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第一章

最初の方はかなり章分けがアバウトだったりします

第1章



二人が出会ったのは魔法の森の小道だった。

アリスは里で人形劇をしている。生活費のためだ。そしてその人形の材料を里で買った…までは良かったのだが、帰りに特殊な素材で出来た糸を落としてしまったようだった。それも箱ごと。割と高いものだったので探しに魔法の森を歩きまわっていた。

気がつくと既に辺りは暗くなっており、木々の間から満月が覗いていた。

「しまった…。燃料が無いじゃない」

 ランタンを灯そうと思ったのだが、中身は空だった。

しばらくしてその糸を入れておいた箱を見つけた。その中は赤い糸なのだが糸はどこかに伸びていた。引っ張っても手ごたえがある。切れたら悲しいし、辿ることにした。


しばらく糸を辿って歩いていたら何者かの気配を感じた。と言うかなにかがいた。それは黒い塊に見えるけど、ところどころ尖っている様に思える。その尖った先に糸は絡まっていたようだ。実際暗くてようわからないけど。しかももぞもぞと蠢いている。

アリスは念のため人形を射撃体勢で背後に控えて近付くと、それは唐突に立ち上がった。突然だったものだから小さく声をあげてしまった。

「ひゃッ……!」

「ぅお!?」

 その塊は黒衣に身を包んだ人のようだった。その手にはキノコとごつごつしたなにかが握られており、そのなにかをこっちに向けてきた。私も反射的に人形を目の前に突っ込ませていて、出てきた断幕と人形がぶつかり大きな音を立てた。



糸を回収し、お互いに自己紹介と事情説明を行いながら共に道を歩く。

 彼女は霧雨魔理沙という魔法使いだそうだ。種族は人間だろう。キノコを採取に来ていたそうで、同じ魔法の森の住人だそうだ。

 まぁ、近所の者のようだし、仲良くしておいて損はないだろう。そう思っていたのが1月程前。


 現在は軽く後悔している。

 今では襲撃されては魔導書やら魔導具を強奪していくのだから。



 そして現在。私は魔理沙の家に来ていた。いつも魔理沙がそうするように断りを入れずに来てみたのだが、流石に窓を割って入るのは気が引けるので玄関のチャイムを押した。

 反応が無いので、少しドアを引くと、簡単に開いてしまった。

 なんかミステリー小説みたいな展開ね…。

 そう思いながら、足を踏み入れる。すると床に投げ出された足が見えた。そして匂ってくる鉄のにおい。


 え?

 まさか、そんなことはないわよね?


ゆっくりと覗き込むと、そこには…


うつ伏せに倒れて、ぴくともしない魔理沙


乱雑に開かれた魔導書


 そしてなぜか大量の鉄くず(一部さびていたり、火にかけられていたりする)


 …。まさかとは思ったが、そんなことはなかった。

魔理沙は爆睡していた。開かれた魔道書には錬金術について書かれており。魔力伝導のいい金属を錬製しようとしていた事がわかる。

完成品も失敗品も大量にあり、並大抵の時間と労力では到底出来ない量である。そういえば三日程前にうちから人形にもたせていたら折れてしまった剣を持っていっていたが、それ以来ずっとこもっているのだろうか。


「うんん…」

どうやら目を覚ましたようだ。

「ん?アリス?」

「ええ、おはよう」

「……。なんでここにいるんだ」

「別に良いじゃない」

「勝手に入るなよ」

「魔理沙にだけは言われたくないわね」

 少し硬直していた様だが、会話を交わしながらも火を止め、窓を開ける魔理沙。

「あ、そうそう昨日は。ありがとな」

「なにがよ」

「あの剣」

「…。あの剣を持っていったのは三日も前だけど?」

「そんなに経ってたのか。気がつかなかったぜ。道理で腹も減るわけだ」

 …。今何と?道理で腹も減るわけだ?もしかして何も食べてない?そんなに高度な術式じゃないにしろこんなにも大量に錬製をおこなったのに?魔法使いと言っても彼女は職業であってまだ人間の筈だけど…。


 彼女はキノコを帽子から取り出し、齧りつきながら私に問いかけた。

「ありふはほうひてここに?」

「先ずは呑み込みなさいよ」

「ん……。で、アリスはどうしてここに?」

「魔理沙の真似してアポなし訪問してみただけ」

「ちょっと勘弁してほしいぜ」

「そう思うなら今度から口約束でいいからアポとりなさい」

 魔理沙は少し頬を膨らませながら帽子からキノコを取り出し、齧りついた。

「で、今日はなんか都合悪いの?」

「…客人が来るんだ」

「そうなの?魔理沙が人を招き入れるなんて以外ね」

「…私は招いてないけど、押しかけてくるそうだ」

 魔理沙は一つ嘆息すると帽子からキノコを取り出し……。

「どんだけキノコ入ってるのよ!」

「ん?この帽子は魔導具の一つだぜ?たくさん入ってても不思議じゃないぜ」

 そう言う事を言ってるんじゃないのに…。まぁいいわ。

 外では風が強く吹いていた。

「…はぁ。で?誰が押しかけてくるって?」

「あ、…新聞屋の鴉天狗だぜ」

「あぁ、射命丸文だっけ」

「そう」

魔理沙は肯定しながら帽子からキノコを取り出した。そして私に差し出した。

「ゴシップのネタにされたくなければ帰った方がいいぜ。キノコやるから」

「別にやましい事なんてないから大丈夫よ。キノコも別にいいわ」

 そんないかにもな毒々しい色のキノコなんて、どうすればいいかわからないし。

 魔理沙はそのキノコを帽子にしまい、別のキノコに齧りついた。どうやら食用ではなかったようだ。そして唐突に魔理沙は外に歩きだした。

「ちょっと、どこいくのよ」

「ネタに飢えた記者のおでましだぜ」

その背中は少しげんなりして見えた。



魔理沙と共に外に出ると、そこには文がいた。

そして私の姿を捉えると、目を輝かせながら魔理沙に詰め寄った。

「また鞍替えですね!」

「違う!」

「例の妖精との失恋報道から四日で次の人を連れ込むなんて、やるじゃありませんか」

「その報道だってガセだっただろうが!」

「しかも相手は魔法使いですか。1年経ってもあの大図書館が忘れられないんですね」

「あいつとも何もなかった!」

「振られるのが早かったですし、仕方無いかと」

「だから!違うっていってるだろ!」


…。なんか、魔理沙が可哀そうになってきたんだけど。

あ、魔理沙。八卦炉取り出した。


「あぁ、もう!一旦黙れええぇぇぇ!」

文はひらりとかわし、質問…いや、取材を続ける。

「アリスさんのどこに惹かれました?」

「違う!そんなんじゃない!」

「もう、そんな段階はとっくに過ぎていると!?」

「違ああぁぁぁぁう!」


心なしか魔理沙の顔が赤い様な…。まさか私に気が…?

そう思った瞬間、アリスは魔理沙を意識した。そう、意識してしまったのだ。

 一度意識すると、なかなか振り払うことができない。


「魔理沙さん、顔が赤いですよ?」

「とにかく帰れえぇぇぇぇぇ!」


 魔理沙の叫びは轟音と共に幻想郷中にこだました。




こんな感じで進めていきます。


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