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7、先日はマティウス殿下と仲を深めたような気もしますが、今日はオペラに行きたいと思います。と、思ったら遊び歩いているからなのかトラブルに遭いました。

 今日はオペラにやってきた。

 王都の結構大きな民間のストレンジ歌劇場という所だ。

 オペラ『魔笛』に合わせて色々なセットが組まれていて、なかなか期待大だと思う。

 国立劇場と比べて、民間の工夫みたいなものが随所に見られるし、贅を尽くした煌びやかな歌劇場の内装が眼福だ。

 一部、ロビーの一角が改装中として幕がかかっていたけれど、そういう事もあるのだろう。



 今日も今日とて、マティルダ様と取り巻きの貴族令嬢たちと一緒に来ている。

 マティルダ様は最近、打ち解けてくださって私たちと笑顔でお話になってくださるし、指をこすり合わせてもじもじする癖も少なくなった。

 お母様にそれを何気ない折に話したら、


「それはとても良いことだと思うわ、もっとマティルダ様と仲良くするのよ」


 と意味深な顔をなさっていた。

 どういう事だろうか。

 まあ、王族と仲良くするのは我がオランジェ侯爵家としても悪くないだろうけれど。



 それはともかくオペラだ。


 今までのセオリーとして、また半獣人の方とか魔法使いの方とかが歌手なのかと思ったのだけれど、普通に人間の歌手だった。いや、もちろんパンフレットには『王都ナンバーワン歌姫マーガレット』とかそういう事が書いてあるけれども。


 マーガレットさんはなかなかに美人で、『難解な神の世界の作品もマーガレットが歌えば満員御礼! 貫禄の演技!』と書かれていた。表現がよく分からないけれど、とてもうまい歌手なんだろう。

 今までに比べて今日は結構商業よりのパンフレットだ。


 そんなパンフレットに感心して、


「マーガレットさん、美人ですわね、マティルダ様」


 とマティルダ様に言うと、


「私は?」


 とマティルダ様の普段の様子に似合わず、マーガレットさんに張り合うような事を仰った。

 そこで、私は改めてマティルダ様を眺める。


「多分、美人です」


 今日もマティルダ様はトレードマークのようにハイネックタイプの白いドレスと、ヘッドドレスをすごく目深にかぶっているので、顔の造形はいまいちよく分からなかった。


 そういえば、女優さんや役者さん演奏者や歌手さんの顔をよく見ることはあっても身近な人の顔ってそんなにマジマジと見ない。

 そりゃもちろん、貴族の顔と名前は頭に叩き込んでいるけれども、それとこれとは別だ。


 とりあえず、マティウス殿下に似て(遠縁の親戚なのだから当たり前か)金髪に緑の目の……多分、美人(貴族は大体美人)。


「……っ、ごめんなさい。変な事を言いました。忘れてください」


 マティルダ様が、指先をこすり合わせながら謝った。


「いえ……」


 私たちのやりとりを、取り巻きの貴族令嬢たちが意味深な笑顔で眺めている。

 お母様もそんな表情をなさっていたけど、どういう事かな?


 その時、演目の開始の鐘がなり、私の頭の中はオペラ一色になってしまった。


 ーーー

 ーーーー


『魔笛』の演目も進んで夜の女王の貫録の歌声と演技に酔いしれていた時、



 ……ドゴォオオ!!!



 と、どこかで何かが砕けるような音がした。

 あまりの音の凄まじさと何かが破壊されるような音に、舞台もオーケストラもさすがに動きを止めた。


「きゃー!!」


 令嬢達が叫び声を上げる。劇場に来ている人たちも高位貴族達以外が叫び始めた。


 何が起こったのだろう?


 私たちの周りに少し離れて待機していた騎士たちが近寄ってきて、防御を固める。

 その内の二人が状況を確認しに音の方へ走っていった。


 私も、令嬢たちとマティルダ様を守るように結界魔法を張った。

 これこそが私の魔法だ。

 悪役令嬢らしくない防御魔法と思いきや、結界の壁でアタックすることもできる。

 広い結界範囲で攻撃する悪役令嬢らしいえげつない攻撃だ。

 さすがは悪役令嬢という魔法だった。


 ……しかし、普段は使う機会はまるでない(だって護衛の人たちがいる)。

 だから自分でも忘れていた。

読んで下さってありがとうございました。

もし良かったら評価やいいねやブクマをよろしくお願いします。

また、私の他の小説も読んでいただけたら嬉しいです。

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「大好きだった花売りのNPCを利用する事にした」

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