第十二話 ユリィと登校
私は最近寮から少し離れた場所で、ユリィと待ち合わせをして学園に行っている。
最近イアンは別々で学園に行くことにしたらしい。
行動を共にすることもない。
まぁ、婚約者とは言え絶対に一緒にいないといけないわけじゃないしね。
「菜乃葉、どうしたの?暗い顔をして」
ユリィが私の顔を覗き込んで聞いた。
いけないいけない。
束縛をしちゃだめだ。
「なんでもないよところでアエテルナは?」
「体調不良よ。明日には来ると思うけど……」
「そっか」
私達は学園の校門を通った。
周りは予想通りざわめき出した。
「なぜユリィ様と平民が一緒に登校を……?」
「ユリィ様はあの平民に心を開かれたのか?」
「ありえない……」
ありえないねぇ……。
歩み寄ればこんなに仲良くなれるのに。
「ねぇねぇユリィ」
「何?」
「私達が眠りについた後さ、どこに消えちゃってたの?もしかして寿命で……」
「魂だけの存在に寿命はないわ。……私達はみんな、あなたとイアンの眠りの年月を縮めるために、ユアンに協力したの。つまりはね、生贄になったの」
私はその言葉を聞いて、勢いよくユリィの肩を掴んだ。
私のせいで、ユリィ達が……。
ユリィは私の顔を見て優しく笑った。
「そんな顔しないで。これは私達が決めたこと。否定されるのはいい気分がしないわ」
――自分を否定しないで欲しいし、私の選択を否定しないで欲しい。
琴葉の言葉を思い出した。
ユリィにまで怒られちゃった。
でも、嫌な気はしないな。
「ところで琴葉や伊吹は元気?」
「あー、元気だよ。琴葉は謝りたがってたけど」
「どうして?」
「ほら、物語を書いたのは琴葉だからさ」
ユリィの運命を定めたのは琴葉だから。
ユリィは少しだけ考えて、私の目を見た。
「琴葉と話せたりする?」
「うん、魔法球を使えば」
「へぇ……」
ユリィは意味ありげに笑った。
待って、この顔絶対になにか企んでる。
「ユリィ?何を話すつもり?」
「ん〜?言わなぁい!!」
ユリィはそう言って校舎に向かって走り出した。
淑女が走るなんてはしたないって言われちゃうかもだけど、どうせ誰も怒りはしない。
「ユリィ!待ってよ〜!」
まるで中学生みたいなやり取りに私は前世でずっとやりたかったことが分かった。
いっくんともできなかった女子同士のやり取り。
楽しい。
◇◆◇
「でね、いっくんの顔でトマトが潰れちゃったの」
「伊吹が可哀想に思えてくる。よく菜乃葉と三年も付き合い切れたものね」
「そうだねぇ。普通はギブるよねぇ」
私とユリィは教室についた。
席は離れてるけど、授業が始まるまでユリィの傍にいよう。
青春らしい中学生時代を送れなかったから新鮮だなぁ。
「それでね……」
「聖女様がいらっしゃったぞ!」
そんな声が聞こえて私とユリィは振り向いた。
私は目を見開いた。
「イ……。イアン……?」
そこにはイアンがいた。




