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幸せを追う悪女達  作者: 春咲菜花
第一章
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第十二話   森での実習

「今日は森で実習を行います。前回の授業でやった魔石が評価基準になります。魔石は魔物を倒す、精霊から貰っても良いです。森には危険な魔物もいます。対処不能だと感じれば、すぐに魔法を空に放ってください。それでは、実習スタート」


先生がそう言った。

すぐに班を作る人がたくさんいた。

私はすぐに走って、魔物の大群を探した。


「いた」


私は自分の持つ剣を握り、鞘から出した。


「お命、頂戴いたします」


そして、魔物を殲滅した。

私の羽織っていた学園の生徒を意味するマントは、返り血で赤くなった。

帰ったら洗いに出さないと。

私は魔石を拾い始めた。

今頃、琴葉達は友達と一緒に魔物狩りしてるのかな?


「ユリィ!」


背後から声が聞こえて、私は振り返った。

そこにはいっくんがいた。


「一緒に魔物を……。ってもうこんなに殺したのか?」

「……何の用ですか?」

「婚約者と組もうと思って。っておぉい!何逃げようとしてんだよ」

「してません」


私はしばらくいっくんに付きまとわれた。

なんとか撒いたと思ったら、どこからか悲鳴が聞こえてきた。


『助けに行くの?』

「うん」


私は走って悲鳴が聞こえた方向に行った。

そこには大きな魔物がいた。

魔物は男子生徒を捕まえている。

あれって、危険な魔物だったはず。

しかも人食い。


「やめてくれ!助けてくれ!」


先生も馬鹿だな。

魔法は落ち着いていないと使えないのに。

私は木に隠れたまま出ていかないでいた。

まだ誰かが助けに行くかもしれないと。

でも、時間がない。

もう捕まった男子生徒は魔物に食われそうになっている。

仕方ない。


* * *


金髪と赤く染まったマントがなびく。

魔物に捕まっている男子生徒を見て、すぐに走って行くその姿は戦妃とも言えるだろう。

少女は魔物の腕を切り、男子生徒を横抱きで抱きとめた。


「ジゼル……?」

「ご無事で何よりです。もう安心してください。あの魔物は私が倒します」


ジゼルの声に安心して力が抜けた男子生徒を、ジゼルは魔物から少し離れたところに降ろした。


「君はしてはいけないことをしたんだ。制裁を受けてね」


ジゼルは魔物に優しく声をかけてから地面を蹴って、宙に飛んだ。

そして魔物を優しい太刀で切った。


「天使……」

「女神……」


物陰に隠れていた複数の生徒たちが口々に言った。

着地したジゼルを沢山の生徒たちが囲んだ。

ジゼルは戸惑っている。


「ありがとうございます!助けてもらって!」

「ジゼルさん!握手してください!」

「ジゼル、僕の名前を呼んでくれないか?」

「えっと、その……」


何かを言おうとしているジゼルの声は、生徒たちに届いていないようだった。

ジゼルが困り果てたとき、生徒たちを止めに入る声が聞こえた。


「何をしている」

「い、イーベル殿下……」

「その子、困っているじゃない」

「セシリア様……」


セシリアとイーベルが来たことにより、ジゼルを取り囲んでいた生徒たちはジゼルから離れた。


「ありがとうございます」

「困っていたんだろう?ん?君は……」

「それでは、失礼いたします」


ジゼルはまた姿を消した。

生徒たちはいつもいきなり姿を消すジゼルが不思議で仕方ない。


「見たことがない生徒だな」

「イーベル殿下は知らないの?最近噂のジゼルっていう天使らしいよ」

「天使……。か」

「何?」

「確かに美人だったなと思って」

「あなた婚約者いるよね?」

「いるけど……。さっき振られた」


さて、どうやら魔物も死んだらしいし私は退散しますか。

みんなから慕われるジゼル。

みんなから疎まれる私。

正反対だ。

この間まで私も、みんなと仲良くしてたのに。


「魔物の気配……」


私はまた走って魔物の大群の中に突撃した。

魔石を拾い終わったときに、丁度実習終了の笛がなった。

全員が広場に集まってきた。

そして、魔石の収集をして順位発表になった。


「ということで、魔石が一番多かったのはユリィさんです」


先生が私の評価を言った。

三位から一位までの評価を発表する場。

さっきまで歓声や拍手が鳴っていたのに、私になったときに鳴り止んだ。

辛いけど、自業自得だ。


『なにか言ってやりなよ』


また体が軽くなった。

少年の声で、私の体はいつも軽くなる。

どうしてだろう。

その後、私はクラスメイトを口汚く罵った。

琴葉もお姉様もアエテルナも私を冷たい目で見ていた。

もう、私に居場所はないと言わんばかりに、私はみんなから冷たい視線を受けた。


「……聖女はどうするの?聖女の運命は流石に変えれないでしょう?」

「ねぇ、覚えてる?聖女が覚醒するキッカケ」

「本当に愛する者の死……。だっけ?」

「そう。つまりはあの子を殺せば良いんだよ」

「舞台が整うまでもうちょっとあるわね」

「楽しみだ」


◇◆◇


「あなたねぇ、何であんな事してるのよ」


夢の中で目覚めて早々、ユリィが死んだ魚を見るような目で話しかけてきた。


「色々ありまして……」

「まぁいいわ。座って」

「はい……」


私は椅子に座ってユリィと向き合った。

相変わらず綺麗な顔してるなぁ。


「今日はあなたに頼み事があるの」

「頼み事?」

「イアン・グリーファに接触してほしいの」

「ブフッ!」


思わず紅茶を吹き出してしまった。


「大丈夫?」

「お、お構いなく……」


イアン・グリーファって、ヒロインに惹かれる一人。

剣術が得意で魔力と学力は低め、Bクラスの生徒だったはず。

学園では氷の騎士様とも言われている。

セシリアに惹かれているかどうかは分からない。

私は全学年にまで悪評が広まっているから、正直話しかけづらい。


「理由は?」

「イアン・グリーファはまだここに来ていないの」

「前から気になっていたんですけど、ここはどこなんですか?」

「ここはあなたにとっては夢の中。私達にとっては魂のたまり場。この間話した、異世界との狭間って言ったら分かる?」


あー、異世界との狭間って魂のたまり場なんやぁ。

ん!?

ちょっと待って。

私達が転生したのって、異世界との狭間を彷徨ったからだよね!?

ってことは、ユリィ達もいなくなっちゃうんじゃ……。


「ユリィ!いなくならないで!」

「え?どうしたの?」

「だって、ここは異世界との狭間なんでしょ?じゃあ、いつかみんないなくなっちゃうんじゃ……」


ユリィは優しく微笑んで、私の頭を優しく撫でた。

その顔には悪役令嬢の面影なんて全くなかった。


「バカね。私はいなくならないわ」

「本当に?」

「本当」


こんなに優しいユリィが、悪役になるなんて信じられない。

優しい表情、優しい声、優しい手つき。

落ち着く。


「話を戻すけど、イアンは次に狙われる可能性が高いの。他にもディーアやカイル、オーリスが危ないわ」

「え?それって……。」

「私達も読ませてもらったわ。『君が世界を救うなら』っていう物語を。まさかこの世界が異世界では本になっているなんてね。そして、今まで殺されてきたのは全員、物語の中心人物。つまり、イアン・グリーファ、ディーア・ベイルド、カイル・シルコード、オーリス・クレイト。この四人が次に殺される可能性が高い」


確かに、今転生してる人物たちはかなりの重要人物。

次に殺されるとしたら、この四人の内の誰か。

でも、オーリスとは正直会いたくない。

だって、未来で私を殺すんだもん。

嫌すぎる。


「明日はイアンに会ってほしいの」

「でも、悪評が……」

「大丈夫よ。イアンは聞き分けが良いはずだから」

「えぇ……」


◇◆◇


目を開けると朝だった。

いつもそうだけど。

さて、学園に行く準備をしよう。

私が起き上がると、目の前にユリィがいた。


『おはよう、菜乃葉』

「うわぁ!な、ななななな何で!?」

こんちっちは〜!春咲菜花です!最近後書きのネタが無いです。さて、今回は実習の話、ユリィの話でしたね。ジゼルの正体は誰なんでしょうか!そして、どうしてユリィは異世界との狭間から出てこれたんでしょうか!謎が増えていきます!伏線回収どうしよう(笑)!次回もお楽しみに!

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