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幸せを追う悪女達  作者: 春咲菜花
第一章
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第二十七話  千回目の春の訪れ

「お母さ〜ん!この絵本また読んで!!」


アスクレイン王国の王都の隅に住む少年が、笑顔で母親に本を読んでくれとお願いをしに言った。

母親は少し呆れたように笑った。


「また?昨日も読んだじゃない」

「この絵本の女の子が好きだから、何回読んでも飽きないよ!」


少年は笑顔で言った。

母親は少し微笑んで本を受け取った。

本のタイトルは『大好きな親友』。

これはユリィ・セーリアを思って、千年前にセシリア・アスクレイン王妃が書いた本だ。

セシリアは予定通りギディオンに嫁いだ。

イーベル・アスクレインは王位継承戦をギディオン・アスクレインに譲った。

婚約者が眠りについたイーベルは他の婚約者があてがわれた。

名前はリリア・セーリア。

ユリィの姉だ。


「それじゃあ読むわよ」

「わぁい!」


母親が本を読むために、少年を膝に乗せた。

少年は「早くして!」と言わんばかりの笑顔で母親を見ている。

よほどその本が好きなのだろう。


「『これは、私の大好きな親友が長い長い眠りについてしまったお話。生まれるずっと前から仲が良かった私の親友は、すごく優しくて、いつも自分よりも他人を大切にする子でした。しかし、親友は魔法学園に入学してから変わってしまいました。でも、変わってしまったのではなく、私達を守ろうとしてくれていただけでした。それに気づかずに、私は親友から離れてしまいました。傷つけられるのが怖かったからです。そして、本心を言うこともできずに、私達は命を落としてしまいました。それを親友は、私が最後の力で書いた手紙を読んで嘆きました。そして親友と親友の友達は私達を生き返らせるために禁呪を使いました。お陰で私達は生き返ることができました。私は親友と生きることが不可能となりました。親友と親友の友達は、穏やかな顔をして眠っていました。二人の眠りを邪魔させないために、私達は急いで王宮に地下を作り、そこを花畑にしました。花畑の中心には二人の名前が彫られた石の土台があり、その上で今も二人は眠り続けています』おしまい」


聞き終わった少年は笑顔で母親にお礼を言った。

アスクレイン王国は二千年前に他国から独立してできた国だ。

どんどん土地が大きくなり、今では二千年もの歴史を誇る王国になった。

この物語は、千年経った今でも語り継がれている。

そして、二人はまだ目覚めていない。

未だに王宮の地下で眠り続けている。

地下には不思議にも日光が届いており、花々は伸びている。

その花はユリィとイアンが好きな花などという。

特に食べることのできる黄色の花が多く植えられているという。

その花の名前は菜の花。


「それじゃあ、友達と遊んでくるね!」

「どこに行くの?」

「王様が作ったお花畑!」


少年は満面の笑みで家を出て行った。

その姿を見送った母親は窓を見た。


「もうすぐ春ね」


◇◆◇


場所は変わって王宮。

その王宮の中を走る高貴な少年は、銀色の髪をなびかせている。

瞳は金色だ。

つまり王家の血筋の者。

国王の息子だろうか。

王子を追いかけるメイド。

他の使用人はそれを微笑ましそうに見ている。


「ぼっちゃま!廊下を走ってはなりません!」

「やだ〜!」

「嫌ではありません!もう……」


メイドは先程から走っていたため、足を止めて息を整えた。


「今日も王子様はお元気ですね」


執事がメイドに言った。


「元気すぎるくらいですよ……」


メイドはまた走り始めた。

なんとか王子を捕まえたメイドは、暴れる王子を少し睨んだ。


「少しは紳士的になってください」

「十分紳士だよ?何を言っているの?」

「人を走らせておいてどの口が言うんですか?」

「だって、みんなにに早く会いたいんだもん」


王子は口をとがらせて言った。

メイドはため息をついた。


「じゃあ、一緒に行きましょうか」


少年とメイドは一緒に歩き始めた。


◇◆◇


王宮の地下には人影があった。

ユリィ達が眠っている土台に座っている。

長いピンク色の髪をしている女性はユリィ達を見ている。

それを眺める黒髪の男性と、紺髪の男性。

この国の王妃と王弟、そして国王だろう。

そこにメイドと王子が来た。


「国王陛下、王妃様、王弟陛下、申し訳ございません。お止めしたのですが……」

「構いませんよ」


鈴を転がしたような声で答える王妃。


「変にカッコつけるなよ」

「うるさいなぁ」


王妃はふてくされたように言った。


「まぁまぁ、二人共喧嘩しないの。ほら、菜乃葉達に迷惑だろう?」


国王は王弟と王妃を落ち着かせるように言った。

王妃はため息をついて、ユリィの頬に触れた。


「にしても、いつ目覚めるのかしらね。私達の命の恩人は……」

「千年経っても目覚めないなんてな」

「大丈夫さ。いつかきっと目覚めるから」


王妃と王弟がしみじみ言うと、国王が励ますように言った。


「ねぇ、菜乃葉。もうすぐ春が来るよ。あなたが眠りについてから千回も訪れた春が」

みなさんこんにちは春咲菜花です!今回は第三者が語りました!菜乃葉が眠り始めて千年ですよ!?伊吹達はどうなったんでしょうか!察している方は多いかもしれませんけどね(笑)さて、次回が最終話です!早いですね!しばらく番外編も書くつもりなので、まだ終わりではありませんよ!それでは最終話でお愛しましょう!

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