4.落ちる、そして落ちる...
次回あたりで書き溜めなくなるんで更新頻度落ちます~
今週中には完結させたいですね~
ふと気が付いた時にはレッドスプライトは消えていた。
「そら、今の見た?幻じゃないよね?」
右隣に立っているそらに声をかける。
「うん、見えたよ…」
そらは手を震わせながらその場にへたり込んだ。
「そら、大丈夫?」
「ちがう、ちがう、ここじゃない……」
「そら?」
空は震える手で耳をふさぎ、頭を振りながらずっとつぶやいている。
ぞっと肌寒いものを感じ、空を見上げると先ほどまではなかったはず黒い雲が近づいていた。
まもなくポツ、ポツと大粒の雨が降り出した。
「そら!とりあえずさっきの休憩スペースまで戻るよ!」
いまだにうずくまるソラを何とか立たせ、山道を下る。
雨対策をしていなかった私たちは夏にしては冷たい雨に体力を奪われ、そして強くなる雨脚に視界も奪っていく。
「そら、もうちょっとで休憩スペースだからね」
そらは下っている最中何も話していない、静かに私の後ろをついてきてくれていた。
20分ほど歩いたころだろうか、ようやく休憩スぺ―スが見えた。
雨のせいか上り10分と言われていた時間の倍かかってしまっている。
「そら、みえたよ!」
そういい空の手を握り最後の十数メートルを進もうとした時だった、足元にある木の根に気が付かず、つまずいてしまう。
「きゃっ」
何とか体勢を立て直そうともう一歩足を踏み出すが、その足も雨でぬかるんだ足場で滑ってしまう。
「あっ」
これはこけてしまうと思ったが状況はそれよりも最悪だった、受け身を取ろうとこける先へ視線を移す、そこは崖だった。
何とか体制を立て直そうとするがすでに遅かった。
「そら!」
せめてそらは巻き込まないよう手を放す、がそらはこちらの手を離さなかった。
私たちは二人そろって崖から落ちて行った。
目を覚ますとぼろぼろな事務室のような場所にいた。
室内は薄暗く窓は割れており、そこからまだ外では雨が降っているのだということがわかった。
「そらは!?」
周りを見渡すと、窓とは反対の壁際で横になっているのを見つけた。
体を起こしそらの近くに駆けよる。
「そら、大丈夫?」
そらはう~んっという反応を見せるが目は覚まさない。
「呼吸もあるから眠っているだけかな」
ほっと胸をなでおろす、とりあえずは二人とも無事のようだ。
そうなると次に気になるのは現状だ。
「ここはいったい、それにどうしてこんな場所に…」
記憶をたどるが、どれだけ頑張っても崖から落ちるところまでしか覚えていなかった。
「とりあえずだれか居ないか少し探索してみよう」
そらを置いていくのは不安だが、とりあえずは現状を把握するのが大事だ。
部屋からには外へ出られる扉と、建物の奥へつながる扉がある。
「外は雨だし、とりあえず奥に」
ギギギと音を立て扉は開く、たわみ、さび付いているが何とか扉としての機能は維持しているようだ。
扉の先は廊下だった、病院を想起させる廊下の両側にある引き戸、そして部屋番案内表。
「こんな場所に病院があったなんて」
生まれつきこの町に住んでいたが、こんな山奥に病院があるなど聞いたことがなかった。
入れそうな部屋を探すが鍵がかかっているのか、はたまた放棄されたことで建付けが悪くなってしまったのかどの扉も開かなかった。
「これだけ荒れていれば当然ね」
見かけた扉すべてを試していったが、気が付けば扉も最後の1つとなっていた。
「あかないとは思うけど、この扉を試したら一度そらのところに戻りましょう」
そうつぶやき扉の柄をつかみスライドを試みる。
「きゃっ」
開かないと思い力を込めてスライドさせた扉はあっけなく開き、行き場を失った力で私は少しよろけてしまう。
「ここは空くのね」
体勢を立て直し、部屋を覗く。
部屋にはサーバーの残骸が散乱していた。
「ここはサーバールーム?」
部屋から顔を出し、室名を確認する。
-第4研究室-
紫空対策研究所
「紫空?」
見慣れない単語が書かれたこの部屋はどうやら研究室のようだった。
「とりあえず唯一は入れる部屋、ここがどこなのか何かわかるものがあるかも」
再び部屋に入り、中を探索しようとした時、ぴちゃ、ぴちゃっと濡れた足音がこちらに近づいていることに気が付いた。