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6、侍女の話(侍女の視点)

 私はオランジェ侯爵家のナタリーお嬢様の筆頭侍女ターシャ・ノクリスです。


 ノクリス子爵家の4女で、マナーや勉強、お嬢様のお世話に関わるありとあらゆる事を学び、この地位まで登り詰めました。


「あら、今日の髪型はふんわりしてて素敵ね」

「ありがとうございます」


 今日の身支度が一通り終わり、ナタリーお嬢様が鏡越しに優しく微笑みました。

 髪結い担当の侍女が礼をして、下がると私はナタリーお嬢様の全体をさりげなくチェックします。

 なかなかいい感じなのではないでしょうか。


 今日、ナタリーお嬢様が屋敷にてお迎えするお客様は、妖精の方たちです。

 人間とは感性が違うと、人にも聞き、書物にもそう書いてあったので、今まで精霊と交流を持った人たちの例を参考にして、あまり貴族令嬢として飾り付けすぎないコーディネートにしました。

 お嬢様の銀色の髪は柔らかく大きめで巻いてラフにハーフアップにして、アクセサリーも小さめの物を最小限に使い、清楚な感じに仕上げました。


 ---


 ……陽光溢れるお屋敷の庭で、空気の妖精たちが『神の世界の作品』の『バレエ』で「レ・シルフィード」(空気の精)を踊りました。

 礼をする空気の妖精に、お嬢様が立ち上がって惜しみない拍手を贈ります。


「ありがとうございますっ……こんなに幻想的なレ・シルフィードを見られるなんて一生の思い出になりました」


 お嬢様の言葉に、空気の妖精たちはわずかに微笑んでいるようです。

 妖精は、人間の嘘が分かると書物に書いてありました。

 嘘偽りないお嬢様の賛辞が分かるのでしょう。


 実際、私もこんな光景が見られるとは思っておりませんでした。


 ---


 そもそも妖精がこのように踊りを見せてくれるようになったきっかけとしては、やはり、お嬢様が『神の世界の作品』に大変なご興味を示されたことが発端でした。


 この世界では、貴族のたしなみとして『神の世界』にあるとされる『神の世界の作品』に親しむ事が良いとされています。


 しかし、神の世界と我々人間が住む世界は文化がもちろん違うので、なかなかこの世界の人間には受け入れづらいところもあり、一般教養としては重要視されているものの、やはりこの世界で創作されたものに偏ってしまうという事があります。


(私も貴族のたしなみとして、例えば、バレエなどは観たのですが、『神の世界』は人間種族以外の者に夢を感じたり、魔法で解決できる動物への変身も悲劇だったり夢だったりするようで、理解しづらいのです。白鳥に変身したり戻ったり。だからそのそれがどういう意味があるのかちょっと難しかったです)


 お嬢様は、幼少の頃よりとても勤勉なご性格で在らせられるので、あまり文化活動にはご興味をお示しにはなりませんでした。


 しかし、お嬢様が13歳のころ、このアイステリア王国の次期王太子様とのご婚約のお話がまとまってから、更にご自分を高めようと思われたのか、文化活動や社交にも積極的にご参加されるようになりました。


 特に前述した『神の世界の作品』に非常に強い興味と情熱をお示しになり、さすがは次期王太子妃としてふさわしいお方なのだと思いました。


 オランジェ侯爵ご当主様もお嬢様のそのような心意気に感服し、次期王太子妃としてふさわしい文化活動や社交ができるように後押しなさったのです。


 その結果、『神の世界の作品』の発表に精力的に活動している者たちを積極的に侯爵家で支援しているような形になりました。


 お嬢様は『神の世界の作品』への親しみ方を今一度、貴族や平民にまで強く知らしめる活動をなさっております。


 私は、そんなお嬢様が自分の主人として大変誇らしいのであり、私は私のできることでこれからもお嬢様を支え仕えていきたいと思っております。


 それにミーハーな事を言うようですが、お嬢様が王太子妃になれば、私はお嬢様付きの筆頭侍女、末端貴族の女としてこれ以上の名声はないでしょう。

 本当にお嬢様は私の素敵な事の全てなのでございます。

読んで下さってありがとうございました。

もし良かったら評価やいいねやブクマをよろしくお願いします。

また、私の他の小説も読んでいただけたら嬉しいです。

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↓代表作です。良かったら読んでくださると嬉しいです。

「大好きだった花売りのNPCを利用する事にした」

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