第57話 代刃のくじ引き
『来ないなら…こちらから行くぞ。バグ共!。鳥神!』
機械桃太郎が翼を広げた。羽の1つ1つに魔力が集まっていく。このパターンは…。来る!。
『はっ!』
羽の弾丸が無数に発射された。
次から次に発射される羽は、魔力により硬質化し、高速で撃ち出される。
『させねぇ!盾!。』
腕の金属を変化させ全員が隠れられる盾を作る。
『白、行きますわよ?。』
『了解ッス!黒呪光…雷豪風雲!』
『聖鎧!部分解除!光翼展開!。』
4本の呪刀の力を1つに集約し腰から抜いた短刀へ…白が全身に雷のオーラを纏う。雷の化身へ肉体を昇華させた。
春瀬の白銀の鎧、その背中部分が消え、背中から光の翼が展開された。
『はぁぁぁああ!。』
僕が出している盾の隙間から春瀬が聖剣を構え機械桃太郎へ突進した。
『聖光玉!力を上げなさい!。』
鎧に埋め込まれた5つの宝石が輝き魔力が聖剣へと流れた。
『破邪聖光剣!』
『なるほど、凄まじいまでの魔力による推進力だ。だが、動きが単調過ぎる。』
振り下ろした聖剣を刀で受け流しながら春瀬の体制を崩しに掛かる機械桃太郎。だが、ここからが春瀬の剣術。
『なんの!ですわ!。』
聖剣から光を放出。受け流された体制を魔力の放出による推進力を利用して1回転した。
『何!?。』
高速で打ち込まれる聖剣を辛うじて防ぐ機械桃太郎だったが春瀬の膨大な魔力量で強化された威力は、文字通り 馬鹿力 なのだ。
『ぐっぉぉおおおお!。なっ!何だこの馬鹿な力は!?。』
『はぁぁあああああ!。まだまだ!ですわ!。光翼!。』
踏みとどまった機械桃太郎。
安心したのも束の間、春瀬の勢いは止まらない。今度は光の翼から魔力を放出。機械桃太郎に体当たりした。
『がぁぁああああああ!。これしきぃぃいい!。』
一瞬、機械桃太郎の身体が春瀬から離れるも、それが春瀬の狙いだった。
『これで!どうですの!!。』
空中で宙返りした春瀬は全身の魔力を乗せ巨大な光の剣と姿を変えた聖剣を叩きつけた。
『ぬぉっ!?ぐかぁあああああ!!!。』
機械桃太郎の肩口に当たった聖剣は、魔力無効化の効果によって光の魔力を霧散させながらも力業で押し切り腕を斬り落としたのだ。
『ぎっぃいいいいいい!。馬鹿な!俺の身体に傷を!?。』
落ちた腕を見つめ、現実に驚愕する機械桃太郎。
『はぁはぁ…はぁはぁ…こんな…もん…ですわ…はぁはぁ…。白…後は、お願いしますわ!。』
壁を蹴り、雷の速さで背後に回り込んだ白。手に持つ短剣には稲妻が宿り機械桃太郎の首を捉えた。
『ありえん…。』
その刹那…機械桃太郎の小さな声が白の耳に入ってきた。
『なっ!?。』
『白!。』
『ありえんのだぁぁああああああ!!。』
背後に回った白の速度を上回る身のこなしで白の首を掴む機械桃太郎。そのまま地面へ叩きつけた。スキル【広域索敵】で白の動きを予測した。
『がっ!?。』
地面を抉る程の力で叩きつけた白を持ち上げ宙に放り投げ、空中にいる白の右胸を刀で貫き壁へ串刺しにした。
『あぁっ…がっ…。』
『白っ!。きゃっ!?。ぐあっ!?。』
そして、一瞬で間合いを詰め、白に駆け寄ろうとし油断した春瀬の横っ腹に肘鉄を食らわした。春瀬も岩まで吹き飛ばされた。
『白!春瀬!。』
僕は白に駆け寄った。
胸に刺さった刀は禍々しい魔力を放ち白の身体に流れ込んでいた。これは呪いの類いだ。このままじゃ不味い!。
『こ…この刀は…不味いッス…。鬼族の…天敵ッスよ…力…入らない…。』
声を震わせ何とか言葉を紡いでいる…という感じだ。
僕は刀を抜こうと試みるが…深々と突き刺さった刀は全く動かない。このままじゃ白が死んじゃう。
『無駄だ。鬼族に対する絶対的な呪い。掠るだけでも動きを封じることが出来るのだ直接刺されば…そう…長くは持たん。』
『うるさい!絶対助ける!。春瀬!無事か?。』
壁まで吹き飛ばされ岩の中に埋もれていた春瀬が起き上がる。
『ええ…。アバラを何本かやられましたが…まだ行けますわよ…。』
横っ腹を抑えながら立ち上がる春瀬。そして、僕の考えを察しているようだ。
『時間を稼ぎます!。聖鎧!聖光玉!聖剣!反転なさい!。スキル【光転闇化】!。』
先程まで眩しいまでの光を放っていた鎧と剣は…その色をドス黒く染め漆黒の鎧と剣へと変化した。聖剣は魔剣へと性質を変える。
『なんだ!?その姿は!?。』
刀の無い機械桃太郎が後退る。
『時間…稼ぎ。と言いましたが。この状態になると手加減出来ませんの…どうか。必死に抗って下さいまし。』
黒いオーラを垂れ流しにし、機械桃太郎へ歩み寄る。この黒い状態の春瀬のスピードは遅い。
『そんな鈍い動きで俺を倒すと?笑わせる!。猿神!。』
瞬時に春瀬の懐に潜り込んだ機械桃太郎。春瀬に猿神の籠手で強化された一撃を与える。命中したのは、みぞおち。的確に狙った一撃だった。
『何…してるんですの?。』
『な!?。』
確実に決まった、強化された拳を持っても春瀬は立っていた。否、ビクともしていない。
『何故!?。』
『今のは…こうですわね。』
『ぐぶぉっ!?。』
機械桃太郎の みぞおち に春瀬の拳がめり込んだ。鋼鉄の機械身体を持つ機械桃太郎の胸には春瀬の拳の形が残っていた。
『あら?思ってたより軽いですわね。』
魔力無効化のスキルのせいで春瀬の拳に纏っていた黒いオーラが消滅したが、内効魔力で強化された拳は機械桃太郎を吹っ飛ばす威力だった。
『今のうちだね。』
僕はスキル【二重番号】を発動し女の…本来の姿に…。No.2の刻印が左目に刻まれた。
『白…もう、ちょっと待ってて。』
『り…了解…ッス…よ…。』
魔力を高める…。僕の能力はピーキー過ぎて僕自身が扱い切れない。けど…。白を救う為に僕は頑張るから!閃…力を貸して…。
『神具…並行世界接続門。』
手の平に現れる次元の歪み。
並行世界…パラレルワールドに存在する【神具】か【スキル】を、性能を 10分の1 にしたコピーをこの世界に召喚、又は自身の身体に宿す神具。その召喚は…。
『完全にランダム…。門に加える魔力は…取り敢えず 7 だ!。』
そして、呼び出す神具の強さは、1~10段階に分けた僕の魔力を門に注ぐことで決まる。
『お願い…良いの出て…。』
完全にくじ引きなんだよね…。
『これは…。』
門から現れた一本の槍…氷の結晶の形をしている…どう見ても回復系じゃないよね?。
スキル【鑑定眼(神具)】
目視した 神具 の能力を知ることが出来るスキル。
『え…と…エグゼクトブライデール?。』
鑑定眼。
・エグゼクトブライデール
雪を降らせる氷雪の槍。雪は対象者に当たると溶けて蒸発する、その際に対象者の魔力も吸い出す。吸い出された対象者は凍らされる。
うん。違うね。一度出した神具は能力を使うか、30分経たないと消すことが出来ない。そして、消えないと次の神具を呼び出せないのだ…はは…何だそれ…。
『え…エグゼクトブライデール!。』
神具の発動。閉ざされた洞窟の空間に雪が降り始める。
戦っている機械桃太郎と春瀬の周囲に雪が降る。
『これは…雪か?。』
『雪…ですわ…。って…私のオーラが吸い取られて行きますわ!?。』
『何!?翼が?籠手が?鞋が?凍る!?砕けていくだと!?。』
突然の事態に混乱する2人。
僕は気にせずに次の召喚へ。
『雪が消えた!?。何だったのだ?。』
『代刃の神具ですね。相変わらず…の、くじ運ですね。』
再び、2人の戦闘が始まった。
『はぁはぁ…はぁはぁ…。』
白の呼吸が荒くなった。早くしないと…早く…早く…。
『次の召喚!。魔力レベルは9!。』
お願い…来て…。
『これは…。七支刀?。鑑定眼。』
・シセカナシキノツサメ
地面に突き刺すことで一定空間内の能力を全て無効にする。
『来たっ!。』
僕は思いっきり地面に刀を突き刺した!。
能力を無効にすれば刀が抜ける!。
『っ…ぁぁああああ!はぁはぁ…はぁはぁ…痛い…ッス…。』
『白ぅ…。』
『ちょっ…かっは!…はぁはぁ…楽に…なったッス…。』
能力を無効化したことで刀に宿っていた鬼殺しの呪いも消滅、白から引き抜くことが出来た。能力を失った刀は錆び落ちるようにボロボロに砕けた。
『待っててね!すぐに…治すから!。お願い…良いの来て…魔力レベル…4!。』
僕の身体が赤い光に包まれた。
このエフェクトはスキルを獲得したということ。
『鑑定眼!。』
対象に魔力を流し傷を癒す。
来た!2連続で 当たり 引いたよ!。
・キスメル
対象者に 口づけ することで対象に魔力を流し傷を癒す。
え…?。口づけ?。キス…?。一瞬で顔が熱くなる。
『はぁはぁ…代刃ッチ…はぁはぁ…どうした…ッスか?。』
白、辛そう…。迷ってられないよ!。
『白…。』
『ん?。何ッスか?。真剣な…顔…はぁはぁ…ッスね…良いスキル…出たッスか?。』
『僕…白のこと大好きだから!それに、女同士だからノーカンだよ?。』
『え?っ!?。』
白の唇に自分の唇を押し付ける。バタバタしてる白の頭と背中を撫でて落ち着かせて…口の中に魔力を流し込む。
ちゅっちゅ…くちゅちゅ…ちゅっ…ちゅ…。
いつの間にか白は全身の力が抜け、されるがままになっていた。白の身体が光に包まれて胸の傷が治っていく。良かった…。
『っんは。はぁはぁ…白、大丈夫?。』
『…あっ…。』
唇を離し白の容態を確認する。
傷は…無い。大丈夫、完治だ。
『あれ?白?。』
僕の顔を見つめ微動だにしない白を不思議に思った。どうしたんだろう?。
『もっと…。あっ!?。』
斬られて露出してしまっていた胸元を必死で隠し涙目で僕を見つめる白。えぇ…何この反応…。
『代刃ッチ…また、してね…。』
何をぉぉぉぉおおおおお!?。白が壊れたぁぁああ!!!。
『こら!2人とも回復したのならこちらを手伝いなさいな!』
黒いオーラを纒い、周囲に撒き散らしながら春瀬が機械桃太郎とぶつかっていた。さっきの雪で装備を失い刀も今破壊されても尚、機械桃太郎は春瀬と互角に渡り合っている。だが、互いに決め手を欠いている状態のようだ。
機械桃太郎は春瀬の無茶苦茶な剣を見切り紙一重で躱し大振りの隙をついて打撃を与えている。魔力無効化が働き黒いオーラが無効化されているが猿神の籠手を失った拳では春瀬にダメージを与えられない。また、カウンターでの一撃を警戒してか攻撃を加えた後に一定の距離まで後退している。先程の拳の痕は少しずつナノマシンで修復されているようだ。僅かに光ってる。
対する春瀬も似たような状態だった。アバラの骨折の痛みで魔剣の一振に十分な力を伝えられず中途半端な攻撃をただ繰り返していた。魔力を無効化されている以上、範囲攻撃や砲撃系統の攻撃は機械桃太郎にダメージを与えられないどころか、洞窟の最深部でそんなことをすれば洞窟そのものが崩壊する可能性だって出てきてしまう。当初の目的である。この場所に 何か があるらしいことが分かっている故に大胆な行動に出ることが出来ない…。
『春瀬!交代!。』
『代刃?。っ!?。』
代刃の声が後ろから聞こえた春瀬は驚いて振り返る。っと、そこには女の姿の代刃の顔が目の前に接近していた。
代刃の顔…と認識した瞬間に春瀬の唇は奪われた。唇を通じて暖かな代刃の魔力が流れて来て全身の力が抜け落ちる。それと同時に、アバラの痛みが消え、身体中の痛みや疲労、倦怠感などが無くなった。
『ぁっ!?はぁはぁ…代刃…。』
『これで、治ったよね。後は任せて休んでいて。コイツは僕がやる。』
スキル【二重番号】発動。No.2からNo.21へ。女から男の姿へ。
『さぁ…決着を着けようぜ?桃太郎。』
『…。』
片腕と3つの装備と刀、それらを失っても春瀬と同等の戦闘技術。
『魔柔念金属。』
液体金属を身体の周囲に幅広く展開する。奴の魔力無効化がある限り、金属を武器化してもスキルにより形を維持できない。なら、最初から形を作らない。
『はっ!。』
奴の攻撃を避ける。避ける。避ける。拳、蹴り、組技。当身の全てを避ける。相当のダメージを負っている。が、技のキレは衰える様子はない。避けれるのも、紙一重、ギリギリだ。
『どうした?避けてばかりでは俺は倒せんぞ!。』
『それは、どうかな!。剣!。』
流動する金属の一部で剣を作り斬り掛かる…が…当然、流動体に戻される。やっぱりね。
『無駄だ。お前の攻撃では俺は傷を付けられんぞ?。先程の娘の方が良かったのではないか?。』
『ご忠告どうも。だが、要らぬ助言だ。もう勝ちは見えた。』
怪しい笑みを見せてやると、機械桃太郎が動きを止めた。
『勝ちが見えただと?。笑わせる。貴様の攻撃では俺を倒せないのは実証した筈だが?。まだ、笑える状況だと?。』
『ああ、言った通りだ。俺の勝ちだ。』
『戯れ言を!。』
一直線に向かってくる機械桃太郎。
『ああ。機械でも激昂するんだな。それを待ってたぜ。』
軽く首を傾げると、顔の横を通り抜けていく物が…。
『ぐっぉぉおおおおお!?。これは!?。俺のぉぉおおおお!。』
高速で打ち出されたのは、春瀬に斬り落とされた奴の腕。
『同じ素材ならダメージ入るだろ?。』
『ぐぉっ!。少々…驚いた。だ、だが!2度目は無いぞ…。』
地面に落ちた自分の腕を踏みつけ粉々にする。今の一撃もナノマシンによって既に修理が始まっている。
『ふん。いんや。もう終わったぜ?。』
『終わった?。何を馬鹿なことを言っている?。俺はまだ動けているぞ?。寝言は寝てから言え!バグが!。』
尚も殴り掛かる機械桃太郎。
大きな鉄板を作るが拳に当たった瞬間に溶けるように穴が開いた。
『はぁっ!。』
勝った。と思ったのか声のトーンが一段上がる桃太郎だったが僕の目の前まで迫った拳は届く前に、その場で静止した。
『なっ!?。何故止まる?。か、身体が動かん!?。』
『お前が機械で…金属の身体で良かった。』
『な…何を言って?。』
『お前の魔力無効化のスキルは身体の外面に施されているみたいだったからな。春瀬が斬った腕の切り口から侵入させてもらったぜ。俺の神具を。』
『な…に…。』
『俺の神具は金属を取り込み吸収出来る。もう、お前の身体に使われていた金属と同化した。後は…。』
『俺の…負けだな。』
『ああ。』
『見事だ。』
その直後、機械の動力が停止した。
すると、胸のパーツが開き中から1つの宝石が飛び出して来た。
『え!?これって?。』
『白にも見せて欲しいッス!。』
『私にも!ですわ!。』
控えていた2人も近づき、覗き込んで来た。
僕の手に乗る 青い宝石。
この宝石のは見覚えがあった。そうだ。あの時の…あの娘の。
『リスティナの宝石だな。』
『白も見覚えがあるッス!。』
『ええ。覚えていますわ。』
すると、機械桃太郎から声が女の声が聞こえ始めた。
『やあやあやあ。まさか桃太郎君を倒すなんてね。びっくりしたよ!。やっぱり強いね!君たちは!。』
その声には聞き覚えがあった。
あの時の女の声だ。この場所を僕に教えた。謎の自称神様。
『お前は…あの時の。』
『そうそう。覚えていてくれて嬉しいよ!。』
『代刃ッチが言っていた謎の機械の女ッスね?。』
『ああ。そうだ。コイツからここの場所を聞いた。』
春瀬も白も僕が出会った女だと理解したようだ。
『それで?何故…貴女が、この機械で話していますの?まさか、この機械は貴女が?。』
『違うよぉ。この機械が壊れたからハッキングしただけ。その方が君たちとお話出来るでしょ?あんまり、時間無いけどね。』
『そうなんッスか?忙しいッスね?。』
『まあね。じゃあ本題だね。まず、私の目的の1つは君達に、それを渡したかったの!。』
『それって。この宝石のことか?。』
リスティナの青い宝石。何故…この世界に コレ があるのか?この人は知っているのかな?。
『貴女はこれが何か知っているのですの?。』
『彼女…の身に着けていた宝石だね。』
『リスティナのことを知っているのか?。』
『…知ってるよ。でも、ごめんね。まだ、その事は教えてあげられないんだ。でも、信じて。絶対それは君達に必要なモノなんだ!。』
『これをどうしろと…言うのですの?。』
『集めて欲しいんだ。他の宝石も。』
『他の宝石ッスか?。』
『確か、リスティナの身体には宝石が7つ…ありましたわね?。』
『そう。その7つの宝石を 奴等 より早く集めて欲しいんだ。』
『奴等?。』
『宝石の場所は、その洞窟の奥にある個室に地図を置いておいたから持って行ってね。』
『何か急に早口になりましたわね?。』
『で、宝石は各地に散らばってるんだけど必ず強い門番が控えているから準備を整えてね。あと…あと…ああ時間が…彼女は君た…。』
プツン。と女の声が消えた。
『あっ!?ちょっと!?。』
『急に切れたッスね。』
『慌ただしい方ですわね。結局、リスティナの宝石を 何者 かより早く7つ集めないと、私達…クロノフィリアにとって不利益がある…と言った感じですわね。』
『どうするッスか?。』
『取り敢えず奥に進んでみよう。』
僕達は女が言っていたように洞窟の奥に進むと、そこには小さな研究室が岩の中に建てられていた。
『ん?地図らしいのがありませんが?。』
『ねぇ。これ見ろ?。この宝石の形じゃないか?。』
『あっ!本当ッス!ここの型にピッタリッス!。』
巨大なモニターの前にあるキーボードの中心にある窪み。そこに、宝石を嵌め込んでみた。
すると…。モニターが起動し…そこに…。
『日本地図ですね。そして、印が7つ。その内の1つは、ここだ。』
『印は…。』
『緑龍のエリアに2つ。黒曜のエリアに1つ。青法のエリアに1つ。白聖のエリアに2つ。赤蘭のエリアに1つ。か。』
『赤蘭の印はこの宝石ですね。あとは…結構広範囲ですわね。これは…骨が折れますわよ?。』
『でも、ほっとけないよ!。』
『口調戻ってますわよ?。』
『あっ…。』
女の姿へ。
『僕達で少しでも回収出来れば皆の助けになるんならやってみようよ!。』
『ふふ。貴女なら、そう言うと思いましたわ。』
『そうッスね。じゃあ、後でまた式神君に伝言伝えるッスよ!。』
『なら!。』
『決まりですわね!。』
『冒険の開始ッス!。』
『うん!2人共!行くよ!クロノフィリア、裏組!出陣だぁ!。』
『ええ。』
『了解ッス!。』
裏組の新たな旅が始まった。