第338話 並行世界の神具②
『ほれ。もっとぎゅっとしろ!。』
『こうかな?。』
『もっとだ。もっと!。我に覆い被さる感じでな!。』
ソファーに座る僕の足の間に入り込んだキシルティアは執拗に後ろから抱きしめろと注文してくる。
彼女の小柄な身体は僕の身体の中にすっぽりと収まり彼女の後ろから手を回すと完全に包まれてしまう。
それを気に入ったのか、彼女は抱きしめる僕の腕を何度も触れ撫で回す。
少しくすぐったい感覚と、彼女の柔らかさが伝わってくる。
『これで満足かな?。』
『ふむ。まだ、足りんが…今はこれで許してやろう。ふふ。無凱~。ふふ。』
嬉しそうだ。
『じゃあ、そろそろ君の現状を教えてくれるかい?。』
『ああ。話してやる。さてと。では、まず確認からな?。』
キシルティアが話し始める。
『此度の我は神の声をこの星の者達に伝える役目を与えられた巫女として生を受けた。生まれた直後に響く神の声。あと、神竜の一翼黄竜を賜ったな。』
『けど、今は巫女じゃないんだよね?。』
『ああ。神の声…国によっては神託と呼ばれているようだが、アレは 呪い だ。異界の神…つまり貴様達のことを殺せと叫ぶだけのな。あんなもの我には不要だ。何せ、貴様達がこの世界の害などではないことを知っている。巫女としての力は黄竜と共にあるべき場所へ返した。』
『あるべき場所?。』
『ああ。数年前、一人の男が訪ねてきた。エーテルを纏う謎の男だ。一目見て神か、それに連なる者だと悟ったわ。話を聞くに巫女の命を全うした者を救済するために各国を回っているのだとさ。どうやら、奴は我に巫女の力が要らんことを知っていて最初に、ここを訪れたらしい。』
『何者なんだい?。』
『詳しくは知らん。奴は神の遣いとだけ言っていたな。名もないらしい。だが、無凱達の味方でもないと…いや、やがて敵になる者と語っていたぞ。』
『敵か…。』
『気を付けろ。アレは我でも手に負えん。それに巫女の力と神竜を回収していると考えると中々に厄介だぞ?。』
『詳しく聞いても良いかい?。』
『神竜は赤、青、黄、緑、紫、白、黒の七体存在する。その意義は巫女を外敵から守る守護が目的だ。神の言葉を伝える存在はそれだけ奴等にとって大事で重大なのだろう。それ故に神竜の力は強力だ。その力は神獣と互角かそれ以上。特徴として固有の能力を二つ所有している。』
神竜の能力。
赤竜 蘇生と不死
青竜 分解と合成
黄竜 隔絶と解放
緑竜 繁栄と再生
紫竜 霊操と呪詛
白竜 浄化と拒絶
黒竜 束縛と重圧
『それが敵になる可能性がある者の手に渡ったのか。』
『すまんな。我よりも強い力だ。いや、スヴィナを含め黄国の全ての力を総動員しても奴には勝てないだろ。抵抗すれば殺される。黄国は滅びる。それくらい奴の力は上にあった。』
『その彼の言う通りにするしかなかったんだね。』
『ああ。あの様な存在。繰り返しの生を生きた我ですら出会ったことがない。初めてだ。アレを用意しているとなると、いよいよ神も本気…と見て間違いないだろう。』
『ダークマター…終焉に対抗する手段があるということかな?。』
『若しくは、これから生まれるのかもな。』
僕達のまだ知らない存在。
神眷者や仮想世界で僕達を襲った神達。この世界の住人。そして、ダークマター。
それ以外の敵がいるのか。
『キシルティアの能力は変わっていないのかい?。』
『ん?。ああ。変わらんな。【エーテルを広げた支配領域内の法則を自由に変更する】だ。』
『聞くだけでも強すぎるね。』
『ふふ。長年の修行の成果だ。もっと褒めろ。』
『はいはい。キシルティアは凄いよ。自慢の恋人だ。』
『ふふん。もっと褒めろ~。』
彼女の頭を撫でると目を細めるキシルティア。
何かペットの動物みたいな反応だ。
『我はペットではない。貴様の女だ。間違えるな。』
『普通に心を読むのね。』
『当たり前だ。ここは我の支配領域内だぞ?。それくらい造作もない。』
『怖いなぁ。』
『貴様だって同じことが出来るだろう?。ほれ。試しに我の内心を読むことを許す。表面だけでなく深層の想いも読み取ってみろ。』
『ええ。まぁ、じゃあ失礼するよ?。』
支配空間を広げキシルティアを包む。
無凱。愛している。もう何処にも行かないで。私から離れて行かないで。一緒にいて。ずっと。これから…ずっ~と。
『……………。』
僕は無言でキシルティアを抱きしめる腕に力を込めた。
『無論、貴様が黄華の元へ今すぐにでも駆け出して行きたいと考えていることは理解している。貴様の心は黄華でいっぱいだ。いや、黄華の他にも大事にしている存在が増えているな。柚羽と水鏡。貴様の新たな女達か…。ふふ。あれ程我と愛を語らい育み共に最期を迎えたのにな。こうも浮気されると清々しい。』
『こらこら。捏造しない。君も僕と黄華さんの間に入ってきたでしょ。』
『ふん。我は良いのだ。何せ、我は一途だからな。』
『理由になってないよ。』
『かもな。ふふ。だが、しかし…何だ…。』
『ん?。どうしたの?。』
顔を赤くして照れたように言葉を発するキシルティア。
『貴様の中に…ちゃんと我がいることは…褒めてやる。正直…嬉しい。ぞ?。』
『当然さ。君も僕を救ってくれた一人なんだから。僕にとって君も特別だよ。』
『ふん。本当は我だけが良いのだが…しかし、その言葉で今は満足しておくとしようか。』
『ありがとう。』
色々と。
『ああ。そう言えば此度の生。数年前に面白い出会いをしたぞ。』
『ん?。』
『我程ではないが、我と同じ能力を持っている小童がいてな。少し手解きをしてやった。』
『へぇ。それは凄いね。』
キシルティアと同じということは、支配領域を広げてその内のルールを改変できるってことだ。
流石に彼女のように洗練はされていないだろうけど、小規模でも同じことが出来るなんて相当なモノだよ。
『その子は今何処に?。』
『さてな。あれから十年余りか。何処で何をしていることか。想像も出来んな。』
『そうか…君にしては少し珍しいと思ったんだけど。』
『単なる気まぐれだ。我だって何かしていないと…寂しい時がある。』
『そうだね。君は普通の女の子だもんね。』
『当然だ。我はか弱い女の子だぞ?。』
か弱いか~。うん。か弱いね。
『…うん。そうだね。』
『軽く流すな!。こほん。しかしな。此度の生は些か今までの流れとは差異が多々ある。我ですら経験していない事柄が連続して起きているな。無凱。気を付けよ。この世界に転換期が来ようとしているのかもしれん。』
『うん。覚悟は出来てる。今度こそ、僕等は生き残る。そして未来を掴むよ。』
キシルティアの 今 については概ね理解した。
『ねぇ。黄華さんを他国に…紫国に送った理由を聞いて良いかな?。』
僕にとってそれが一番重要なんだ。
『なぁに。大した理由ではない。娘が母を求めている。ならば、娘が悲しむ前に母親と再会させてやれば良いと思ったまでだ。』
『娘って…もしかして。』
無華塁ちゃん?。
いや、あの娘は何でも自分で解決したがる。
確かに黄華さんとの再会を喜ぶだろうけど、悲しむくらいに追い込まれるとは考えにくい。
なら、もしかして…。
『瀬愛ちゃんかい?。』
『正解だ。あの娘は不運が続くな。我が出来るのは一刻も早く母親である黄華を娘の元へ送ってやることだった。そこに都合よく黄華に惚れ込んだ紫国の騎士が来たのでな。黄華にとっての最も安全な方法で送ってやったわ。』
『本音は?。』
『むっ。無論、今のが本音に決まっているだろ!。九割は!。』
『残りは?。』
『むぅ…もしかしたら、無凱が来る可能性を考えて…再会くらいは邪魔なしで済ませたかったのだ。独占欲が勝ってしまった………すまん。』
『はぁ…。いや、何れにせよ瀬愛ちゃんには黄華さんが必要だ。君の判断は正しいよ。けど、黄華さんを他の男の元に送ったのは許しません。』
『自分の女は手離さんか。それは我もか?。』
『当然だよ。それで?。僕は紫国に向かうつもりだけど。キシルティアは僕に何かをやって欲しいんだろ?。』
『ああ。今までの流れならば、そろそろ白国の奴等がこの国に攻め込んでくる筈なのだ。』
『白国?。』
七つの大国で最も勢力が強いところだったかな?。
それが表面的には同盟国である黄国へ?。
『なぁに。白国の王には我が貴様達…異界の神側だということがバレているのだろうさ。元々、我の力を警戒している奴だ。我が異界の神と合流し戦力を整える前に消しておきたいのだろうさ。』
『こういうのは 毎回 かい?。』
『ああ。そうだ。その度に我とスヴィナ、それとこの国で転生した貴様達の力を借りて迎撃していた。まぁ、そこまで驚異ではないのだが…少し気になる点があってな。』
『何に?。』
『攻めてくる者達が持つのは神具だ。それも貴様達が扱っているモノとは在り方が異なっているモノを扱うのだ。』
『詳しく聞いても?。』
『これはあくまでも我が転生の中で実際に集めた情報と他人から聞いた情報を我なりに纏めた話だが良いか?。我は実際の仮想世界の出来事を知らんからな。』
『ああ。構わない。』
『貴様の仲間の中に代刃という娘がいるだろう?。』
『代刃ちゃん?。うん。いるよ。僕の仲間さ。』
代刃ちゃんの名前が彼女から出るとは思わなかった。
『これは何度前かの生の時、あの娘がこの国にやってきた際に語ったのだが...。』
『代刃ちゃんがこの国に?。』
『ああ。あの娘が来たのも、あの一回きりだったがな。それで、あの娘は自身の能力について話していった。』
『並行世界に接続して、その神具を劣化コピーしたモノを出現させることが出来る。だね。』
『ああ。何故、その様な会話の流れになったのか。それは、白国にいたのだ。あの娘の使用した神具を扱う者がな。』
『白国に?。代刃ちゃんが使った神具?。』
どういうことだ?。
代刃ちゃんが白国の人達に渡したとか?。
『いや、違う。やらかしたのは青国だ。』
『青国?。白国じゃなくて?。』
『青国は仮想世界のデータを入手し、あろうことかそのデータを元に仮想世界であの娘が神具を使い顕現させた神具のレプリカを創り出したのだ。』
『まさか、それを白国に渡したのか。』
『当たりだ。あれは本来この世界にあってはならんモノだ。娘が使用した神具、それを限りなく忠実に再現し、ほぼ同じものを創造したのだ。』
『その神具を使って白国はこの国に攻めてくるってこと…だね。』
『ああ。今までも数度、使用してきたわ。忌々しい。』
『その時はどうなったんだい?。』
『幸いなことに、数度の生で使われたのは精々が2つだった。多くても3つ。我とスヴィナの力で退けた。』
『良かった。勝てたんだね。』
『ギリギリも良いところだったがな。我もスヴィナもボロボロだ。あれらは性能の桁が違う。扱う者も未熟…いや、神具の性能を扱い切れん連中だったことに救われたというべきか。』
『………そんなになのかい?。』
僕の中のキシルティアの力はまさに規格外だ。
そんな彼女が苦戦を強いられる相手がいるなんて考えづらいな。
『あの娘の話した内容だが。無凱、貴様や貴様の仲間達が扱う神具に比べ、あの娘が使用した神具はどうだった?。同等かそれ以上の力を発揮していなかったか?。』
『ああ。確かにそうだね。それは疑問だったんだ。代刃ちゃんの能力は十分の一のコピー体を顕現させる…そういう能力だった筈なんだけどね。実際は本当に十分の一の性能なのか疑わしいレベルで強かったよ。』
『まさにそれなんだ。我が苦戦した理由が。』
『僕等の使う神具との違いかい?。』
『ああ。簡潔に言うとだな。無凱達の神具は…。』
【世界を動かす歯車である神の在り方と役割を形にした存在の象徴】
『…なのだろう。しかし、あの娘が取り出した神具は…。』
【神が己の性質を基とした理想とする仮想世界そのものを現実世界に顕現させ一つの形を与えたモノ】
『…という違いがある。』
『つまり、僕等の神具は一柱の神の力で、並行世界の神具は仮想世界とはいえ一つの世界そのものを小型にした力ってこと…かな?。』
『ああ。そうなる。故に仮に十分の一の性能になったモノだとしても貴様達の操る力よりも強くなる。当然だ。形が小型でもその内には世界が内包されているのだからな。』
『そういうことか。だから、あんなデタラメな性能だったんだ。確かに僕等とは違いすぎる。何よりもそんなモノを平然と扱う世界があることに驚きだけどね…そして、それが白国の手に渡り、この国に神具を持つ者が攻めてくる…と。』
『此度の世界。イレギュラーなことが多すぎる。我の経験も予測も外れた事象も偶然も起き、これから先の未来に何が待ち受けているのか我ですら曖昧なのだ。だから、念には念を入れ無凱達の力を借りたい。頼めるか?。』
強気な口調とは裏腹にキシルティアの瞳には不安が見え隠れしていた。
『勿論だよ。君はもう独りじゃない。いや、僕がさせないよ。』
『ふふ。これから我を置いて紫国に旅立つつもりなのにか?。』
『約束するよ。今度は嘘じゃない。必ず、君の元に帰ってくるよ。』
『………うん。………そうか…安心した。』
僕の身体に寄り添うように体重を預けてくるキシルティア。
暫くすると、静かな寝息が聞こえてきた。
見ると、安心し穏やかな表情で眠っている。僅かに口角が上がり優しく笑いながら、そこ瞳からは真珠のように輝く大粒の涙が彼女の頬を伝って僕の腕に落ちた。
~~~~~
『ここかい?。僕の仲間が待っているのは?。』
『ああ。黄華以外のこの国で目覚めた者達だ。貴様のことは既に話してある。精々、再会を喜び合え。』
『きしし。わらわともお友達になったんだ!。皆良い奴だぞ!。』
長い廊下をキシルティアとスヴィナの後ろを歩いていく。
朝、目を覚まし着替えや朝食を済ませた後、キシルティアに仲間に会わせると告げられた。
黄華さん以外にもクロノ・フィリアのメンバーがこの国にいる。質問の際にそのことは分かっていたが果たして、誰がいるのかな?。
これから白国が攻めてくることを考えると少しでも戦力が多い方が良い。
『ここだ。』
大きな扉の前に止まるキシルティア。
扉の前に立っていたメイド服の少女達の扉を開けてもらい中へと入っていく。
『無凱さん!。』
入室した部屋は長いテーブルが置かれた客室のようだ。
煌びやかな装飾が眩しい綺麗で広い部屋。
その部屋で待っていた一人が僕の姿を見た瞬間。
喜びに叫び涙を流しながら抱きついてきた。
僕は彼女の身体を抱き止め名前を呼ぶ。
『柚羽さん…元気そうで良かった。また会えて嬉しい。』
『はい!。私もです!。本当に…無凱さんに…また会えて…うっ、私…嬉しい…です…。うわあああああぁぁぁぁぁ…。』
顔を胸に埋め泣きじゃくる柚羽さんを強く抱きしめ背中を擦る。
ああ。彼女の元気な姿がこんなにも嬉しいなんてね。
彼女を守りきれなかった僕に彼女を抱きしめる資格があるのかは分からない。
けど、今は再会を喜ぶとしよう。
『久し振りだな。無凱!。元気そうで何よりだぞ!。』
『お久し振りです。無凱さん。』
『無凱さん!。』
『ああ。皆も…豊華さん、里亜ちゃんも、初音ちゃんも。また会えて嬉しいよ。』
その場にいたのは、柚羽さん。豊華さん。里亜ちゃん。初音ちゃん。
そして…。
『無凱。五体満足でまた会えて嬉しいよ。』
『僕もだ。賢磨。また、共に戦おう。』
『ああ。クロノ・フィリア再始動だ。』
賢磨と握手を交わす。
この中では最も古い付き合いの友人。いや、僕にとっては親友の一人だ。
彼等との再会を心から嬉しく思う。
この五人の種族を考えると黄国の種族の偏りが少し見えてくる。
精霊、妖精系などの種族が中心の国家かな?。
それと…。
僕はもう一組の方へと向く。
『やあ。初めまして…というべきかな。お噂は兼ね兼ね。君がクロノ・フィリアのリーダー、無凱か。ふむ。なかなかな佇まい。ウチのリーダーを倒しただけのことはあるねぇ。』
『………は、初めまして。』
『君達は…ああ。そうか。君達も転生していたんだね。君は異熊君だったかな?。紫雲の。それと、白聖のメンバーだった漆芽ちゃんだね。』
『ほぉ。流石だ。この末端の構成員に過ぎない私をご存知とは。』
『私のことも。知ってるんだ。』
『いやいや、構成員どころか二人とも幹部クラスだったでしょ。…さて、かつては敵対し合っていた僕等だが、この世界では仲間ということで良いのかな?。』
『ああ。勿論だ。敵が我々の世界を滅ぼした神とそれに連なる者であるならばこの力を惜しまず貸そう。』
『私も。戦う。』
『そうか。心強いよ。異熊君は神獣にこの世界のことを聞いて僕等に情報提供をしていた、それで合っているかい?。』
『そのこともご存知だったか。ふむ。つまり我々紫雲の誰か…既に出会っていたのかな?。』
『うん。兎針ちゃんにね。』
『ほぉ。兎針か。上手く立ち回れているようで何よりだ。ふむ。その認識で正しい。』
『助かるよ。宜しくね。』
視線を豊華さん達の方へ向ける。
『すまん…無凱。黄華を連れていかれた。本当はここで無凱を待っているつもりだったんだが。キシルティアの考えを聞き、仕方なく送り出してしまった。』
『黄華さんも無凱さんに会いたがっていました。』
『うん。全部聞いたよ。僕は次に紫国へ向かおうと思う。』
『そうですか。なら、柚羽ちゃんも連れて行ってくれませんか?。柚羽ちゃんもずっと貴方に会いたがっていました。』
『勿論だよ。柚羽さん。』
僕は抱きついていた柚羽さんと視線を合わせる。
『君が望むなら。これから僕と一緒に行動しないかい?。もう、僕は誰も手離したくないんだ。』
『はい。勿論です。今度こそ私は貴方と共に戦いたい。』
『うん。今度こそ僕は君を守るよ。必ず。』
『無凱…さん…。』
再び抱き合う。
心強い味方、仲間達との合流は僕を安心させた。
~~~~~
黄国を一望できるくらい高くに位置する崖の上。
そこに集まる者達がいた。
『さぁ。皆さん。準備は宜しいですか?。これより我々の同胞になることを拒み異界の神と手を結んだ愚かな黄国を滅ぼしますよ。』
神父服に身を包んだ男。
名をイグハーレン。
かつて人族の地下都市で人工の神【人型偽神】の研究を行い数多くの人族を実験と称して生け贄にした神眷者。
人族の地下都市での戦闘。
閃との戦いに敗れて以降、姿をくらましていた男だ。
彼を筆頭に後ろに並ぶ数人。
彼等は各々に神具を装備していた。
その神具こそ白国に渡された異世界の神具。
『さぁ。我等、新たな力を授かった七柱。七つの異界の力、存分に試すことにしましょうか。』
その言葉を合図にイグハーレン以外のメンバーが散開する。
狙いは黄国の七ヶ所同時襲撃。
今、異世界の神具が黄国を襲う。
次回の投稿は30日の日曜日を予定しています。