第二話 ホラー映画と男のコ
思い付き短編とキッパリ言ったばかりなのに……
スマン ありゃウソだった
でも まあ 続きは書いたんだから良しとするって事でさ……
こらえてくれ
どうぞお楽しみください。
「ホラー映画、ですか……」
「あぁ。武藤さんから『CGが凄いから表現力の向上に良いですよ』と言われたんだ」
「そ、そう、ですか……」
打ち合わせに来た担当の武藤さんが置いて行ったブルーレイ・ディスク。
そこには髪の長い女と共に、『♾️♾️』という、だいぶ尖ったタイトルが書かれていた。
二番煎じ感が凄いが、漫画にもリアルさを徹底的に求める武藤さんがあれ程勧めるのなら、少なくとも映像的には見るべきものがあるのだろう。
しかし。
「晶も一緒に観るか?」
「ぅえっ!?」
びくっと震える晶の表情から察するに、とても苦手そうだ。
ここは一人で観るとしよう。
「あぁ、別に無理にとは」
「み、観ます!」
「え?」
真っ青な顔。
小刻みに震える身体。
……どう見ても無理をしているように見えるが……。
「え、絵のレベルを早く上げて、せ、先生のお役に立ちたいです、から……!」
「……」
……別にホラー映画でなくても、画力を上げる方法はあると思うが……。
「そ、それに先生と一緒なら、こ、怖くても頑張れますから……!」
「……!」
これだから晶は油断がならない!
見た目はどう見てもアイドル級の妹系美少女!
それが潤んだ瞳で見上げてくる!
これを無下にはできない!
だが晶は男だ!
これを忘れると、晶を膝に抱えて頭を撫でながら映画鑑賞を始めてしまうだろう!
そこで晶の男が目覚めたら……!
「……わかった。だが無理はしないようにな」
「あ、ありがとうございます……!」
距離を保って観れば大丈夫……!
……多分。
「ひぃやあああぁぁぁ! す、スマートウォッチから! あぁ! 手が! 手が!」
「あ、あぁ、うん、そ、そうだな! 手が、その、大変だな!」
主に晶に両手で握られている私の左手が!
なのに何なんだその腕力は!
必死に握り締めているはずなのに全然痛くない!
庇護欲を掻き立てられる……!
だが晶は男だ!
抱き締めて頭を撫でたりしたらきっと大変な事になる!
「が、画面から出てきませんよね!? あの女の人出てきませんよね!?」
「あ、あぁ、出てこない! 出てこないから安心するんだ!」
結局まともに鑑賞できず、晶を帰した後じっくり研究するのだった……。
読了ありがとうございます。
ちなみに『♾️♾️』は、広告動画に紛れ込んだ悪霊・音門日音があらゆる電子機器を通じて現れ、主人公を追い詰めるホラーです。
自己複製を続けた大量の日音に囲まれ、万事休すかと思われたその時、その多大な負荷でサーバーがダウンし、消滅するというB級感満載のオチで、晶は安心して家に帰りました。
もし「あなたのスマホにも、ほら……」的なオチだったら、お泊まりだった可能性も……。
お楽しみいただけたなら幸いです。