第十七話 ドレス選び
「んー?どれもかわいいなー」
私達はセーリア公爵家でドレス選びをしていた。
明日に行われる大舞踏会で着る服を、ユリィが貸してくれると言ってくれたのだ。
「ごめんね、アーサー達は家庭教師が来ていてまだ来れそうにないの」
「大丈夫ですよ。早く会いたいけど、勉学を怠らせるわけにはいきませんからね」
お姉ちゃんとユリィが話をしている。
お姉ちゃんもまた、ダレスを選びに来ているのだ。
ちなみにイアンはセシリアとお互いの服を買いに行っているらしい。
伊吹はオーリスの家に行っている。
「結局、セシリアと話ができていないんだよねー」
「え?まだだったの?」
「時間がなくて」
「確かにね。証拠集めで忙しかったし」
証拠集めと言うのは……。
これは大舞踏会の時の答え合わせにしよう。
まぁ、とある証拠集めが忙しくてね。
「先延ばしにするのは別にいいけど、やるなら早くしときなよ?」
「分かってるよ。でも……」
私は言葉を詰まらせてしまった。
言いたい言葉が言えない。
それは私自身が拒否しているからだろうか。
「私……。イアンとの婚約を……。解消しようかなって……」
「え……?菜乃葉、今なんて……」
「お姉ちゃーん!」
勢いよくドアが開かれて、笑顔の唯斗と雪菜が入って来た。
ナイスタイミング!
「雪菜、唯斗!この間ぶりだね。勉強頑張っているらしいじゃない」
「うん!」
凍った気持ちが溶かされるような温かい笑顔。
可愛いなぁ〜。
「菜乃葉姉ちゃん。あの人誰?」
唯斗はお姉ちゃんを指差して言った。
サプライズで連れて来たから分からないのも無理ない。
「あの人はね〜。なんと、由梨奈お姉ちゃんなんだよ〜!」
「「えぇ〜!?」」
お姉ちゃんはさっきからずっと沈んだ顔をしている。
さっきの話だろう。
「ほぉら、いってらっしゃ〜い」
私は二人の背中を押して、お姉ちゃんの方に行くように仕向けた。
しかし、二人はためらっている。
「どうしたの?」
私はしゃがんで二人に聞いた。
二人は不安そうな顔をしている。
あぁ、そうか。
「いいんだよ」
「え?」
「もう何も気にしなくていい。私にもお姉ちゃんにも甘えていいの。だってほら」
私は二人を抱きしめた。
「こうしたって、誰にも怒られない」
私は二人から離れて微笑んだ。
二人は顔を見合わせて頷いた。
そして、全速力でお姉ちゃんに向かって行った。
その様子をユリィと微笑ましく見ていた。
部屋の中に魔法の気配を感じた。
「よう菜乃葉〜!転移魔法でオーリスと一緒に来たぞー!!」
伊吹は満面の笑みで言った。
あ、やっば。
「伊吹の馬鹿ぁぁああ!」
ユリィが叫んだ。
うん、まぁそうなるよね。
「え?え?」
伊吹は困惑している。
伊吹さん、ここは公爵家ですぜ。
前触れもなく……。
しかも不法侵入はあかんて。
私は伊吹の肩を叩いた。
「どんまい」
「え?」
さて、廊下からたくさんの足音が聞こえてきてます。
衛兵さんのご登場。
ユリィは急いで事情を説明した。
公爵家の警備がザルなわけないでしょうが。
私は小さくため息をついた。
衛兵は一礼して出て行った。
「今後は気をつけてよ?」
「はい……」
オーリスと伊吹は肩をすくめて言った。
「そう言えば、お姉ちゃんは二人と話すの久しぶりじゃない?」
「初めてかもしれないね。話していたとしても、何も覚えてない。あの人達に止められていたし、そんな暇なかったから」
まさかそこまでとは思わなかった。
「じゃあ、私はかなりいい状態だったって事?」
お姉ちゃんは二人の頭を撫でながら悲しそうに頷いた。
そっか。
私より酷かったんだ。
――何でいつもお姉ちゃんばっかり……!
あんなこと思った自分が恥ずかしいな。
「私もみんなと話したかったけど、下手に動けなかったんだ。彼が菜乃葉を助けられなかったのもそのせいだと思う」
「彼?」
お姉ちゃんが言ったことが気になった。
お姉ちゃんに彼氏がいるとかは聞いたことがない。
それに、私を助ける?
何の話だろう。
――菜乃葉、逃げよう。
分からない。
――一緒に、この地獄から。
誰?
――二人なら怖くない。
あなたは誰?
「菜乃葉?」
お姉ちゃんの声で我に返った。
考えたら、何かが変わりそうで怖い。
もうやめよう。
「何でもないよ。で、彼って誰〜?もしかして彼氏〜?」
お姉ちゃんは切なそうな顔をした。
あ、この顔……。
どこかで見たことがある。
「菜乃葉は今でも思い出せてないのね」
「ん?」
「何でもない」
お姉ちゃんはそう言った。
何でもないように見えないんだけど……。
まぁ、いいか。
深掘りされたくないことくらいあるよね。
「お姉ちゃん、伊吹、ユリィ、オーリス」
私はみんなを呼んだ。
みんなは真剣な顔で私を見た。
「明日の話をしようか」
みなさんこんにちは春咲菜花です!次回は大舞踏会の話になります!そこからどんどん物語が盛り上がっていくのでお楽しみに!!良ければ、グット、レビュー、リアクション、ブクマ、感想をください!それではみなさんまた次回でお会いしましょう!




