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幸せを追う悪女達  作者: 春咲菜花
第一章
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最終話    千年分の幸せ

私は目を開けた。

天井は窓になっていて、太陽が光っている。

体を起こすと、そこは花畑だった。

私達が寝ていたところは固く、白いシーツがかけられていた。


「ううん……。菜乃葉?ここは……?」


イアンは体を起こして、目をこすりながら私を見た。

幻想的なそこは、アスクレイン王国とは思えないほど美しい。

いや、アスクレイン王国が美しくなかったわけじゃない。

こんな野原を見たことがない。

私は寝ていたところから降りた。


「これ……」

「何だ?」


私が声を上げたから、イアンも降りて来た。


「ユリィ・セ―リア、イアン・グリーファ……。俺達の名前?」

「どうして?」


私は周りを見渡した。

少し離れたところの時空が歪んでいるのを発見した。

私達はそこまで歩いて行った。

手を伸ばすと、何かに当たった。

その先に野原があるのに。

私が触れたところは、扉に変化した。


「高度な魔術だな。特定の人間しか入れないようになっている上に、この野原は魔法で作られたものだな」

「じゃあ、ここはどこなの?」

「どこかとしか言いようがない。答えは、この扉の向こうにあると思わないか?」


ニヤリと笑ったイアンは、この先がどこに繋がっているのか察しているようだ。

知っているなら教えてくれればいいのに。

私はドアノブに手をかけて、扉を開けた。

どこかの地下のような場所に出た。

目の前にあった階段を登って、階段の上にある扉を開けた。


「王宮……?」


扉の先には豪華な部屋があった。

国王の部屋かな?

ここはアスクレイン王国の王宮?

資料まみれの机、王様が使ってそうなベッド。

私は資料まみれの机に向かった。

机の上には本がおいてあった。


「『大好きな親友』……?作者は……。セシリア・フィーリア……?」

「セシリア嬢が書いた本か?」


イアンが本を覗き込んで言った。

少しだけ古びているその本は、ページが折れたりしていない。

私はその本を読むことにした。

電気もついていないその部屋は、夕暮れ時の明るさしか光がなかった。


* * *


「セシリア」


私は柚木に声をかけられて現実に引き戻された。

ぼーっとしてたらしい。

由梨奈や伊吹もいる。


「どうして私の部屋にいるの?」

「行くぞ」


柚木は私の手を引いて、どこかにあるき出した。


* * *


内容を読んだ私は、涙を流した。

琴葉は別に、私のことを嫌いになったり、恨んだりしていなかったんだ。

それが分かっただけいい。

この本が発売されたのはどうやら私達が眠りについてから七十年たったときだ。

つまり、もうみんなはこの世にはいない。


* * *


柚木に連れてこられてついたのは、国王の部屋。

つまりは柚木の部屋だ。

柚木はドアを叩いた。

誰もいないのにどうしてノックするんだろう。


* * *


部屋のドアが叩かれた。

隠れるべきか迷ったけど、現国王に挨拶をしたほうがいいと思った。

イアンも同じ考えのようだ。

ドアがゆっくり開かれた。


* * *


柚木がゆっくりドアを開けた。

なにかサプライズでもあるのかな。

私は中に足を踏み入れた。


* * *


ピンク色の髪を持つ女性が部屋に入って来た。


* * *


白色の髪を持つ女性とオレンジ色の髪を持つ男性が部屋の中にいた。


* * *


「菜乃葉……?」「琴葉……?」


私は目を見開いた。

琴葉もそうだ。

私達は同時に名前を呟いた。

琴葉が私に抱きついてきた。

首に温かい水が触れた気がした。


「おかえり、菜乃葉」


その声は少し震えていて、弱々しかった。

どうしてみんなは生きているんだろう。


「千年ぶりの親友からの熱いハグはどうだ?」

「うわ〜、苦しそ〜」

「殿下、性格悪いですよ」

「残念だったな、イアン。俺はもう国王だ。イーベルは王弟になったぞ」


イアンが柚木に煽られている。

しかし、私は親友との再会を喜んでいるから関係ない。

奥にはお姉ちゃんの姿があった。

私は琴葉から離れて、お姉ちゃんと向き合った。


「菜乃葉、おかえり」


お姉ちゃんの目にも涙が浮かんでいた。

私はお姉ちゃんに向かって微笑んだ。


「ねぇ、いっくん」

「何だ?」

「私達が眠ってから何年経ったの?」

「千年」


ん〜?

千年〜?

聞き間違い?

いやいや、人が千年も生きれるわけがないし。


「事実だぞ。俺達が不老不死になる呪いを開発した」

「ヤベェなお前ら。猛者じゃん」

「どうしても菜乃葉に会いたくて、頑張っちゃった」


琴葉は可愛らしい笑顔で、言った。

「頑張っちゃった」でここまでするのは流石に怖い。


「国民も望めば魔法をかけてあげてる。流石に強制はしないよ。解呪もできるし、年を取りたくなったら解呪をすればいい」


まぁ、確かに。

不老不死になりたくない人もいるもんね。


「あ!」


私はあることを思い出した。

イアンの方に顔を向けて、イアンを見た。

イアンは目を見開いて私を見た。


「何?」

「眠りにつく前!私に何か言ったでしょ!」

「は?聞こえてなかったの?」

「え?うん」


イアンはため息をついた。

お姉ちゃんと柚木は呆れたような顔をしている。

いっくんと琴葉は何の話か分かっていないらしい。


「好きだって言った」

「寝るのが?」


今度はいっくん達も一緒に大きなため息をついた。


「お前が好きだって言ってんだよ」

「……え?」

「どんなに理不尽な目にあうとしても、友達を守り通そうとするその姿に惹かれた」


誰に?

さっき私って言ってたな。

え?

私?


「マジ?」

「マジ」


私はどう思ってるんだろう。

イアンが好きなのかな。

私は今までのイアンを思い出した。


「……っ!」


顔が熱くなっていく。

イアンは私の顔を見て不敵に笑った。


「それが答えだな。俺と結婚しろ」

「強引だね。喜んで」


そして、知らず知らず惹かれていた相手と、私は恋を実らせるのであった。

しばらくしてから、琴葉が口を開いた


「私達は菜乃葉に会うために千年待ったんだよ?」


琴葉は私に圧をかけるように言った。

言いたいことは分かる。

「千年待ったから一緒に生きろ」ってことね。

私は苦笑いをした。


「分かったよ。琴葉達と一緒に生きる。この命が尽きるまでね」


私達はみんな頷いた。

みんな同じタイミングだったから、笑ってしまった。

これから先、どんな事があっても一人で抱え込むことはしない。

みんながいれば、みんなで頑張れば、きっとその先に幸せが待っているから。

私達はこれからも幸せを追いかける。

そして私は、千年分の幸せを取り戻す。

みなさんこんにちは春咲菜花です!最!終!話!一話だけ伸びてすみません!これで「幸せを追う悪女達」は完結です。前も言った通り、しばらくは番外編を書きます。なのでまだまだ終わりではありませんよ!菜乃葉の死後の周りの様子、学園で菜乃葉に避けられた琴葉の感情を書いていこうと思います!お楽しみに!良ければレビューやグット、感想をいただけると嬉しいです!それでは番外編第一話でお会いしましょう!

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