第十話 複数人の転生者
それじゃあ、誰が物語にこだわっているのか分からない。
少しずつ調べていくしかない。
「誰?」
「アーサー・セーリア、アリス・セーリア、セシリア・フィーリア、カイル・シルコード、ディーア・ベイルド、以上」
「やっべぇメンツじゃん」
待って、アーサーにアリス?
二人が転生者なら、生きていることにも納得だ。
よし、会ってみよう。
――セーリア公爵家
「と、言うことで、ご招待ありがとうございます、ユリィ様!」
「あなたが半ば強引に馬車に乗ってきたんでしょう……」
ユリィは呆れたように言った。
その節は申し訳ないです。
「お二人にお会いしたほうが分かるかと思いました」
「そう。アーサーとアリスの部屋はあっちにあるわ。二人とも中にいると思う。終わったらこの部屋に来て」
場所は知ってますよー。
とは言えないから素直に従う。
私は部屋のドアをノックした。
「はーい!どうぞー!」
元気のいい声が聞こえてきた。
私はドアを開けて、中に入った。
「姉上?あ、失礼いたしました!お客様とはつゆ知らず……」
「しっかりしているのね。11歳とは思えないわ」
アーサーの顔色が少し変わった。
今のユリィ達は12歳。
二人は一つ下だから11歳。
跡取りはユリィかリリアになるだろうから、彼らの教育はあまりされていないはずだ。
これで確定した。
アリスが慌ててアーサーと私の間に入り込んだ。
「しっかりと躾けられているので……」
『あなた達はどこに住んでいたの?』
私は日本語で聞いた。
アーサーとアリスは目を見開いた。
「あなたも転生者なの?」
「簡単に言うとね。私は山里菜乃葉。あなた達は?」
私が名前を言うと、二人は目に涙をためだした。
なにかやってしまったのだろうか。
私は戸惑った。
「どうしたの?」
「菜乃葉姉ちゃん……」
「え……?」
その呼び方は……。
唯斗……?
「お姉ちゃんなの?」
雪菜……?
会えた何度二人と会いたいと願っただろうか。
何度この世界に転生していたらと思っただろうか。
言いたいことはたくさんある。
でも、一番言いたい言葉は……。
「ごめんね、二人共」
私は二人を抱きしめて言った。
◇◆◇
「なるほど、ここは物語の中だったんだ」
「それで、お姉ちゃんは他の世界の人ってどういうこと?」
雪菜と唯斗に現状を話した。
「私は並列世界から来たの。魔力制御を覚えるためにね」
「じゃあ、すぐに帰っちゃうの?」
「すぐではないけれど、そうなるね」
二人は悲しそうな顔をした。
せっかく再会できたのに、またお別れしてしまうなんて、私も嫌だ。
でも、この世界に留まることは出来ない。
世界に二人同じ人がいてはいけないのだ。
それに……。
――あー!また琴葉が公務サボってるー!
――サボってないし!
――現にサボってんだろうが。終わったって言ってたのは嘘だったのか?
――ほら、いつでも会えるんだから、公務しに行ってよ。
――もー!面倒くさいなぁ!
あの穏やかな世界のほうが、私は好きだ。
私は二人に微笑んだ。
「あなた達がこの世界が好きなように、私もあの世界が好きなの。だから、ごめんね」
「まぁ、お姉ちゃんにも世界があるもんね」
納得してくれたようだ。
二人は顔を見合わせて、深刻な顔をした。
そして、私の顔を見て言った。
「お姉ちゃんに伝えたいことがあるんだ」
唯斗が言った。
「何?」
「僕達の死因は何だって言われた?」
唯斗達の死因?
自殺って言われたけど……。
もしかして違うの?
「自殺だって言われたけど……」
私がそう言うと、二人はため息をついた。
何で?
自殺だって……。
お母さん達が……。
「違うよお姉ちゃん。僕達は殺されたんだ」
「誰に……?」
嫌な予感がする。
背中に冷や汗がつたっていく。
「お母さんとお父さんだよ」
「……っ!」




