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番外編 閃と恋人達とのお正月

明けましておめでとうございます。

この物語をここまで読んで頂き有難う御座います。

物語はもう少し続きますので良ければ読んでくれると嬉しいです。

 今日は年明け、1月1日の夕方。

 昨日の晩。皆で年末パーティーを行い、そのまま朝まで騒ぎ。朝は灯月達の作ったお節やお雑煮を食べた。その後は、こたつで暖まりながらのんびりとお正月の雰囲気を楽しみながら過ごしていた。

 そろそろ解散しようとしたその時。

 彼女達から声を掛けられる。


『ねぇ。先輩。ちょっと増えて貰って良い?。』


 振り向くと詩那が立っていた。


『ん?。いいけど。どうした?。』

『あのね。この後の時間をウチ達と一緒に過ごして欲しいの。けど、灯月達も先輩と過ごしたいって言ってたから。』

『そうか。確かに灯月や美緑達にも誘われてるな。うん。良いぞ。ちょっと待ってな。』


 俺はエーテルを高め能力を発動する。

 自身の肉体と完全に同質のモノを複製。意識を転写させ自分自身と全く同じ存在を創造する。

 【アイツ】の能力を解析し俺なりにアレンジを加えた能力。

 身体能力も思考も全てが同じ分身体。

 消滅すれば分身が得た情報は全て本体の俺に自動で還元される便利な能力だ。


『待たせたな。』

『じゃあ、行くか?。』

『うん。先輩、ありがとう!。』


 分身と一緒に去っていく詩那。

 さて、次は美緑達の方だな。

 俺は廊下を歩き始めた。


~~~


『それで?。何処に行くんだ?。』


 前を歩く詩那に質問する。

 てか、ウチ達って言ってたけど誰がいるのか聞いてないな。


『もうすぐだよ。』


 案内された先は詩那の部屋。

 中から複数人の気配を感じるな。あれ?。でも、この面子って?。何で?。


『先輩。連れてきたよぉ。』

『おかえり~。お姉~。いらっしゃい。閃兄。』

『お兄さん。待っていました。』

『わ~い!。お兄ちゃんだぁ!。』

『閃君。さっき振りだね。』

『神さまぁ。お待ちしていました。』

『旦那様。此方へどうぞ。』


 睦美。瀬愛。八雲。奏他。夢伽。紗恩。そして、詩那。

 7人の恋人達が詩那の部屋にいた。


 詩那の部屋は、薄暗くも弱いライトで照らされ、絨毯の上にはトランプなどのカードゲームやボードゲーム、その他にも様々な遊び道具が用意され、お菓子や飲み物までも完備されていた。そして、恋人達が各々に寛いでいるという状態。

 はて、何の集まりだ?。


『ししし。ビックリしたっしょ?。先輩。』

『あ、ああ。』

『閃兄。困惑してるね。』

『お兄ちゃ~ん。』


 瀬愛が座る俺の足の間に座ってくる。

 ああ。分かった。この集まり。

 俺が契約している神獣達と同化した娘達か。


『閃君気が付いた?。』

『ああ。けど、どうしたんだ?。今更。集まって。』

『神さまぁ。それはですね。ここにいるメンバーは皆、神さまぁの契約している神獣と同化した者です。神さまぁと神獣同様に神さまぁと強く繋がっています。』

『だな。神獣の契約に近い状態だ。』


 互いの存在を強く感じ、エーテルを共有することも出来る。

 感情もある程度感じ取れる為、今はこの場にいる全員がリラックスしていることが分かる。


『瀬愛達ね。折角だから仲良くしようよってお話したの。』

『ん?。元々仲良いだろう?。』


 特に、八雲。奏他。夢伽。詩那は共に旅をし、様々な戦いを乗り越えてきた仲だ。

 互いのことも理解出来ているだろうしな。


『えへへ。閃君。』

『奏他?。』


 もう甘えモードになってる?。


『皆で話したんだぁ~。この機会にお互いの親交を深めようよって。』

『そうなの。折角同じ人と深い関係になれた仲だからもっと互いのことを知れたらなぁって。』

『だからこの面子なんだな。』

『はい。お正月ですし。旦那様もリラックスして下さい。』

『先輩。色んなゲーム用意したよ。』

『いっぱい遊びましょう!。』

『ああ。良いな!。』


 恋人達が自分達から仲を深めようとしてくれる。

 それが凄く嬉しかった。


『旦那様。どうぞ。』

『ああ。ありがとう。』


 睦美が飲み物を手渡してくれる。


『まずは何をするんだ?。』

『ふふ。まずはこれだよ!。』


 詩那が広げたのは大きな紙?。

 複数のマス目が描かれ、その一つ一つに何やら文字が書かれている。


『これって、人生ゲーム?。』

『そうです。皆でやりましょう!。』

『因みに、このゲームは灯月と氷姫と智鳴に創作をお願いしました。』


 え?。

 嫌な、予感しかしないよ?。


『早速、始めよっ!。』


 俺を含めた八人で大きな紙の周りに座る。

 ルーレットを回し出た目の数の分、各々に用意された駒を動かしてマスを進める。

 そして、止まったマスに書かれている内容を実行するというシンプルなゲームだ。


『じゃあ、先輩からどうぞ。』


 スタート地点に置かれた八つの駒。

 隣のルーレットを指先で回転させた。

 カタタタタタ…。と小気味良い音が徐々に弱まりやがて停止した。


『4か。いち、に、さん、よんっと。』


 自分の駒を進める。

 マス目には幼少期から始まり、ゴールである余生で終わる。広大なマップと所狭しと埋められたマス目のせいで目がチカチカする。


『え~と、何々?。【このマスに止まった、にぃ様は幼いながらも、その類いまれなる幾つもの才能を開花させ義妹との結婚を果たすことでしょう。社会人ルートまでワープし誰かが到着するまで休み。それまでの間自分の番が来る度にルーレットを回し出た目の数✕一万の金銭を獲得する。】……………何これ?。』


 なげぇ…。それに…まさかの開始早々のワープゾーン。

 俺の青春消えたんだが?。

 にぃ様ってことは灯月か…あの義妹…。

 てか、何だ。この名指しのマスは!?。


『はぁ、どうやら。数回休みみたいだ。』

『むぅ。灯月め。こんな罠を仕掛けて来ようとは…負けんぞ。次はワシじゃ!。』


 睦美がルーレットを回す。


『ええっと。5か…。どれ、【厳しい親に育てられ数多くの習い事を送る日々。しかし、貴女は諦めません。あの日見た。美しい着物姿の添い遂げる男女。運命の男性と出会うその時まで貴女は自分自身を高め続けるでしょう。2回休み。その後、3回目のルーレットで出た目の二倍のマスを進む。】………旦那様。』

『ん?。何だ?。』

『末長く。お慕い致しております。私の運命の方…。』

『あ、ああ。宜しくな。俺も愛してるよ。』

『はい。幾久しく。』


 何だ?。この人生ゲームは…。


『次は瀬愛ね!。えい!。』


 ルーレットは回り針は9の数を示した。


『えっと…。』

『俺が読んでやるよ。』

『うん!。』

『何々?。【瀬愛ちゃん。青春をプレゼントするよ!。高校生ルートまでワープ。沢山の思い出を残してね。智鳴より。】……………。』


 名指しのマス…え?。もしかして細工されてる?。ピンポイント過ぎるだろう…。

 しかも、メッセージのやり取りみたいになってるし…。


『私の番だな。ルーレットを回す。………ふむ。1か…。』


 八雲が駒を一マス動かす。


『ふむ。【幼少期から独りぼっち。友達も出来ずに独りで遊ぶ日々。寂しい。悲しい。友達欲しいなぁ。………だが、それが良い。】………ふむ。……………ぐすっ。わあああああぁぁぁぁぁん!!!。』


 ひ、ひでぇ…見事にトラウマを撃ち抜きやがった。


『神さまぁ~。』

『ああ…よしよし。八雲は独りじゃないぞ~。俺がいる。仲間もいる。だからもう寂しくないぞ~。』


 もしかして、この集まりに呼ばれなかったことに対する八つ当たりか?。

 泣き始めた八雲を抱きしめながらそんなことを考える。


『な、何か嫌な予感しかしないね。はは。えっと。それ。』


 次は奏他。

 出た目は3。


『えーっと。【幼き頃より芸能界に放り込まれ、人間の欲望。大人の汚さ。生き残る厳しさを知り子供ながらに絶望する。しかし、小さな胸に刻んだ夢に向かって日々努力をしていくことだろう。もっと本を読むべき。頑張れ。百万円を手に入れた。】………そうだね。あの頃は辛かったなぁ…。何度も辞めようと思ったもん。閃君…ぐずっ…うわあああああぁぁぁぁぁん!!!。』


 アイツ等…絶対何か仕込んでやがるな…。

 次に夢伽、紗恩、詩那がルーレットを回した。


『私のは…双子の姉弟として生を受けた貴女は弟を大切にしていました。時に喧嘩もし、時に助け合う。持ち物も何のかもを共有します。三千円ゲット。』

『美人で可愛らしい仕草、何でもそつなくこなす姉にコンプレックスを感じていた。地味で努力しなければ人並みにすらなれない自分では姉には勝てないと常々思っていたせいで、心の中では大好きな姉に冷たい態度を取っていた。悲しい過去。二回休み。』

『妹のことを大切に思っているにも関わらず、妹に冷たくあしらわれる毎日。不器用な自分よりも優秀な妹を誇りに思う反面、妹には自分では勝てないと卑屈になってしまった。2回休み。』


 人生ゲームなのか?。これ?。


『わあああああぁぁぁぁぁん。お姉ぇ~。ごめんねぇ~。本当は大好きなのおおおおおぉぉぉぉぉ!!!。』

『そんなのもう知ってるしぃ!。ウチも大好きだもん!!!。わあああああぁぁぁぁぁん!!!。』

『わわわ。お姉さん達が…。』


 その後も、灯月達の作った人生ゲームによってダメージを受けていく面々。

 始まったばかりだとは思えないくらい現状は悲惨なモノになっていった。

 

 全員が社会人ルートへ突入となった頃。

 やっと復帰した俺は夢伽と奏他、詩那と結婚…重婚していた。

 

『ふふ。お兄さん…いえ、あ・な・た。また子供が出来ちゃいました。』

『あっ。えへへ。あのね。閃君、あ…あなた。…また、ベッド…壊れちゃったみたい。えへへ。もう!。元気なんだから!。』


 夢伽と奏他の駒には子供を表す小さな棒が突き刺さっている。

 その数は、各々に十本。あ…今、夢伽は十一本目か…。


『うう…何でウチには子供が出来ないのぉ~。ベッドだけが壊れてくよぉ…。』


 涙目で駒を移動する詩那。

 結婚はしている。様々なイベントは一緒にこなしているなのに、その駒はポツンと一本だけ。


『うぅ…お姉は結婚してるだけ良いじゃん。私なんか…全然お兄に辿り着けないし…。』

『負けん!。私も神さまと一緒になってみせる!。えいっ!。……………わあああああぁぁぁぁぁん!。今度は病気で一回休みだと!?。さっきは事故だったのにぃ!?。』

『わっ!。瀬愛、また百万円だぁ。お金持ち、お金持ち!。もう、数えられないよぉ~。』

『旦那様…。私の…旦那様…何処…。何故、私は独身のOL人生ルートに…しかし、何じゃこの意味の分からんルートは!?。いや、だが、まだじゃ、玉の輿のマス目が出れば旦那様と同じ結婚ルートに入れる!。………くっ…また、ダメじゃ…。』


 札束が積み重なってく瀬愛と睦美。

 同じ場所をループし抜け出せなくなっている紗恩と八雲。

 幸せを満喫する夢伽と奏他。

 幸せの中で泣いている詩那。

 

 各々の人生はまだまだ続いた。

 このゲームはどうやら社会人ルートからならお金さへ払えば何処からでもゴールへ向かうコースに入ることが出来るみたいだ。

 最終的にゴール時点での資金の数で決まるのだが…。


『負けん…負けん!。必ず旦那様と添い遂げてみせる!。』

『瀬愛も、お兄ちゃんと結婚するぅ~。』


 一番の金持ち二人が止める気ないんだよな。


 その後もゲームは続き。

 終わったのは日が変わる時間の少し前だった。 


『ん…お兄…。好きぃ。』

『えへへ。閃君~。大好き~。』

『神さまぁ~。ずっと一緒ぉ~。』

『すぅ…すぅ…すぅ…お兄ちゃん…。』

『うぅ…旦那様…と、結婚…。』

『お兄さん。もっと~。』


 疲れたのか、俺を囲んで眠る恋人達。

 室内の気温は高いし、薄い生地の掛け布団を書けてやる。


『結局、用意したゲームは殆んどしなかったな。』

『ふふ。だね。けど、皆楽しそうだったよ。先輩。ありがとね。』

『俺も楽しかったよ。はは。こんな正月も悪くないな。』

『うん。皆のこと色々知れたし計画して良かったぁ。』

『だな。また、計画してくれ。』

『うん。そしたらまた来てくれる?。』

『当たり前だ。いつでも呼んでくれ。』

『うん!。………先輩。』

『おいで、詩那。』


 近付いてくる詩那を引き寄せキスをする。


『詩那。今年も宜しくな。』

『うん。先輩。此方こそ宜しくね。』


 こうして、今年最初の夜は更けていった。

次回の投稿は5日の日曜日を予定しています。

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