれないかしら、7貫文ぐらい」
「6貫文なら」
「6貫文は安いわよ」
「いいえ妥当よ」
「安い!」
「ちょうどだって言ってるでしょう!」
「こうなったら弾幕で決めるわよ」
「やってやろうじゃない」
~~少女戦闘中~~
「よっし、私が勝ったから7貫文でいいわね」
「うぅ、この強欲巫女」
「とにかく7貫文でいいわね」
「払うから待ってなさいよ、少しくらい」
全く、神社の中だから手加減してあげたって言うのにあんなに本気の弾幕張らないでも…。にしても、ホントに部屋には傷一つないわね。性能は信頼できそうね。
アリスが御札を買って部屋を出ようとして御札をはがすといきなり障子が倒れてきた。そしてその上には魔理沙が乗っていて、ルーミアが魔理沙の上に乗っていた。
これは…どう言う状態なのだろうか。
「あいたたた…。上をどいてくれ、ルーミア」
「わはー。下敷きなのかー」
「で、何してたんだアリスと霊夢はこんな密室で、二人きりで、誰にも言わずに、こそこそと!」
「魔理沙、怒ってる?」
「今は何してたかを先に答えろぉ!」
「こたえろー」
やっぱり酔っ払いだった。これは、魔理沙は嫉妬してるの?それとも疑ってる?
「魔理沙、あのね…」
説明しようとした私の声に被せる様に霊夢がしゃべりだした。
「そんなの恥ずかしくて人に言える訳がないじゃない」
何を言ってるんだ、この巫女は。
「寝とられなのかー」
「霊夢、お前…私のアリスに手をだすn…おぇぇぇぇ!」
激昂して叫ぼうとして…思いっきり吐いていた。
「あんたねぇ…ッ!」
「う゛えぇぇ、気持ち悪…」
「悪酔いなのかー」
「出てけぇぇ―――ッ!」
霊夢の怒声が境内に響き渡った。
私は御札で密室にした研究室に籠り、術式の礎の部分までは術式を組み終えた。
なんだかんだでかなりの間、研究と魔理沙と会う事しかしてない気がする。
だから食料も生活費もかなり厳しくなってきた。近いうちにまた人形劇をしに行かないと。でも今日はゆっくりしましょうかね。
一応この話は布石になったりします。
ちなみに作中の「貫文」はお金の単位でyahoo!知恵袋の方で他ユーザー様の質問の回答から拝借しました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1227633857
一応そのページをぺたりと。