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第87話 大会当日

このお話を読んでくれた方。

ブックマークに登録してくれた方。

どうもありがとうございます。


今回の話しは少し短いですが読んでくれると嬉しいです。

 白聖連団が開催する武闘大会。

 表向きは、強者を募るギルドの催し。

 その実は、クロノフィリアを誘き寄せ包囲し殲滅もしくは捕獲を目的として挙行される。

 そして、白聖連団のギルドマスター 白蓮 がその存在を賭けた最期の挑戦(たたかい)

 クロノフィリアに挑む挑戦者。

 絶対者の存在を知り、自身の存在を揺るがす真実を知っても、尚、強者に挑もうとする彼の意思と決心は…。


『遂に…この日が来ましたね。白蓮様。』

『ああ…抜かりは無いよ。全ての準備は滞りなく終了した。』

『ええ。監視組の配置も問題なく完了です。』


 銀と共に会場、観客席、リングの全てが一望できるVIP席のある特別部屋への扉を開いた白蓮。


『白蓮さん。ここの部屋も準備完了だぜ。』

『ありがとう。』


 白蓮を待っていた灰鍵。


『俺はこのまま会場に行く。出場選手は予選があるからな。軽く予選通過してくるわ。』

『頼む。灰鍵。だが、無理はするなよ?何処にクロノフィリアが潜んでいるか分からないからね。』

『了解だ。何かあったらすぐに報せる。』


 部屋を出ていく灰鍵。

 次に入れ替わるように入ってくる人物がいた。


『白蓮~緑の~方々ですよ~。』


 最初に入室したのは白雪。

 その後に続く形で端骨が既に彼の操り人形と化した律夏達、八龍樹皇のメンバーを引き連れ現れる。


『おお。なかなか立派な場所ではないですか~。白蓮さん?。』

『端骨君か。ようこそ白聖連団へ。歓迎するよ。』

『お前達はここで止まっていろ。』


 操り人形4人を静止させる端骨。


『いやいや、素晴らしい催しですね。この日をどれだけ待ち望んだことか。糖に群がる蟻の如く、クティナの宝核玉に誘き寄せられる憎きクロノフィリアを一網打尽。ひひひ。楽しみでしたよ。』

『そう言って貰えて嬉しいよ。六大会議の時から我々六大ギルドもメンバーが大部分が変わってしまったけどね。』

『ひひひ。仮にですが。美緑様…あの小娘が出てきたら、私に譲って貰いますからね。あのガキは私が直接地獄を見せてやりますので。』

『…そうかい。じゃあ、その時は端骨君にお願いしようか。』

『ひひひ。まぁ、こんな所にノコノコ現れるような…そんな愚かなガキではないでしょうけどね。ひひひ。ひひひ。』


 そして、もう1人、いや…3人が新たに入室してくる。

 彼らを案内していた奏他白蓮の元にやってくる。


『赤蘭煌王の方々です。赤皇様がギルドマスターを引退され新しくギルドマスターとなった火車(カグルマ)様です。』

『ようこそ。火車君。ギルドマスター就任おめでとう。歓迎するよ。』

『ははは、さんきゅうな。まっ、俺がギルドマスターになったからにはクロノフィリアの雑魚共なんか片手で捻ってやるよ。』

『ははは。頼もしいね。』

『たかが、レベル120が20人くらいのギルドに何で手間取ってんのか俺には分からねぇがな?白蓮も噂で聞いてた程大したことねぇな。』

『あなた。白蓮様を呼び捨て?。』

『おお~怖っ!お前は…確か銀って名前だっけ?可愛い顔が台無しだぜ?どうよ。白聖なんて辞めて赤蘭に来いよ?良い思いさせてやんぜ?。』

『白蓮様…。』

『はいはい。ストップ。銀。彼はお客様だよ?。』

『…失礼しました。』

『ひひひ。…くくくくく。成程。成程。』


 火車と銀、白蓮のやり取りを面白可笑しく見ていた端骨が何かを納得するように火車に近寄っていく。


『火車さん。でしたかな?。』

『あ?そうだけど。あんたわ?。』

『緑龍絶栄のギルドマスターで端骨と申します。ギルドマスター同士仲良くしましょう。』


 握手を求め手を差し出す端骨。だが、その手を火車は払い除けた。


『わりぃな。男と馴れ合う趣味は同じギルドメンバーじゃない限り無いんだわ。しかも、お前すっげぇ弱そうだしよ。眼中にねぇよ。』

『そうですか。それは失礼しました。ひひひ。』

『へ…不気味な野郎だ。でだ、白蓮よ。』

『何かな?。』

『大会だけどよ。赤蘭からは3人出すからな!もちろん優勝したら、クティナの宝核玉くれんだろ?。』

『もちろん。嘘ではないよ。優勝すれば…ね。』

『ははは。そりゃ良いぜ!。俺はもっと強くなるからよ!。精々今のうちに媚び売っとけよ?。』


 仲間を引き連れ退室しようとする。


『どちらに行くのかな?。』

『あ?会場だよ。出場する奴らに激励よ!。安心しろよ。時間になったら戻って来るからよ。』

『ああ。』


 出ていく火車を見送り扉が閉まると同時に端骨が笑いだした。


『はははははははははは…ひひひひひ!アレはダメですね~。三下も三下…全く現状が見えていない。いったい、いつの時代の話をしているのでしょうね。世界は既に今までの2年とは別の方向に動いているというのに…おめでたい。実におめでたい頭ですねぇ~。』

『ギルドマスターのスキルで強化された自分のステータスに自信を持ったんだね。彼の中では自分が世界最強なんだろうさ。』

『憐れ…憐れ…。白蓮さんは何故アレを野放しに?。』

『ああ言うタイプは説明しても信じないだろうさ。』

『ひひひ。確かに。確かに。』


 白蓮は端骨のことが好きではないが、この時だけは意見が一致した。


『白蓮さん。俺達の配置も終了した。』

『ご苦労様。後は僕の指示を待っていてくれ。』

『了解。』


 ギルド 紫雲影蛇のギルドマスター 紫柄。

 現在は、白聖との傘下となり【世界の真実】も説明された。その上で今回の作戦を白蓮と共に決行することを決意した。

 それだけ、彼等にとって【神との接触】は絶望的な真実を突き付けられたのだ。


 紫柄が闇に溶けるように姿を消した。


『さて、役者は揃ってきたね。』

『こんにちは。』


 漆芽に案内され入室する黄華。

 彼女が部屋に入ると、周囲に花のような甘い香りが広がる。


『黄華君。こんにちは。いらっしゃい。護衛もつけないなんて珍しいね。』

『そ、そうですね。今日は観客ですし、安全でしょ?。』


 チラリと端骨を見る黄華。


『まあ、君達は重要なお客様だからね。護衛には銀と白雪が居る。会場全体にもギルドメンバーや六大ギルドのメンバーを配置してあるから。』

『なら、安全ですね。私の座る椅子は?。』

『こちらだよ。』

『あら、豪華な椅子ですね。』

『開始まで、まだ時間がある。それまでゆっくりしていてくれ。銀。』

『はい。白蓮様。黄華様。アイスティです。どうぞ。』

『あら、ありがとう。頂くわ。』


 黄華がアイスティを受け取ると椅子に座り会場を見渡していた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


 今日はこれから白聖連団が主催となって開催される武闘大会の会場へ向かう。

 私、黄華は黄華扇桜のギルドマスターとして大会の様子をVIP席から眺めることになる。

 そして、先程。無凱や閃君達と別れ、白聖にの支配エリアへと続く扉の前に居る。

 この扉は、無凱の能力で黄華扇桜から遠く離れた白聖連団に繋がるワープゲートとなっている。


『黄華さん。』

『はい。叶神父。』


 私の後ろに立つ叶神父が声を掛けてきた。

 六大会議の時と引き続き、今日も私の護衛は叶神父だ。とても、心強い。


『無凱からある提案がありまして、それを黄華さんに伝えておこうと思いまして。』

『提案?。』

『はい。今回の大会は白聖のギルドマスター、白蓮の主催。会議の時の会話で我々クロノフィリアを誘き寄せるのが狙いなのは既に分かっています。』

『はい。その通りです。』

『そして、閃君からの情報と照らし合わせると、白蓮はクリエイターズと呼ばれる我々の本当の敵と接触している可能性が極めて高い。その場に、緑龍の端骨が居れば、ほぼ確定でしょう。』


 クリエイターズ。

 閃君と無凱に教えて貰った。

 クロノフィリアの最大の敵。その実態は未だに謎が多い。いえ、謎しかない。


『そして、彼等は我々のことを【バグ】もしくは【バグの仲間】と呼んでいる。極めつけは、クロノフィリアメンバーの何人かが遭遇した謎の敵が持っていたスキル【バグ修正プログラム】。』

『バグ修正プログラム…。』


 いったい、何なのかしら?。


『無凱の推測では、このスキルを利用すれば我々を探し出すことも出来るかもしれないと言っていました。』

『…成程。六大会議の時のように護衛として後ろに控えて貰うと、相手にクロノフィリアだとバレてしまう可能性があるということですね。』

『はい。その通りです。ですので今回は彼女の力を借りたいと思います。』

『彼女?。』


 叶神父が私の横、誰もいない場所に手を差し出した?。どういうこと?。


『黄華さんには見えないのですが。ここに私の恋人が今居るのです。クロノフィリアメンバーの最後の1人が。』

『え?。』


 クロノフィリア最後の1人?…って、私まだ全員と会ったこと無いのですけど?。


『説明するより、実際に話した方が早いですね。黄華さん。失礼ですが手を握っても?。』

『ええ、大丈夫ですよ。』


 差し出された叶神父の左手に自分の手を乗せる。

 叶神父の右腕は何も無い空間に差し出されていた。


『では、スキル【共感幽視】。』

『え!?。』


 目の前に現れる白髪の女性。

 背中に白い翼、頭上に光の輪。白いワンピースを着た綺麗な女性。


『紹介します。私の恋人の幽鈴です。』

『ふふ。こうして話すのは初めてね。私の方はいつも貴女を見ていたけど、改めて言うわね。初めまして。幽鈴よ。宜しくお願いするわ。』

『は…はぁ。初めまして…黄華です…。』


 あまりにも現実離れした綺麗さに言葉を失ってしまう。

 女性としての美しさはもちろんだが。

 人間とは別の存在の持つ綺麗さは私の目を釘付けにした。


『あらあら。固まってしまったわ。ふふ。この状態なら黄華にも触れるのね。』


 ぷにぷにと私の頬をつつく幽鈴。

 美しさ、綺麗さ、圧倒的な美貌…を持った彼女の笑顔は子供のように無邪気だった。


『今、黄華さんと幽鈴の魔力の波長を私の魔力で無理矢理同調させました。もう手を離しても結構ですよ。今日1日くらいなら幽鈴を視認出来ますので。』

『ふふ。宜しくね。私が貴女を護衛するわ。』

『え?あっ…はい。宜しくお願いします。ですが、叶神父は?。』

『もちろん私も護衛はします。スキル【幽体生転】。』


 叶神父がスキルを発動すると、姿が見えなくなった。


『叶は今、普段の私と同じ状態になったの。つまり、幽霊ね。他人に干渉はされないけど…自分から干渉も出来ない状態。声も聞こえないでしょ?。』

『え、ええ。聞こえなくなりました。』

『この状態で少し離れた所で叶も護衛につくから安心して。』

『は…はい。やっぱり、クロノフィリアの方々はスキルも凄いですね。』

『ふふ。ありがとっ。そう言って貰えて嬉しいわ。』


 こうして、私たちは白聖へと続く扉をくぐった。これから始まる戦いの地へと。

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