第二十四話 ユリアンの罪
「ユリアン……」
どうしてここにいるんだろう。
「十人の命乞い?」
「そう。この時代にも禁呪として扱われていた。さっき見せた通り、ユアンの本名はユアン・デイス・アスクレイン。アスクレインの初代国王よ」
「でも……」
「ええ、アスクレイン王国ができたのは千年前。ユアンは千年の間眠っていたの。私も同じよ」
初代国王の伝説は聞いたことがあったけど、その後の話が多すぎて、どれが本当か分からなかった。
でも、分からない。
「さっきユリアンは図書館で話していた人に生殺与奪を握られているって言ってたけど、どういうことなの?」
「このを世界を代表する五つの禁呪があることを知っている?」
「十人の命乞い、死者蘇生、四十四人の犠牲者、魂の入れ替え、心臓の……呪縛……」
ユリアンは悲しそうな顔をして、頷いた。
そっか……。
ユリアンはあの人に心臓の呪縛をかけられていたんだ。
だから、弟であるユアンを殺すしかなかった。
心臓の呪縛は、他人の身体の自由を奪うだけではない。
呪縛をかけた人が望めば、呪縛をかけられた人の心臓は止まる。
「私が心臓の呪縛をかけられたばかりに、あの子をここまで追い詰めてしまった」
ユリアンが来た通路から、ユアンが何かをつぶやきながら歩いてきた。
その手には、死体があった。
「壊れたんだ。私のせいで」
ユアンは死体を魔法陣の上に置き、魔術を発動した。
黒い靄が出てきて、それはユアンを飲み込んだ。
「……っ!」
「ユアンは失ったんだ。生きる意味を、愛する人を」
「その後は……?その後はどうなったの?」
「ユアンが残した世継ぎが幼いながら国を継ぎ、ユアンは私に呪縛をかけた人によって殺された。そいつは勇者気取り。『魔王を殺したぞ』と。私は呪縛から開放されたけど、ユアンは目を覚ますことはない。私は禁呪である死者蘇生を使った。代償に、私もユアンも千年の眠りについた。術が不安定だったから。普通は発動者だけなんだけどね。そして、ユアンは目を覚まし、私を殺そうとした。そこで私達は契約を結んだ。ユアンは魔王に堕ちかけた。だから、魔王としての力を覚醒させることができる。私はユアンをこんな目に合わせたあいつの国に復習したい。だからユアンを利用した。ユアンが魔王の力を覚醒させたら、あなたに妃は生き返るというデマを言ってまで」
ユアンはモヤの中から出てきた。
その姿は、魔王というに値するだろう。
「あなたは……。弟を二度も苦しめるの?」
「間違いだと気付いたわ。だからお願い。あの子を止めて。現世の私はもうあの子に殺されてしまった。下手に止めようとしたから。あなたはユアンに狙われている。でも、あの子を助けてほしいの。お願い」
ユリアンは必死に私にお願いしてきた。
自分のために弟を利用したこの人を信じていいのかわからない。
でも、嘘ではないと思う。
「分かった」
「ありがとう。あの子はこの先にいる」
ユリアンが指さした方向には扉が現れた。
「いってくる」
ユリアンの顔を見ると、ユリアンは力強く頷いた。
私は扉を開けて、中に入った。




