第83話 集い
庭園に集う 元 六大ギルドの面々。
緑龍絶栄からは、この私…美緑。と、涼お兄ちゃん。そして、少し遅れて合流した砂羅と累紅と威神さんと柚羽さん。
黄華扇桜は、黄華さん1人。
話によると六大会議の時にいた強い気配のお2人はクロノフィリアのメンバーだったみたいです。納得です。あそこまで強い気配の持ち主はそうはいませんから。
赤蘭煌王は、赤皇。
九大王光の玖霧さんと知果さんと燕さんの4人。
黒曜宝我からは黒璃。
三陰六影の聖愛さんと暗さんの3人。
元…六大ギルド中、4つのギルドが集結している。この状況はいったい何なのでしょう?。
『それじゃあ改めて、美緑ちゃん、砂羅ちゃん、累紅ちゃん、ようこそ黄華扇桜の支配エリアへ。』
『ようこそ~。美緑ちゃ~ん!。』
パチパチパチパチパチパチパチパチ。
黄華さんの言葉に同調する黒璃…だめだ。私の記憶の中にいる今までの黒璃から違いすぎます…。
赤皇も会議の時に見せていた荒々しさは鳴りを潜め、皆に合わせるように手を叩いているし…。
黄華さんはいつも通りだけど…少し雰囲気が違うし…。柔らかく、優しい雰囲気?。凛とした会議の時とは違う。
これも、クロノフィリアの方々の影響?。
もしかして、今までここにいるギルド全員が裏で手を組んでいたとか?。私は騙されていたとか?。
流石に青法と白聖のメンバーはいないから、それ以外の3つのギルドは密かにクロノフィリアの傘下に入り共闘していた?。
じゃあ、緑龍だけ完全に孤立していたの?。
ああ、でもギルドマスターじゃなくなったから、もう大量の書類とにらめっこすることもないんですね…。
端骨の手から砂羅と累紅だけでも無事で良かった…。
結局、私はギルドの為に何も出来なかった…。
私の何がいけなかったのかなぁ…。
涼お兄ちゃんが生きててくれて良かった…。
支配エリアの住民達を…巻き込んでしまった…。
私のせい?。私のせい?私のせいだ。
私が端骨を追放しなければ…こんなことにはならなかったかもしれないのに…。
グルグル…グルグル…グルグル…と、色んな考えが頭の中を巡り不安と驚きで私の頭の中は…。
『あのぉ…お願いです。教えて下さい…この状況を…私…パンク寸前…です…。』
私は頭を下げて頼み込むしかなかった。
だって、もう意味分からないんです…今まで敵同士だったのに…こんな仲良く集まって…。どうして?何で?私は…どうすれば?。良いのぉ?。
緑龍の皆は端骨に操られちゃうし…律夏お兄ちゃんはもう戻って来ない…ギルドにも私の居場所はないし…端骨に命を狙われてるし…。
もう…何が…何だか…。閃さん…。
『わあああああああああああああん!!!。』
『わっ!?美緑ちゃん!何で泣いてるの!?。』
『美緑ちゃん!?。』
『おいおい!?どうしたよ緑ぃの!?。』
『おい!?美緑!?。』
混乱に耐えられなくなって泣いてしまった私に、その場にいた全員が戸惑っていた。
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『で、何で俺が呼ばれてるんだ?。』
拠点に帰って来た俺達を灯月や智鳴や氷姫達、つつ美母さん以外のクロノフィリアのメンバー全員が出迎えてくれた。
つつ美母さんは今、庭園にいる美緑達を見てくれている。
煌真や睦美、機美との久し振りの再開に全員が喜んで今までのことを話し合っていた。
その時、庭園にいる筈のつつ美母さんから緊急だと連絡を貰い急いで庭園に駆けつけると…何故か子供のように大泣きしている美緑と困っている面々がいた。
『たくっ!涼がついてて何やってるんだよ…。』
『す…すみません。閃さん。』
今、美緑は俺に抱き付いて胸に顔を押し当てて泣いている。俺は背中を撫でながら美緑をなんとか落ち着かせる。
『どうやら、色んなことがありすぎて混乱しちゃったのかもしれません。』
『多分、溜め込んでたストレスが一気に押し寄せて来ちゃったんだと思うよ。美緑ちゃんは凄く頑張ってたから。』
砂羅と累紅が小声で耳打ちしてきた。
『はぁ。成程。なあ、美緑。』
『ぐずっ…はい。』
美緑を落ち着かせ少し頭を離す。
真っ赤に腫れた目と涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだ。
俺はアイテムBOXからハンカチを取り出し美緑の顔を優しく拭いていく。
『安心しろって言ったろ?。ここにはお前を傷付けるヤツはいない。黒璃や赤皇は、お前と同じようなことがあってここに居るんだ。』
『え!?…じゃあ。』
『そうだ。ギルドを追放されたんだよ。まあ、黒璃の場合は若干異なるが…。』
『そう…だったんですね…。』
『まあ、俺も赤皇のことは、さっきギルドマスターに聞いたんだけどな。今ので合ってるよな?赤皇。』
俺は赤皇に顔を向ける。
『ああ、そうだ。変な黒い男に仲間が襲われてな、叶さんが助けてくれたんだわ。で、赤蘭じゃあ俺の力不足が原因で幹部を失ったとかで責任を押し付けられてギルマス交代さ。まあ、予想通りの反応だったがな。それで、クロノフィリアに入った訳よ!ははははは!。』
『ははは。変わんねぇな!ゲーム時代から!お前、俺と戦った時もそんな感じだったぞ?。』
『………へぇ。覚えていてくれたのか?。嬉しいねぇ。』
『忘れねぇよ。一撃で気絶させたのに、お前は気を失ったまま立ち上がったんだぞ?しかも笑いながら…。』
『おっ!?そうなのか?起きた時には仰向けで倒れてたんだが?。』
『そりゃ、放置は出来ねぇだろうが!一応HP回復させて寝かせたわ!。』
『ははははは!そうだったのかスマネェな!やっぱアンタは噂通りの人みたいだ。これからは旦那って呼んでも良いか?。』
『煌真と被ってるが…まあ、好きに呼べよ。後で煌真ってヤツに会ってみろ。お前、多分気が合うぞ?。』
『煌真…さんね。手配書で見たな…強いのか?。』
『肉弾戦ならクロノフィリア最強かな?。』
『おっ!マジか!それを聞いたら黙っちゃいられねぇな!。』
そのまま、赤蘭は飛び出して行こうとするが、後ろにいた少女に止められる。
『待ちなさい!バカ!。』
『痛てっ!?何すんだ?玖霧?。』
『アンタ…今は美緑さんの件が先でしょ!。』
『ああ、そうだったな。おい!緑ぃの!。』
『…はい。』
『落ち込む気持ちは分かるがな!クロノフィリアの連中はお前の悩みをちゃんと受け止めてくれる奴等ばっかりだ。遠慮せず思ってることを伝えてみろ!きっと解決してくれるからな!ついでに、俺も何かあれば力を貸してやる!何でも言えよ?。』
『…はい。ふふ。閃さん達は信頼されているんですね。』
『みたいだな。』
その言葉を言い残し赤皇は庭園を出ていった。それを追うように玖霧と言われた少女と知果と燕が一礼して庭園を後にする。
『赤ちゃんは騒がしいね。』
『ゲーム時代からそうですからね。』
黄華さんと黒璃が赤皇が出ていった扉を見つめしみじみと呟いた。
そして、黒璃が俺に抱き付いている美緑に四つん這いで近付いてきた。
『美緑ちゃん。』
『…黒璃。』
『本当に今までごめんね。私…自分を守ることしか考えてなくて、色んな人に迷惑掛けちゃった。』
『…今の貴女が本当の黒璃?。』
『うん。私のこと教えるね。美緑ちゃんには知って欲しいから。』
そう言って、黒璃は話始めた。
白蓮に実の兄であった黒牙を殺されたことで、黒曜宝我の2代目ギルドマスターになったこと。スキルで人の感情が見えてしまうことで疑心暗鬼に陥ったこと。孤独と戦う日々で見つけたのが狂気を含んだキャラクターを演じること。そんな時に、クロノフィリアの矢志路に出会い救われたこと。黒曜宝我の幹部に命を狙われたこと。矢志路が助けてくれたこと。そして、クロノフィリアに入ったこと。
『そうだったのですか。報告では黒曜宝我がクロノフィリアの手によってギルドホームごと消滅したと聞いていました。そんなことがあったのですね。』
『美緑ちゃんの話も教えて欲しいなぁ。』
『…はい。私だけが聞いているだけでは、貴女に失礼ですしね。』
そして、美緑は語る。
この1日半の出来事を。
『そうだったんだ…。美緑ちゃぁぁぁん!。』
黒璃が美緑に抱き付く。俺の膝の上に乗っている美緑に抱き付いたことで3人で倒れ込んだ。
『私達、これからちゃんと友達になろうね!。』
『…はい。今の貴女なら私も好ましく思います。』
『うん!宜しくね!美緑ちゃん!。』
『ええ。宜しく。黒璃。』
2人で笑い合う。
『でも、美緑ちゃんは凄く閃さんが好きなんだね!ずっと抱き付いてるし!。』
『え?…みゃ!?。』
俺を押し倒して抱き付いている状態に気が付き変な悲鳴を上げた。
けど…離れない…。
『み、美緑?。』
『………。閃さん。』
『ん?。』
『…これから、いっぱい、宜しくして下さいね。』
そう言って俺から離れ砂羅の後ろに隠れるように逃げて行った。
『ふふ、モテモテだね。閃君。』
黄華さんが耳打ちしてくる。
『そうですね…どんどん、睦美の言うハーレムエンドが近付いてる気がします。』
『え!?目指してなかったの?。』
『え!?。』
見つめ合う俺と黄華さん。
どういうこと?てか、ハーレムエンドという単語の存在を黄華さんが知っているっぽい?。
俺は睦美に話を聞かされて知った。その睦美はずっと俺と一緒に行動していた…。
『灯月か?。』
『ええ。智鳴ちゃんと氷姫ちゃんも同意の上よ。』
『私もよ~。』
おかしいな…耳元で、且つ、小声で会話してる筈なのに…離れた位置にいる、つつ美母さんが賛同の声を上げてる…。
『………はぁ。俺は睦美に告白したんだがな。』
『え!?そうなの?。』
『ええ、好き好きアピールに俺も心が動いた。可愛いいと思ってしまった…。』
『そっか。凄いね睦美さんは…。あまり話したことは無いけどね。今度お話してみようかな。』
『ああ、俺の認めた恋人ですから。ぜひ話して欲しい。』
『あらら。閃君がそこまで言うんだね。成程、成程、これは灯月ちゃんが暴走しそう…かな?。』
『…大丈夫です。俺も心を決めましたから。』
『頑張ってね。私は閃君を応援してるからね。』
『頑張れ~。閃ちゃ~ん。黄華ちゃ~ん。』
つつ美母さんからの声援。
『え?私も?。』
『う~ん。無凱く~んと。の~。』
『きゃあああああああああ!!!そんなの何もありませんから!!!。』
つつ美母さんの方へ一瞬で移動する黄華さん。
速ぇぇぇえええええ。何今の…スキル?。
『さて、この場はもう良いか?。』
『閃さん。』
立ち上がる俺に涼が声掛けてくる。
『ん?どうした?。』
『あっ…あの、一応…俺は美緑の兄…というのは差し出がましいかもですが…美緑とは長い付き合いです。その俺から見ても美緑は閃さんに惚れています。…どうか、美緑を宜しくお願いします。』
『…ああ。と言っても美緑とは出会ったばかりだ。これから…少しずつ互いを知っていくさ。好きとか付き合うとかは…それを知ってからだがな。』
『…はい。それでも構いません。美緑が悲しみで泣かなければ、俺はそれで良い。』
『安心しろ。ここにいる限りそれはないから。』
『はい。』
軽く頭を下げ涼が下がる。
次はその横に居た2人に声を掛ける。
『柚羽も威神も元気そうだな。』
『はい。閃さんもお元気そうで。』
『ああ。閃さん。ここは良い場所だ。感謝する。』
『なら、良かったよ。』
次は黒璃と聖愛と暗。
『3人共、ここには慣れたか?。』
『うん!閃さん!皆優しいよ!特に光歌さん!。』
『へぇ…光歌がね…。』
あの人見知りに気に入られたのか。やるなぁ…。
『聖愛と暗はどうだ?。』
『はい。皆さん、とても良くしてくれます。何より黒璃ちゃんが笑顔で過ごせる環境です。私にとってそれが何よりも嬉しいです。』
『僕も…。同じ…。』
『はは。そうか。矢志路のこと頼むな。アイツは強いがお前達みたいな支えが必要だからな。』
『はい。頑張る!。』
『分かりました。精一杯支えます。』
『僕もぉ。』
『頼んだ。』
3人は最後に美緑達と話して庭園から出ていった。
『それじゃあ、美緑達。』
『は、はい?何でしょうか?閃さん。』
『お前達の部屋に案内するから付いてきてくれ。』
『あ、はい!ありがとうございます。』
『私達の部屋…用意してくれたんですね!楽しみです!ありがとうございます!。』
『助かります。閃さん。』
俺はつつ美母さんと黄華さん。涼達に目配せをし3人を連れ、仁さんが用意した各々の部屋に向かった。
ーーー
その後、涼、柚羽、威神は各々の場所に戻り、賑やかだった庭園に静寂が訪れる。
残った黄華とつつ美は、皆が出ていった扉を見ながら嬉しそうに会話を始める。
『ふっふっふ~。賑やかになるわね~。』
『はい。クロノフィリアが動き出して3週間くらいですか…何かあっという間に世界が動いていくみたいですね…。』
『そうよ~。だからこそ~。2年間は~。情報収集に~。励んでたのよ~。強すぎる力には~。それだけの責任が~。あるからね~。でも~。先に動いたのは~。白の子達だから~。責任を~。とって貰いましょうか~。』
『つつ美さんが言うと迫力が違いますね。』
『そうよ~。私は~。少し~。怒ってるのよ~。』
『え!?そうなんですか?。』
『そうよ~。私達の~。大切な~。平和の日常を~。壊したのだから~。』
『ああ、そう言う理由ですか…。』
不気味ながらも妖艶で淫靡な表情で笑うつつ美を見ながら、この人は敵に回しちゃいけない人だと思う黄華だった。
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私はクロノフィリア所属 No.10 灯月です。
時刻は深夜2時。丑の刻。
誰もが寝静まった頃、私は行動に移した。
昨日の夜、遠く離れた地…緑龍絶栄から遂に、にぃ様が帰還なされました!!!。
待ちに待った、この日…この時…この時間!。
あの日、にぃ様が旅立ってしまった日。悲しいことに私は居残り組となり長い間…にぃ様に会うことが出来ない状況となってしまいました。
途中で帰還した智鳴ねぇ様や氷姫ねぇ様の代わりとして、にぃ様にお呼びして頂けるかもと思い3週間…結局、呼ばれずに…にぃ様は帰ってきてしまった…。
いや…止めよう…にぃ様とのデートを想定して色んなプランを考えていたなんて…今となっては虚しいだけ…。
しかも、にぃ様は睦美ちゃんと…なんと、なんと、なんとぉぉぉぉぉおおおおお!!!恋人同士となって戻って来たのだ!。
あの難攻不落、不沈艦と呼ばれた、にぃ様が!遂に、遂に、遂に!この時が、来た!。
その、睦美ちゃんは言った。
『大丈夫じゃ。閃はハーレムエンドに着実に近付いておるぞ?。』
無凱さんに伝言をお願いしておいて良かった。睦美ちゃんにちゃんと伝わっていたようですね。
そして、今夜、私は思い立ったのだ。
『夜這い(ヤる)か…。』
と。




