プロローグ
魔法で犯罪は可能か?
答えは出来ない、である。科学的方法論主導の捜査ではそれが証明できないからである。
では魔法は存在しないのか?
答えは分からない、である。それ以外の理由で説明できない不可解な事件は厳然として存在する。
では魔法による犯罪が存在すると仮定して、現行の法律で取り締まることは出来ないのか?
答えは、はいである。合理的な論法で証明できないものは法律で処罰できない。
では魔法や呪いなどの非科学的な手段によって犯罪行為を行った場合は、その者は野放しということになるがどうにか出来ないものか?
表向きには出来ない、と回答する。しかし実は警視庁内に実験的な捜査を行うチームが存在することはあまり知られていない。というより意図的に知らされていない。さっきも言ったとおり魔法や呪いの存在は証明されていない。しかし非科学現象犯罪は否定出来ない件数発生し不審死として処理されている事実を見逃すわけにもいかなかった。
そこで警察庁上層部は、国家公安委員会のメンバーとオカルト懐疑派の科学者をある部屋に集めてある実験を行った。それは魔法をトリックではないという証明をする実験だった。魔法の科学的証明は出来無いにしても否定できなければ、ある事にするという詭弁を通そうとしていた。
やって来た魔法使いは本物だった。実験検証に当てられた3日間の後、部屋から出てきた魔法懐疑主義の関係者は一様に顔が青ざめ目を血走らせていたという。魔法を否定出来なかったのだ。
この実験から半年後、警視庁内に魔法犯罪を捜査するチームが誕生した。
境界犯罪捜査班|(Boundary criminal Scene investigation)である。略してBCSIと呼ばれている。
と言ってもメンバーは二人のみ。通常の犯罪捜査サイドから事件を検証するキャリア組のエリート刑事薬師時郎と魔法サイドの検証を行う堂金紅夏。かつて魔法検証実験に参加した魔法使いの弟子である。普段は民俗学を専攻する大学院生である。研究テーマは天女伝説と魔女との関連性だった。魔女狩りを逃れて日本にやって来た魔女が天女と呼ばれるようになったのではないかと言うのが彼女の仮説である。彼女らと現地人である日本人との出会いが天女伝説として残されているのではないかと考えていた。彼女は一応研究室には残り事件で要請があった時のみ捜査官としての身分を与えられるという変則的立場にいたが、そこはエリート刑事である薬師時郎がフォローするわけである。
こうして魔法か科学かの境界を判別して犯罪者を追い詰める捜査チームは動き出したのである。
初の連載です。お手柔らかにお願いします。短編も何作か書いていますのでよろしければ御笑読をお願いします。




