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第34話 六大会議を終えて

『以上が六大会議で話された内容になります。』


 私は六大会議で行われた内容を順番に説明した。


『なるほどね。情報共有で話しに出てたメンバーは手配書が出ている10人だね。』

『そうよ。閃君、無凱。基汐君、豊華さん、煌真さん、代刃さん、白さん、春瀬さん、機美さん。睦美さん。の10人。』

『このメンバーで居場所が分かっていないのは代刃君と白さんと春瀬さんだね。この3人なら心配はしてないけど早めに合流したいところだねぇ。』

『基汐君が有力な情報を見つけて来てくれれば助かるんだけど。難しいかな。』


 私は持っていたケースを取り出す。


『で、これがさっき話したレベルを上げる薬よ。無凱に預けとくわ。』

『はいはい。預かっとくよぉ。』


 持ってきていた錠剤 リヒト と呼ばれていた薬をケースごと無凱に渡す。


『ちょっと調べてみようか。』


 無凱のやる気の無い目が光る。

 錠剤の成分を鑑定しているようね。


『はい。終了。』

『何か分かったかい?無凱。』

『仁。これは結構…想像よりマズイモノだよ。』

『というと?。』

『まず、服用時の効果だ。服用するとレベルが急激に上昇する。数値にして20。これは、どんなレベルの者が飲んでも変わらない。僕達以外はね。』


 無凱達。クロノフィリアの方々のレベルは限界突破2のスキルで150。つまり、薬を飲んでもクロノフィリアのメンバーはレベルが上がらない。


『で、効果の持続時間は約10分。その後30分は能力、スキルを一切使えない状態になる。』

『つまり、一時的の強化…ドーピングみたいだね。』

『そうだ。そして、ここからが問題。』


 無凱が普段見せない真剣な表情でリヒトを1錠摘まむ。


『これの製作に使われている材料は人間…能力者の臓器だ。』

『!。』


 え?人間の?臓器?内臓ってこと?


『………そうか。予想はしてなかったわけではないが、現実で起こるとなんとも…。つまり…。』

『ああ、どっかで人体実験が行われているね。』

『………。』

『それは白聖と緑龍の施設でっていうこと?。』

『『『!!!。』』』


 私の言葉に涼さん。威神さん。柚羽ちゃんが反応した。


『最初は…。そうだったかもしれないね。』

『最初は?。』

『白聖のギルドマスター、白蓮は全てのギルドにこれを配った。おそらく渡されたギルドは研究してくだろうね。各々の研究成果を加え独自の方向に。』

『…それが白蓮の狙い?。』

『全てじゃないだろうね。逆に限界を感じた技術だから切り捨てた可能性もある…。』


 無凱が静かに薬をケースに戻す。


『その場合、注意すべきことが1つ。』

『白蓮は僕達クロノフィリアのレベルが150だということを知っている可能性がある。』

『そう。情報提供者がいるかもしれないね。』


 言われてみれば六大会議の白蓮は確かに何かを知っているような雰囲気だった。

 会議の内容も上っ面の仮説や情報を話しているだけ…のような。

 もっと言えば 状況を楽しんでた 感じかな?


『涼君たちが持っていた体に装着する形のレベルを上げる方法には緑龍の技術である。自然界からのエネルギーを装着者の魔力に変換する技術が使われていたからね。まだ、良心的な研究だと思っていたが…。』

『白聖はラインを越えたと。』

『ああ、これは研究施設を探して囚われている人達を助けないといけないね。』

『これからも研究が進んで犠牲者が増えないようにね。』

『これは、クロノフィリア全員で取り掛からないといけない案件だ。早く全員集めないと。』


 無凱が薬を 箱 に入れる。


『あっ!。』


 その時に、フッと思い出した。


『わっ!?びっくりしました。お姉ちゃん。』

『ママ?どうしたの?。』

『あっ…ごめんね。驚かせちゃって。』


 私はお詫びの気持ちで2人の頭を撫でる。


『そうです。威神さんですよ。基汐君との映像に映ってたの。』

『ああ、さっき話してくれたクロノフィリアの拠点に侵入した緑龍部隊の映像のことだね。』

『ええ。何処かで威神さんを見たことがあるなぁって思ってたのよ。でも、映像では基汐君に倒されてたみたいに見えたけど?。』

『ああ、あれはダミー映像だよ。光歌ちゃんの気転だね。』

『なるほど。嘘の映像を流してギルドを騙したのね。』

『そういうこと。光歌ちゃんは本当に頭が良いね。仁は誇って良いぞ。』

『ああ、自慢の娘だよ。』


 満足そうな笑みで笑う仁さんは嬉しそうだった。


『美緑ちゃんが随分ショックを受けてたみたいだったけど。あの端骨っていう人の独断なんでしょ?。』

『はい。俺たちは端骨の部下でしたから…。』


 涼さんが椅子から立ち上がり応える。


『涼さんの名前を美緑ちゃんは出してたけど?』

『美緑様が初心者の時に俺がゲームについて色々教えました。実力は、いつの間にか抜かされてギルドマスターと部隊長の関係になってましたが。』

『ああ、そうなんだ。だから、ショックを受けてたんだ。…美緑ちゃんだけには教えてあげたいね。涼さんが無事だって。』

『…そうですね。』


 少し複雑そうな表情で言う涼さん。

 あんまり深く質問しない方が良いかな…。


『ね~。ちょっと~。聞いて良いかな~?。』

『ん?なんだい?つつ美さん。』

『何で~。裏是流君は~。天井裏に~。隠れて~。出てこないの~?。』

『え?。』


 私は天井を見る。

 すると。すっ…と天井のパネルがスライドしピエロの仮面が落ちてきた。


『やぁあ。どぉも、どぉも。呼ばれて飛び出てピエロで~す。』


 手を振るピエロ。

 ああ、会議の時に乱入してきた方ですね。

 この方にも…。


『おっ。やっと降りてくる気になったのかい?』

『裏是流君は恥ずかしがり屋だからね。』


 どうやら最初から隠れていたみたいですね。

 皆さん気付いてたのですか。

 しかし、そんなことより。

 私は立ち上がりズカズカと裏是流さんに近付いて行く。


『いやいや…つつ美さんに呼ばれたから出てきたんですよ?。』

『失礼します!。』

『え?ぱぎゃっ!?。』


 私はピエロの仮面に拳を叩き込んだ。


『痛ったぁ~。何で俺に攻撃が当たったんだ?あれ?俺のスキル、発動してなくない?あれ?あっ!箱の中だこれ…酷いよ!無凱さん!。』


 ピエロの仮面が外れて素顔が現れる。

 あら?。結構…かわいい顔ですね。 

 女の子みたい。


『いやぁ。黄華さんの攻撃は避けちゃ駄目だよ?。』

『ええ?。てか、何で俺、殴られたの?。』

『2回目ですが、初めまして。黄華扇桜のギルドマスターをしています。黄華です。』

『このタイミングで自己紹介!?。いや。知ってますし…此方こそ、初めまして。』

『何故、貴方を殴ったのか…それは…。』

『あっ!もしかして会議の時に斬りかかったことですか?あれは、あの場を逃れるためとクロノフィリアと黄華さんとの関係を相手に悟られないようにする為に敵対したように見せ掛けたんですよ?。』

『違います。』

『え?この事じゃない?じゃあ何で?。』

『私の天使!翡無琥ちゃんにパンツの色を聞いたことです!。なんつうゲスな質問をしやがって!。』

『えーーー。そこーーー?。ぷべぇっ!。』

『はぁ。スッキリしました。』

『なっ。なんという爽やかな笑顔…。因みに翡無琥ちゃん…今日のパンツの…色は何…?。』


 その言葉を最後に安らかに気絶する裏是流さん。


『えっと…ピンクのライオンです…。』

『翡無琥ちゃん言わないでいいの!。』

『あっ!そうでした…ごめんなさい。』


 私はソファーに戻り翡無琥ちゃんと瀬愛ちゃんの頭を撫でる。良し!悪は滅びた!。


 コンコン。


『遅くなりました。』

『おっ!来たか!叶!。』

『いらっしゃい。叶君。』

『叶おじさん。こんにちは。』

『叶神父。こんにちは。会議の際はお世話になりました。』


 叶神父はカウンターの席に座る。


『おや。随分仲良くなられて。』


 私を中心に抱き付いている翡無琥ちゃんと瀬愛ちゃんを見て微笑む叶神父。

 会議の時に見た裏がありそうな笑みは鳴りを潜め優しく笑っている。


『さて、揃ったね。じゃあ本題に入ろう。ほら、裏是流君。そろそろ起きて。』

『はっ!ピンクのライオンの夢を見た。あばっ!。』


 無意識で私は扇子を投げていた。


『さて、始めよう。』


 何事も無かったように進行することを無凱は決めたようです。


『じゃあ、簡単に説明だ。黄華さんの情報では近いうちに白聖連団が主催する戦闘大会が開かれるらしい。優勝賞品は【クティナの宝核玉】。』

『にぃ様が欲しがりそうですね。』

『そうね~。閃ちゃんなら~。大会に喜んで~。参加しそう~。』

『表向きは、無所属の強い能力者を選出する各ギルドのスカウトの場。だが、裏では我々クロノフィリアを誘き寄せるのが目的の大会だ。』

『私達を誘き寄せてどうするつもりなんでしょうか?。』

『全ギルドで薬を服用すれば何人かは倒せるとか、捕らえられるとか?。』

『それは、分からないね。ただ危険なことには変わり無い。それで、問題なのは黄華さんのことなんだけど。』


『知っての通り私のギルドには戦闘向きの能力を持った娘が極端に少ないんです。彼女達を危険に巻き込みたくはない…だから、クロノフィリアの方々に力を貸していただきたいのです。』


 私は頭を下げた。


『私…出ますよ。お姉ちゃん。』

『え?。翡無琥ちゃん?。』

『私、会議の時も付いていきました。だから他のギルドの人達も私が黄華扇桜だと思ってるハズです。だから、黄華扇桜として大会に参加します。』

『良いの?。』

『はい!。黄華お姉ちゃんの役に立ちたいです!。』

『あ…ありがとう。』


 私は翡無琥ちゃんをおもいっきり抱き締めた。


『お姉ちゃん。苦しいですぅ。』

『そういう事でしたら。会場内での警護は私がしましょう。』

『叶神父…。』

『ありがとうございます。』


 深々と頭を下げる私。

 それを見て微笑んだ、つつ美さん。


『ほらね~。黄華ちゃんは~。もう~。私達の仲間なんだから~。遠慮なんてしなくて~。良いんだよ~。』

『つつ美さん…。』


 私は心の底からクロノフィリアの皆に感謝した。


『あっ!。そうそう。無凱さん。』

『お?起きたのかい?裏是流君。』

『大会の件で面白いこと考えたんだよね。』

『面白いこと?。』

『ちょっと耳貸して。』

『どれどれ…。』


 ゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョ。


『それ…良いね!。』

『でしょ?。』

『けど、後に引けなくなるぞ?。』

『でも、動くよ?。』

『良いんじゃ~。ないかしら~。』

『え?。つつ美さん聞こえてた?。』

『読唇術よぉ~。』

『そんなこと出きるの!?。』

『得意技よ~。』

『ははは。凄いね。』

『で~。色々~準備しないとだね~。』

『つつ美さんは賛成っと?。』

『ええ~。もちろん~。』

『じゃあ、その時までに色々練ろうよ。』

『『賛成ーーー。』』


 無凱、裏是流さん、つつ美さんの3人でこそこそ話。何かが3人の中で決定したようです。何なのでしょう?。


『よし。色々決まったし。今日はここまでにしよう。』


 こうして、クロノフィリアの作戦会議は終了した。

 ちょっと…疲れたかな…。お風呂入りたい…。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーお風呂女子会ーーー


『灯月さんは閃君のどういうところが好きなの?』

『全てです。』

『え?。』

『にぃ様の全てを愛しています。朝起きた時に右目から擦るのも、欠伸をする時に右腕が伸びるのも好きです。着替える時右から袖を通すのも、ズボンは右足から穿くのも好きです。朝食で1口目は必ずご飯から食べるのも、食パンの時は角から食べるのも好きです。靴は右足から履くのも好きです。トイレは長くても3分のところ、お風呂は30分のところも好きです。腕時計は左手に着けるのも好きです……………。』

『ずっ…随分詳しいんだね…。閃君のこと…。』

『はい。もちろんです。漫画を参考に、私はにぃ様の全てが知りたいので、にぃ様の部屋には様々な角度で配置された約360個の小型監視カメラが仕掛けてあります。部屋にいるにぃ様の行動は全てが私に筒抜けなのです。ですが、たまにカメラの故障なのかにぃ様の姿が映らなかったり、カメラの方向が変わってしまうんです。何でなのでしょう?。』

『………。』

『ふふ。面白いでしょ?。閃ちゃんには全部バレてるんだよ~。』

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