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1、オーソドックスではありますが、まずは自分が悪役令嬢だと気づきました。

※デートすると好感度が上がるタイプの乙女ゲームです。

「あ、あの……これから婚約者としてよろしく……」

「ええ、よろしくお願いします」


 私をおどおどした上目遣いで見る王子に、私は内心イラッとしたものを感じながらにっこりと頷いた。

 これは政略結婚で逃げられない。


 そんなに怯えなくても、元々私はこういう顔だから仕方ないでしょう?


 だって、私は……、


『悪役令嬢ナタリー・ド・オランジェ』


 だから。


 そう、私は今、顔合わせをしているこの王子の婚約者になり、やがて断罪されて処刑される『悪役令嬢』だった。


 ---


 私は侯爵令嬢ナタリー・ド・オランジェ、花の13歳だ。

 銀色の髪に菫色の瞳の迫力ある美人だ(自分で言う)。

 アイステリア王国の第一王子マティウス・ド・アイステリアの婚約者でもある。

 この前、顔合わせを経て、婚約者となった。

 建前は本人たちの顔を合わせて相性を見た、という事になってはいるが、実際には、


 ・公爵家にめぼしい令嬢がいないのと血が王家と近すぎる

 ・オランジェ侯爵家の財政がここ最近、飛ぶ鳥を落とす勢いで上向いている

 ・私とマティウス殿下の年齢が同じ

 ・王子はマティウス殿下しかいない

 ・マティウス殿下には6歳の妹、つまり王女しかいない

 ・世界情勢を鑑みて王女はできるなら外国に嫁に出したい


 等々、ありとあらゆる大人の事情が話し合われて決められた。

 めちゃめちゃ話し合いに時間がかかったので、王族と貴族の婚約には珍しく13歳での婚約となった。

 私にもマティウス殿下にももちろん個人の意思というのはない。


 けれど、やがては王妃という女性で一番上の位に就く。

 貴族令嬢としては、人生絶頂の時であろう。


 しかし、私はそのマティウス殿下との顔合わせで、マティウス殿下のちょっとイラッとする独特の上目遣いを見て思い出した。


 ここは乙女ゲーム『秘密の宝石箱~イケメンコレクション~』の世界だと。

 マティウス殿下は、乙女ゲームの攻略対象者の一人で自分に自信のない王子マティウス殿下だと気づいた。


 乙女ゲーム『秘密の宝石箱』は、とてもオーソドックスな恋愛シミュレーションゲームだ。

 プレイ方法としては自分のステータスを上げて、デートを誘い誘われ、好感度を上げていく。


 それだけだ。


 イケメンとの会話も返事の選択肢が出るには出るが、そこまで返事の選択肢で好感度は上下しなくていい。

 イケメンの好きなデートスポットを覚えた後は、会話に選択肢が出たからといって攻略サイトを目を皿のようにしてみなくても良いのが助かる。

 特に私はストーリーというよりも好きな絵師さんの華麗なグラフィックをたくさん見たかったから助かった。


『お金のない』私は、なんとかお金を貯めてかったゲームソフト『秘密の宝石箱』の中でありとあらゆるデートスポットに行った気になって楽しんでいた。


 そう、前世は家族を早いうちに亡くして、家族の援助もなく、お金がなく、無利子の奨学金で借金した私はなんとか大学を卒業したけれど、大学生活を生活費を稼ぐためにバイトも入れていたため、就職活動も中途半端な結果に終わった。

 結果として手取り16万位の月給のITサービス系企業に就職していた。

 毎月6万が奨学金の返済に消える。6万が家賃に消える。

 もう生活費はほとんど残らない。


 前世では無い無い尽くしだった。


 が、今世では優しい家族も居るし、お金もある。

 勉強に遊びに色々楽しみたい。

 この世界は乙女ゲームの世界だけあって、前世の日本にファンタジー要素を加えたような世界なのだ。

 だから、前世の娯楽がデートスポットとしていっぱいある。


 私はこの世ではお金と家族の愛に物を言わせて、おしゃれと娯楽と勉強を精いっぱい楽しもうと思う。



 ……だって、18歳の時にヒロインを敵に回して処刑されるのだから。

読んで下さってありがとうございました。

もし良かったら評価やいいねやブクマをよろしくお願いします。

また、私の他の小説も読んでいただけたら嬉しいです。

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↓代表作です。良かったら読んでくださると嬉しいです。

「大好きだった花売りのNPCを利用する事にした」

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