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第284話 海へ

 見上げる私の目の前に迫り来る大きな球体。

 表面は白や黒や茶色の縞々。それが交互に渦巻きながら回転してる。球体の内部から発生した雷が物凄く大きな音を響かせて放出され続けていて、最初は野球ボールくらいの大きさだったのに今では50メートルを越えてしまっている。

 目を見開いて驚き、全身から滝のように汗を流している詩那お姉さんと兎針お姉さん。

 折角、助けに来てくれたのに相手の力が桁違いだった。

 此方に近付いてくる死の嵐の前に唖然としている。

 それは私も同じだ。

 魔力も人功気も底を尽きかけていて立っているのがやっとの状態。誰かを強化するにしても残った魔力じゃ大した強化にはならない。


 どうすれば…。


 何も…出来ない…。

 また…役に立てない。私が弱いから、詩那お姉さんと兎針お姉さんにまで迷惑をかけて危険に晒してしまった。

 悲しくて涙が出る。私は…いつもそうだ。

 仮想世界の時も、転生してからも、今も。誰かに守ってもらってばっかり。自分一人じゃなにも出来ない役立たず。

 それなのに、優しい皆さんと一緒に行動して…。


『ぐずっ…。強く…なりたい…。』


 知らず知らずに私は泣いていた。

 もう眼前まで迫っている死の嵐を前に自分の無力さを嘆いた。


『泣かないで下さい。まだ、希望は残っています。』


 優しい手付きで私の頭を撫でるクミシャルナさん。


『ラディガルがそうしたように、私も覚悟を決めなければなりませんね。夢伽さん。先程の言葉をもう一度聞かせてくれませんか?。貴女はご主人様が好きですか?。これからも共に行動し如何なる困難も共に乗り越えたいと思いますか?。』

『クミシャルナさん…はい。私はお兄さんが大好きです。この命を救ってくれたあの時から私はお兄さんを一人の男性として見ています。守られたこの命で今度は皆さんを守りたい!。』

『ふふ。そうですか。私と同じ気持ちですね。夢伽さん。私の力を貴女にお渡しします。神獣として、そして、ご主人様を想う仲間として私の意思を継ぎ、彼を支えてあげて下さい。』

『クミシャルナさん?。』

『【同化】します。この場を乗り越えるにはそれしかありません!。』

『っ!?。わ、私で…良いのですか?。』

『はい。貴女は私の助けを呼ぶ声に気付き駆け付けてくれた。それはエーテルと魔力の本質、性質が似ていたことを意味します。故に私は貴女以上に私の能力を受け継いでくれる存在はいないと確信しています。ふふ。ラディガルもこんな気持ちだったのでしょうか。期待と不安。いいえ。希望が勝りますね。夢伽さん。貴女ならこの状況を打破出来ます。自分を…私を信じて下さい。』

『………はい。クミシャルナさん。貴女の力を私に…。』

『ええ。神具は貴女の心の中に既に存在します。想いのまま、願いのまま。その心を解放して下さい。貴女の強くなりたいという気持ち、その思いを生み出した状況と心の動き。決して忘れないで。』


 クミシャルナさんの身体がエーテルの粒子となって私の身体に流れ込んで来る。

 クミシャルナさんの記憶と共に…。お兄さんとの、クミシャルナさんだけの大切な思い出。

 そして、お兄さんに対しての大きな想い。

 私はそれら全てを受け入れる。もう、私の身体は私一人のものじゃない。

 私の中にはクミシャルナさんがいる。

 温もりに溢れた慈愛にも近いエーテル。それが私の魔力を取り込み融合し一つの新しい形になっていく。

 エーテルの変化に呼応するように肉体に変化が起こる。

 人族の身体は【地母龍】の特徴を与えられた。

 クミシャルナさん。ありがとうございます。これで私も皆さんと一緒に戦える!。


『詩那お姉さん!。兎針お姉さん!。私の後ろに!。』

『えっ!?。うそっ!?。夢伽…その姿…。』

『それはエーテル?。夢伽さん…貴女も同化を!?。』

『はい!。これで私も皆さんに守られるだけの子供じゃありません!。』


 手を前方に翳す。

 迫る巨大なエーテルの球体によって目の前に壁があるみたい。その見た目は、仮想世界にいた頃、図鑑で見た木星のように見えた。

 時間がない。既に眼前まで迫っている球体は地面に接触し更に巨大化し私達を呑み込むだろう。

 なら、それを防ぐだけ!。


 皆を守りたい。


 その想いが私の本質。

 誰かの役に立ちたい。自分を必要としてほしい。弱っている人達を助けたい。助けを求める声を救いたい。

 そして、最後には皆が笑顔になる。

 その想いにクミシャルナさんのエーテルは応えてくれた。


 人族だった身体は【守護龍神】へと進化。

 そして、想いはそのまま在り方となって神具としての形を世界によって与えられる。


『神具!。発動!。【鱗壁絶甲華鏡盾 シルゼス・ミラリアフィリーゼ】!!!。』


 解放の言葉。

 自身の身体から溢れ出たエーテルは神具を形作る。

 六枚の花弁を持つ銀色の花型の盾。花弁の中心に水色の宝石、それを取り囲むように複数の黄色の宝石が散りばめられて埋め込まれている。

 その花型の盾が六つ。私を取り囲むように浮遊している。


 神具展開後、私達は急速に巨大化した球体の膨張に巻き込まれた。視界は方向感覚すらも失う程の乱気流によって奪われ、閃光のように縦横無尽に走り抜ける雷が暴れ回る。

 高速で回転する風によって本来であれば、一刻も待たずに四肢は裂かれ肉体は粉々になり、雷によって消滅することは必至。

 

 だけど、私の神具でそんなことにはさせない!。

 シルゼス・ミラリアフィリーゼ。私達を守って!。


 私の想いを受け、神具はその能力を発動させる。

 花型盾は各々の花弁に分裂。計三十六の花弁が私達を囲み、中心の宝石が輝き始める。

 周りを回転し始め、回転が生み出す内部と外部にエーテルの壁を作り出した。

 エーテルが生み出す嵐の中、壁の中のみ暴風や雷の効果を受けず、神具は見事にその役割を果たし終えた。


『………そう。アレでも倒せないんだ。ふふ。』


 土煙の中から現れた私達を見てジュゼレニアは不適に笑う。

 苛立ちを通り越して称賛しているみたい。


『さっきの神獣がいない。あの小さいのの身体とエーテルが変化した。はぁ。同化か。同化したことで、あの小さいのの神具が発動したってこと?。サイアク…。』


 自分の技を防がれたことによるショックは大きい。だが、冷静に現状を把握しようとしている姿がジュゼレニアの本質を表しているみたい。

 だけど、それが彼女の油断に繋がる。

 ジュゼレニアは気付いていなかった。いや、考えてもいなかっただろう。

 だから、私は間髪いれずに準備をする。

 

『神具…起動。』


 ジュゼレニアの油断。

 それは 反撃 がないものと考えたこと。

 その隙を私は見逃さなかった。


 三十六の花弁が前方に集まり六枚ずつに列を作り円形に重なり、それらが渦のように回転する。そして、水色の宝石が輝き始め隣同士の花弁と稲妻にも似たエーテルで繋がっていく。同時に渦の中心に集まっていきエーテルに手を翳す。

 

 シルゼス・ミラリアフィリーゼは、ただ敵の攻撃を防ぐ盾じゃない。その本領は 吸収し跳ね返す こと。

 花弁の一つ一つに埋め込まれた宝石に敵のエーテルを吸収し、好きなタイミングで放出できる。

 そこに私の本質が加わる。

 本来の私の力である 他者の能力を強化する こと。

 吸収したエーテルに私自身のエーテルを流して何倍にも強化して跳ね返す。


 それが私の神具【鱗壁絶甲華鏡盾 シルゼス・ミラリアフィリーゼ】の能力。


『全部、お返します!。』

『なっ!?。』


 一点に集め吸収したエネルギーを一気に解き放ちジュゼレニアへ跳ね返す。

 完全に虚をつかれたジュゼレニアはエーテルを使用した防御も儘ならず自身の放ったモノよりも数倍強化されたエネルギーの砲撃に呑み込まれてしまう。


『きゃあああああぁぁぁぁぁ………。』


 空気を揺らす爆発音に掻き消されるジュゼレニアの悲鳴。

 姿は嵐の中に消え、衝撃波が周囲を震わせた。


『やった?。』

『分かりません…ですが、手応えはありました。』

『素晴らしい能力です。夢伽さん。』


 詩那お姉さんと兎針お姉さんと一緒にジュゼレニアのいた方向を見つめる。


『っ!?。二人とも気を付けてください!。どうやらまだ終わっていないようです!。』

『『っ!?。』』


 ジュゼレニアのエーテルを感じ咄嗟に神具を全面に展開。反撃に備える。お姉さん達も同じく神具を構えた。


『はぁ…はぁ…はぁ…。こ、この私のエーテルを跳ね返す?。この私を、こんなにボロボロに…最高神である…この私を…こんな屈辱ある?。ぐっ…絶対…絶対許さないよ!。たかが下級神のくせに!。』


 あの攻撃を受けても耐えた?。

 彼女の攻撃を数倍にして跳ね返したのに?。

何てタフなの?。流石に身体は傷だらけで衣服も乱れてる…ダメージは負っているみたいだけど。エーテル自体に変化はない。


『使うつもりはなかったし、今の状態じゃ完全解放は出来ないけど、そんなこと言ってられない!。』

『来るっ!?。』


 ジュゼレニアの纏うエーテルが高まっていく。

 同時に彼女の周りを取り囲んでいた大きいリングと複数の球体が輝き始める。


『神具、起動!。』


 神具!?。今まであれだけ強かったのに、まだ神具を使っていなかったの!?。


『ランテジュ・ヴァスラ!!!。』

『やっと!。見つけたぜ!。』

『え?。は?。』


 目映いばかりのエーテルを放出し神具を起動しようとしたジュゼレニアだったけど、突如、後ろから現れたお兄さんによって阻まれる。

 肩を捕まれ驚いた彼女は神具の発動を止めた。


『せ、閃?。何でここに?。この森は…私の…能力で…あっ…解除したんだった…。』

『誰だか知らねぇが俺の仲間を傷つける奴は許さねぇ!。』

『っ!?。ぐっ!?。』


 ジュゼレニアに拳を放つお兄さん。

 彼女の身体が数メートル後退する。


『無事か?。お前達?。』

『はい!。お兄さん!。』

『夢伽?。クミシャルナの…。そうか。だからか。』


 私の姿を見て一瞬驚いた表情をしたお兄さんでしたが、すぐに理解して現状に納得したようです。


『先輩!。』

『閃さん!。』

『二人も無事そうで良かった。』

『はい!。先輩も!。』

『閃さんも…ご無事で。』


 お兄さんは私の横に着地する。


『私達もいるよ!。』

『うん。』


 続いて、八雲お姉さんと奏他お姉さんが現れ……………二人ともイメチェンしたようです。コスプレでしょうか?。エッチな衣装に身を包んで、奏他お姉さんに至っては兎の耳までつけて…。


『っ…気にしないで。後で話すから。』

『あ、はい。』


 私達の視線に気が付いた奏他お姉さんは、どこか遠い目をしてそう呟いた。


『さて、お前は俺のことを知っているようだが、お前は誰だ?。何故、俺達を襲った?。』


 無事な私達を見て安堵の表情を浮かべたお兄さんがジュゼレニアへと視線を移す。


『いてて…酷いなぁ。いきなりぃ。でも、まぁ、良いや。…初めましてだね。閃。私はジュゼレニア。君の母親。リスティナの妹だよ。』


 彼女からの戦意は失われていた。

 何よりも、彼女はお兄さんの質問に素直に応え始めた。


『リスティナの?。』

『そう。仮想世界でリスティナに聞いているでしょ?。リスティナにはアイツを含めて十柱の姉妹がいるって。』

『…ああ。確かに言っていたな。姉妹がいるって。』

『私達はあの輝く恒星を母親に持つ十の惑星の化身。各々が最高神なんだ。』

『最高神…それがどうして俺達を襲う?。リスティナの命令か?。』

『リスティナが私達に命令できるわけないじゃん。私達は全員同格の神。優劣なんてない。私達に君達を襲えって言ったのは君も知っている最高神。【絶対神】の奴だよ。』

『っ!?。奴が…。』

『そういえば、さっき絶対神の気配を感じたんだけど。もしかして、アイツ…閃に接触した?。』

『ああ…。』

『はぁ…そうなんだ。アイツ等はこっちに干渉しないって言ってたのに…何を考えているんだろう。私達には弱体化までつけといて…。まぁ良いわ。私は閃と話したかっただけ。そっちの奴らと戦ったのも気紛れだし。奴の命令もあったからだしね。』

『奴の命令?。』

『そ。どんな手を使っても良い。閃とその仲間を全力で殺せってね。』

『っ!?。』

『酷いよね。なら弱体化させるなって言いたいよ。今の状態じゃ精々相手できるのは一柱とだけ、数で来られたら私達じゃ勝てなくなる無理ゲー。はぁ…。いつか文句言ってやる。』

『絶対神は何を考えている?。』

『知らない。ああ。でも気を付けなよ?。私の姉妹達も君達を狙ってるから。決して独りにはならないこと。これ、忠告ね。』

『…何処にいく?。』

『え?。帰るんだけど?。言ったでしょ。閃と話したかっただけだって。戦闘はモノのついで。何人か殺せれば儲けものだったけど、全員揃っちゃった今は私に勝機はないし。満足したから時が来るまで眠ってるわ。』

『おい!。もっと色々と…。』

『じゃあね。ああ。安心して良いよ。時が来るまで緑国の連中には手を出さないから。じゃあね。閃。一目見れて嬉しかったよ。ああ。あと、そっちの小さいの。』

『え?。私?。』

『そ。次は全力で殺してやるよ。まぁ、会えたらだけどさ。私に傷をつけた怨み忘れないから。』

『………。』


 ええ…。やられたからやり返したのに、逆怨みですか?。


『じゃあね。閃。もっと強くなりなよ?。仲間を守りたいならさ。』


 そう言って、言いたいことだけ言って姿を消したジュゼレニア。

 同時に周囲を覆っていたエーテルは消えて本来の森がその姿を現した。

 僅かに香る潮の匂い。どうやら、海が近いようです。既に森を抜ける一歩手前まで来ていたのですね。エーテルによる結界のせいで全く気が付きませんでした。


~~~~~


『そうですか…燕お姉さんが…。』

『すまん…奴を前に全く相手にならなかった。戦いにすらなってない。惨敗だ。何も出来ずに燕を拐われた。』


 悔しそうに拳を握り歯を食い縛るお兄さん。

 ジュゼレニアが去った後、今回の戦いで起きたことを互いに報告しあっていました。


 まず、私のことを話しました。

 クミシャルナさんと同化したこと。種族、神具の説明。

 

『そうか。だから俺の中にクミシャルナが入ってきたんだな。』


 どうやら、ラディガルさん達と同じようにクミシャルナさんはお兄さんの心の中にいるそうです。それによってお兄さんは私に起きた現状を逸早く察することが出来たそうです。


『私達も、同化したんだ。』


 今回の戦い。奏他お姉さんと八雲お姉さんも各々にソラユマさんとチナトさんと同化したそうです。種族も変わり、神具も獲得出来たそうです。

 エーテルも扱えるようになって神になった。

 ですが、お兄さん達の目の前に現れた絶対神と相対したことで、その希望は一瞬にして砕け散ったそうです。

 燕お姉さんは絶対神に連れて行かれ、お兄さんはそれをただ見ているだけしか出来なかった。

 

『あれが…世界の頂点なんだ…。謎は増えた。無力感も刻まれた。だけど…天辺を知れた。それだけは良かった。』


 お兄さんはそう言っていた。


『さぁ。行こう。皆。アクリス頼むな。』

「おっけーだよ。閃君!。神具!。【魔水極魚星 シルクルム・アクリム】!。」


 お兄さんが出したのは大きな船。

 アクリスさんとは森を歩いていた道中で挨拶させてもらった。


『これで海を越える。エーテルの消費を考えながらな。』


 出現した船に乗る私達。


『これからの話しは船の上で。時間はかなりあるからな。修行もして、皆で強くなろうぜ。』


 目指すは青国。そして、その先にある白国を目指して私達の旅は続いていく。



ーーー


ーーー時間の裂け目 支配空間ーーー


 幾つもの映像が散りばめられ空間を漂っている場所。

 宇宙空間のように周囲は暗く。映像は輝く星のように輝いている。


 閃の神具であるクロロ・ア・トキシルは、とある時間の映像を繰り返し再生し、その頬を赤く染め恍惚な笑みを浮かべていた。


『はぁ、ご主人様ぁ~。おいたわしや~。あの野郎に良いようにあしらわれて~。くっそ~。許せねぇ~。絶対神の野郎がぁぁぁ!。』


 空間に足を抱えながら上下のない空間に浮かぶクロロは絶対神に悪態をつく。


『久しいな。【時間の神具】。こんな狭間に隠れていたか?。』

『はっ!?。絶対神…。どうしてこ…。いや、アンタには愚問だったわ。………久し振りね。グァトリュアル。こうして二人で話すのはどれくらい振りかしら?。』

『五順前だな。さて、我とお前に長話をする必要もあるまい。本題に入ろう。我がここに来た理由お前なら理解できているだろう?。』

『…さぁてね。』

『ははは。変わらんな。お前は。ならば問うまい。クロロよ。お前の登場は暫し早すぎだ。登場時期は事前に説明していたであろう?。我等の下界への干渉は正常の時の流れを著しく乱してしまう。お前の登場はまだ先だ。それを忠告しに来た。』

『ふん。私は私のしたいようにやる。』

『はぁ。大層に言っているが…大方、閃に会い。互いに逢瀬を謳歌しようとしているだけではないか?。』

『ふん。それが何よ?。私とご主人様はとっても深い関係なの!。誰も私の邪魔はさせないわ!。』

『そうか。ならば仕方がない。』

『っ!?。ちょっ!?。何するのよ!?。』


 クロロのいた空間がグァトリュアルのエーテルのより覆われ、上書きされていく。


『時が来るまでお前を我が支配空間に幽閉する。外界との干渉を封じ、下界に降り立つことも禁止する。』

『なっ!。ちょっと止めてよ。分かった。分かったから。もう干渉しないから許してよ。』

『心配するな。今回の世界線。大いに期待できるぞ。ではな。時が満ちた頃にまた会おう。』

『ちょっ!?。待って!。出してよ!。この!。ばかあああああぁぁぁぁぁ!!!。』


 自力での脱出は不可能。

 外部からも気付かれない完全に隔離された空間でクロロの声だけが虚しく響いた。

次回の投稿は25日の日曜日を予定しています。

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