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幸せを追う悪女達  作者: 春咲菜花
第一章
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第二十一話  ユアンの正体

魔王?

ユアンが?


「待て、どうしてお前がそんなことを知っているんだ?」

「私は人生を繰り返しているの。ユアンが覚醒した姿は、おそらく私も見たことがある魔王。面影があるもの」

「え?でも、魔王覚醒前にはユリィは……」

「処刑されているわ。でも、一度だけそこまで生きたことがある。その時に私は魔王に殺された」


なるほど、いつも同じ時期に殺されているわけじゃないのか。


「とにかく、菜乃葉は今すぐ逃げ……」


ユリィが「逃げて」と言おうとした瞬間、カーテンが引き裂かれた。

引き裂いたのはユアンだろう。

イアンは私の前に急いで移動した。

遠くにいるユアンは、不気味に笑っている。


「見つけた」

「菜乃葉、逃げて!」


ユリィがそう叫んだ。

でも、私は絶望に満ちてないし必要ないんじゃないかな?


「させないよ」


ユアンが私に向かって魔法を打った。

その魔法は、イアンを避けて、私に直撃した。


「菜乃葉!!」


遠くに聞こえたイアンの声はひどく焦っていた。


◇◆◇


あれ?

さっき私はユアンの魔法が当たって……。

目の前にはイアン、ディーア、カイル、アエテルナ、いっくん、琴葉、柚木、お姉ちゃんがいた。

でも、どこか違う。


「みんな、無事だったん……」

「黙れ」

「……え?」


イアンがそう言った。

信じられなかった。

今まで私に態度を悪くしたことがなかったイアンが、すごく怖い顔で私を見ていたからだ。

他のみんなもそうだ。


「ど、どうしたの……?どうしちゃったの……?」

「お前と話す時間が無駄だ」

「どうしてそんなこと言うの?みんな変だよ」

「変?変なのはお前だよ」


* * *


「菜乃葉!菜乃葉!」


俺とユリィは菜乃葉を揺すっていた。

菜乃葉は立ったまま動かない。

さっき魔法を食らって意識があるはずなのに動かない。

目は虚ろで、どれだけ揺すっても反応がない。


「無駄だよ。菜乃葉には今から絶望してもらわないと困るんだから」


ユアンがそう言った。

俺は流石に頭にきた。


「ユリィ、菜乃葉を任せる」

「任せるって……。イアンは何をするのよ」

「あいつを……。殺す……!」


俺は剣を鞘から抜いて、ユアンに向かって走った。

ユアンは氷魔法ですぐに剣を作って、俺の剣を止めた。


「今すぐに菜乃葉にかけた魔法を解け!」

「嫌に決まってるだろう」

「お前はどうしてそこまで菜乃葉にこだわる!」

「あの子はね、前世でも苦しんでいたんだよ。ずっと絶望の中にいた。そんな子の心を壊すのは容易いだろう?」


俺はユアンに吹き飛ばされた。

なんとかバランスを取って、転んだりはしなかった。

菜乃葉が絶望の中にいた?

どういう事だ?


「ねぇ、今なんて言ったの?」


セシリア嬢が俺の後ろでそう言った。

振り返ると、怒った表情をしたセシリア嬢がいた。

彼女もまた、異世界人だったはず。


「あの子、菜乃葉の親友だった子だ」


そう、セシリア嬢は菜乃葉と大の親友だった。

しかし、セシリア嬢と仲良くすることもできないし、彼女の近くにいても傷つけるようなことをしなければならない。

だから、菜乃葉は自分から嫌われるようなことをしたんだ。

そう、俺はあの日、菜乃葉とセシリア嬢のやり取りを見ていた。

非道なやつだと思ったけど、母親から聞いていた話と違うとも思った。


――ユリィ・セーリアちゃんはね、とっても飲み込みが早いの!とってもいい子だから、学園で会ったら話してみるといいわ!


でも、それが彼女の本心かどうかを決めつけることはしたくない。

そう思って、いつも俺は菜乃葉を監視していた。

そして確信したのは実習のとき。

菜乃葉がジゼルになるところを見た。

それで確信した。

あいつがセシリア嬢を遠ざけた後に、旧校舎に入るのを見て、俺も中に入った。

一人で泣いていた彼女は、自ら悪役を演じていることを知った。


「あなた、菜乃葉にまた地獄を見せるつもりなの?」

「そうだよ。そうしないといけないからね」

「やめて……」

「何?」

「やめてって言ってるの!あの地獄を見せるつもりなら、私が殺されるから!お願い!もう親友が殺されるとこをなんて二度とくたくないの!」


え?

殺された?

菜乃葉は前世で誰かに殺されたのか?

セシリア嬢の目の前で?

どうして……?

俺は、前世の菜乃葉をよく知らないということに気がついた。

忙しかったとはいえ聞いておけばよかった。

そんな後悔が押し寄せた。


「菜乃葉!」


ユリィが声を上げた。

菜乃葉はゆっくり動いている。

良かった。


「……っ!」


俺は息を呑んだ。

菜乃葉の頬には、涙の跡があったからだ。


「菜乃葉!どうしたの?苦しいの?」


ユリィが菜乃葉に問いかけた。

しかし、菜乃葉はユリィを魔法で吹き飛ばした。

ユリィは壁に体をぶつけた。


「ユリィ!!」


飛ばされた壁の近くにいたカイルが、すぐにユリィに駆け寄った。

ユリィは意識を失っているらしい。


「……っ!いきなりどうしたっていうんだよ!菜乃葉!!」

みなさんこんにちは!春咲菜花です!最近あとがきに何を書いたらいいか分からなくなって、サボってました!すみません!さて、今回や前回は大舞踏会の話になりましたね!ユリィやイアンが菜乃葉を助けようとしてくれるところで、作者ながら「イアンは推せるぞ」と思ってしまいました(笑)友達もイアン推しでした。次回は菜乃葉が魔法にかかっている間どんな状況にあったのかを書いていこうと思います。それでは、第二十二話でお会いしましょう!

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