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番外編 恋人達との旅行 温泉旅館編②

『おお。美味しそうだな。』


 温泉から部屋に戻ると、既に夕食の準備がされていた。

 五人用に用意された料理の数々。

 山の紅葉をイメージしたような色とりどりの山の幸。大きな焼き魚で川の幸。すき焼きのような鍋。漬物にお吸い物。横に紅葉した葉を模した和菓子。

 何よりも、本来リスティールに一般流通していなかった白米が出されているのに驚いた。人族の間で僅にしか作られていなかったのだから。

 こんな山奥まで普及するようになったんだ。

 俺達の努力が実を結んだな。


『『『『『いただきます。』』』』』


 全員、座り。一斉に食べ始める。


『『『『『っ!?。美味しい!!!。』』』』』


 旅館の料理に舌鼓を打ち。

 普段から、美味しい料理を作ってくれる睦美や灯月とは、また違った美味しさを味わう。


『ご馳走さま。』


 あっという間に食べ終え、一服。

 さて、この後どうしようかな?。


『さぁ!。にぃ様!。勝負の時間ですよ!。食後の運動!。ゲームと卓球をしに行きましょう!。』

『はい!。神さま!。準備は出来ています!。』


 ヤル気満々の灯月と八雲。

 何故だろう。この二人が動くと胸騒ぎがする。


『では、参りましょうか。旦那様。』

『行きましょう!。お兄さん!。』

『おう。行こう。』


 俺達は揃ってゲームコーナーへと向かう。

 途中で売店を見つけ、チラリと売られているモノを確認する。


『ん?。どうしました?。神さま。』

『ああ。他の皆にお土産でも買っていった方が良いかなぁって思ってさ。』

『旦那様。その心配は無用です。』

『え?。何で?。』

『ふふふ。にぃ様。その辺りは、この旅行を計画した時点で解決済みですよ。』

『どーゆーこーと?。』

『この旅行を貸し切りにする条件として宿泊代の上乗せの他に、お留守番しているクロノ・フィリアの皆さんへ大量のお土産を購入しました。既に各仲間達の元へここの売店に売っている商品が届けられている頃だと思います!。』

『マジか。因みにどれくらい?。』

『各国、各グループ、各々にここに置かれている全ての商品を一種類ずつセットで送りました。なので、にぃ様はお土産などのことは考えず御自分のことだけをお考え下さい。因みににぃ様の分としてこの売店に売っているもの、この旅館までの観光で見つけたお店や露店に売っていた全ての物を買って、にぃ様の部屋に送りましたので。』

『ええ…。』


 何それ。こわい。

 俺の部屋…大変なことになってるんじゃないか?。


『分かった。お土産のことは忘れよう。』

『はい。にぃ様の為に頑張りました!。褒めて下さい!。』

『………良い子。良い子。』

『えへへ。褒められたぁ~。』


 何も言うまい。例え明らかにやりすぎだとしても、ここまでの本人の本気と嬉しそうな笑顔を見せられては…怒るに怒れん。

 シスコン極まり…か。


『ついたな。おお。灯月の言ってた通りだ。懐かしいゲームが並んでる。何でこんな古いタイトルの筐体がリスティールにあるんだよっ!。』


 見ると、俺が子供の頃…いや、それ以上に古い時代のゲームが並んでいる。ゲーム好きの俺ですら聞いたことあるだけで見たことのない物まで現役に起動している状態で残っているなんて…。ありえるのか?。


『さぁ。にぃ様!。早速、始めましょう!。対戦です!。』

『旦那様。応援します!。頑張って下さい!。』

『よしっ!。夢伽。勝負だ。あそこのエアホッケーをやろう!。』

『良いですね。八雲お姉さん。負けませんよ。』


 各々にゲームを始める俺達。


~~~


 俺と灯月が始めたのは、落ちモノ系のパズルゲームだ。

 四色のブロックが二つ連なって落ちてくる。

 同じ色のブロックを四つ繋げれば消え、相手に邪魔するブロックを落とすことが出来る。

 一番天井までブロックが積み重なった方が敗けだ。


『凄いですね。二人ともどんどん積み重なっていきます。』


 睦美が驚きの声を上げる。

 俺と灯月の画面は一度もブロックが消されることなく天井近くまで積み重なっていた。

 互いに連鎖のタイミングを窺っている状況だ。


『にぃ様?。そろそろ限界ではありませんか?。』

『いや、まだ行ける。灯月こそ後一段しか残ってないぞ?。』

『ええ。このスペースがあれば十分です。』


 先に動き、相手が消しきれない程の連鎖をきめるか、相手以上の連鎖でカウンターを狙うか。現状、相手の画面を見る余裕が無くなっている。果たして、どちらを選ぶか…。


『ふふふ。流石に限界ですか…。』

『く、俺もだ。』


 互いにブロックを置けるスペースがあと一マス。ブロック回転させ完全に落ちないように固定する。


『さぁ。勝負の時です。準備は宜しいですか?。』

『ああ。俺から行こうか?。』

『いいえ。にぃ様。ここは私から行かせて頂きます!。』


 ブロックを回転させていた連打を止める灯月。そのままブロックがハマリ消えた。

 そして、積み重ねてきたブロックによる連鎖が始まる。


 一連鎖、二連鎖、三連鎖………次々と消える灯月のブロック。続く連鎖によって俺の画面上部へ送られてくるお邪魔ブロック。

 これがまともに落ちて来れば、俺の敗北は決定する。さて、どこまで打ち消せるか。


『頃合いだな。勝負だ。灯月!。』

『はい!。来て下さい!。にぃ様!。』


 連打を止め、連鎖スタート。

 消える。消える。消える。

 画面ではお互いのブロックが繋がって消えていく。


『あら?。にぃ様?。失敗ですか?。一番端のブロックが一つも消えていませんが?。』

『問題ない。これで良いんだ。』


 そう。これで良い。

 俺の狙いは連鎖だけじゃない。


『ああ。十八連鎖ですか…二つブロックが残ってしまいました。』


 ここで灯月の連鎖が終わり、次のブロックが落ちてくる。

 仮に俺と灯月の連鎖数が同じだった場合はお邪魔ブロックが相殺され、再びブロックを積み重ねていくことになる。

 

『追い討ちも掛けます!。』


 俺のブロックはまだ消えていく。

 透かさず少ない手数で連鎖を繰り返す灯月。


『無駄だ。俺の勝ちだ。灯月。』

『え?。っ!?。まさか!?。』


 最後に残った端の列が消え、俺の画面には全消しの文字と十九連鎖が表記されていた。

 灯月の連鎖によって発生したお邪魔ブロックは利子を上乗せされ灯月へと返っていく。


『にゃあああああぁぁぁぁぁ!?。画面がお邪魔で~。いっぱいに!?。』


 追い討ちとばかりに手数の少ない連鎖。

 全消し得点によるお邪魔ブロックの追加攻撃であっという間に灯月の画面は白黒ブロックで埋め尽くされた。 


『よしっ!。俺の勝ち!。』

『やりました!。旦那様!。素晴らしいです!。』

『うぅ…。勝ったと思ったのに…。むぅ。悔しいです!。にぃ様!。次のゲームをしましょう!。』

『ああ。良いぜ。睦美もやりたいのがあったら遠慮せずやろうぜ。』

『はい。ですが、暫くは旦那様を応援したいです。』

『そうか?。』

『にぃ様!。次はこれ!。これやりましょう!。』


 子供のように笑いながら、はしゃぐ灯月。

 灯月が嬉しそうだと俺まで楽しくなってくるから不思議だ。


~~~


 次に灯月が選んだのは格闘ゲームだ。

 世界的に有名なゲームで仮想世界の各国の代表キャラクターで戦い合う。


『俺は当然、これだ。』


 俺は日本のキャラクターを選ぶ。

 近、中、遠の全てに攻撃できるバランスの良いキャラだ。


『では、私はこの娘です。』


 灯月が選んだのは蹴り技主体の中華風の女の子だ。素早い動きからの蹴りと中距離の用の飛び道具を持っている。


 ラウンドワン…。ファイト!。


 ゴングと同時に始まる戦い。

 手始めに遠距離攻撃の飛び道具を連射。


『むぅ。にぃ様。戦い方が変わっていません。』

『そりゃそうだろ。お前も常にジャンプするとこ変わってないな。』

『はい。対空技を使っても良いですよ?。』

『そんなこと言って、使ったらギリギリ躱して投げ技してくるだろ。』

『えへへ。バレてましたか。』


 飛び道具をジャンプで躱す灯月。

 弱、中、強で威力と速度を変えても壁を利用した三角跳びで調節してくる、試しに空中にいる灯月に対空技を使っても紙一重で当たらない距離をキープされ無防備になった所に投げ技からのコンボ攻撃で反撃された。


『くぅ。痛いな。HPが半分になっちまった。』

『そうですよ。不用意に隙を見せるからです。』


 そのまま、灯月のジャンプを繰り返すスタイルのまま、一ラウンドを持っていかれた。


『強いな。灯月。』

『えへへ。沢山練習したんですよ!。』

『相変わらず負けず嫌いだな。』


 それは俺もだが。


『次は俺の番だな。』


 同じくジャンプを繰り返す灯月に対し、俺は接近する。


『あう。近すぎです。ジャンプ出来ないですよ…。』

『接近戦に持ち込む。』

『痛い!。止めて下さい!。にぃ様!。ハメ技はズルいです。』

『いやいや、接近しないとお前のキャラの方が有利じゃん。それに壁際に追い込んでる訳じゃないんだから良いだろう?。』

『むぅ。これなら!。』


 ボタン連打の連続蹴り。


『おっ!?。良いのか?。じゃあ遠慮無く。』

『あっ…やっちゃった。うにゃあああああぁぁぁぁぁ!?。』


 連続蹴りで動けなくなった所に必殺技を直撃させる。

 一瞬で灯月のHPが消えてしまった。


『勝ちだ。』

『うぅ…。負けたぁ…。最後!。にぃ様!。最後の勝負が残ってます!。』

『おう。じゃあ、最後は全力の全力だ!。』

『え?。』


 コンボ!。


『あうっ!。』


 二コンボ!。


『きゃうっ!?。』


 コンボ!。コンボ!。コンボ!。


『やめて。やめて。にぃ様!。無理です!。無理!。死んじゃう!。死んじゃう!。反撃できない!。何も出来ずに死んじゃいますよおおおおおぉぉぉぉぉ…。』


 KO!。WIN!。


 俺の画面が煌びやかに輝き勝利を演出する。


『……………。』


 逆に灯月画面はボコボコになった使用キャラが泣いていた。


『勝ちだ。』

『お兄ちゃん…の、バカ。』

『ご、ごめんって。』


 にぃ様呼びを止めるくらい悔しかったのか…。目に涙を溜めて。イジメ過ぎたか?。


『慰めて。頭撫でて。抱っこして。チューして。■■■して。朝まで■■■してくれたら許す。』

『要求を過激にしていくな。ほら、勝負は止めて次のゲームしよう。』


 灯月の頭を撫でてやり、手を引いて立たせる。ついでに軽く抱きしめてやった。


『にぃ様~。大好き~。』

『ちょろっ!?。まぁ…機嫌が治ったんなら良いや。そうだ。睦美はそろそろ何か決めたか?。』 

『はい。旦那様。私はゲームがあまり得意ではないので、これを旦那様とやりたいです。』


 睦美が指差した先には恋愛相性診断と書かれた機械が置かれていた。


『これか?。えっと何々?。』


 男女で画面に表示される必要事項を記入。

 手元にある手形に合わせて手を置き、二人同時に中央にある♡のボタンを押すとスタート。

 結果。相性を%で表示。現在と未来の状態と行く末を診断してくれる。らしい。


『へぇ。こんなのもあるのか?。』


 相性占いみたいなもんだよな?。

 半信半疑だが、睦美がやりたいって言うなら付き合おう。


『じゃあ、やるか、えーと。ここに色々と記入していくんだな。』

『はい。性別…名前…生年月日…年齢…。』


 睦美と並んで画面に入力していく。

 項目は二十個近くあり、全て埋めるのに時間が掛かった。


『これで良し。で、ここに手を置いて。このボタンを一緒に押すんだな。』

『そうみたいですね。旦那様。一緒に。』

『ああ。一緒にな。』

『『せ~の。』』ポチっとな。


 ピッ。ピッ。ピッ。ピッ。ピッ。ピッ。

 機械音が鳴り続く。画面がけたたましく輝く。

 

『ドキドキしますね。』

『ああ…何か、凄いな…。』


 そして、その時が来た。結果は…。


『あ、相性…120%…。』

『120!?。100%がMAXじゃないのかよ。』

『あっ。何か書かれています。えっと。』


 相性バツグンのカップルです。

 男性の方は彼女を心から愛しており、彼女のためなら自分の持つ全てを捧げても良いと考えています。

 女性の方も同じ、彼氏に全てを捧げ献身的に尽くしたいと考えています。深い愛情故に愛する彼氏の行動全てが愛おしく可愛く見え、片時も離れず共に居たいと心から思っている。

 ぶっちゃけ、ベストカップル。もう死ぬまで一緒にいやがれクソカップルが!。って感じです。


『何か最後投げやりじゃないか?。』

『ですが、ふふ。嬉しい結果でした。』

『まぁ、当たり前のことしか書いてないけどな、今更だろう?。俺は睦美のことを心から愛しているからな。』

『旦那様…私もです。永遠に…お慕い致しております。今までも此れからも。』

『睦美…。』

『旦那様…。』

『ぷぅ。別に良いですよ。お二人の気持ちは皆さん知っていることですし。けど、にぃ様。私とも相性診断して下さい。ラブラブしたいです。』

『灯月もするのか?。俺は構わないよ。』

『やった。』


 灯月と睦美の位置が入れ替わる。

 必要事項を記入。さて、何が出るかな?。


『出ました!。えっと…えっと…。』

『何々?。』


 相性診断…結果。

 相性…100%。

 義兄の為ならどんなこともする狂喜の義妹。

 時に暴走するが、義兄の言うことは聞くため制御可能。

 対し、義妹の暴走に振り回される義兄。

 しかし、その義妹を心の底から大切に思っており大抵のことを受け入れてしまう。そんなやり取りを幸せに感じる仲の良い兄妹である。

 普段は義妹に振り回されている義兄だが、抑えている欲情、気持ちが溢れ出た時、立場は逆転することになるであろう。

 その時…最後に立っているもは義兄か義妹か。


『やった。やりました!。相性100%です。えへへ。やっぱり、お兄ちゃんと私は結ばれる運命なんですね。』


 何で義兄、義妹って分かるんだ?。この機械は?。具体的過ぎない?。


『は、ははは。この結果も当然だ。ちゃんと想いを告げるって言っただろ?。』

『お兄…にぃ様ぁ。』

『良かったですね。灯月。』

『はい。睦美ちゃんも。』


 ガコンッ。

 大きな音を立て、ゲーム終了の合図を告げる音楽が流れる。


『悔しいが、負けだ…。強いな。夢伽。』

『えへへ。実はこういうの得意なんですよ。』


 どうやら、夢伽と八雲のエアホッケーも勝負がついたようだ。


『むぅ。しかし、負けっぱなしは我慢できんな。』

『私は良いですよ。何をしますか?。』

『そうだな…卓球何てどうだ?。』

『良いですね。やりましょう!。』

『卓球ですか。にぃ様。睦美ちゃん。私達もやりましょうよ。』

『ああ。』

『ふふ。卓球は久し振りです。』


 俺達は揃って卓球台の方に移動する。


『夢伽。もう一度勝負だ。今度は勝つ。』

『はい。今度も負けません。』


 ラケットを持った灯月が位置につく。


『にぃ様。特殊ルールを設けましょう。』

『特殊ルール?。』


 嫌な予感が…。


『はい。ワンポイント取る毎に負けた方が1枚脱ぐ!。脱衣卓球です!。』

『やっぱりそっち系だった!。』

『因みに私はこの浴衣の下には何も着けていませんので、にぃ様はワンポイント取るだけで私の裸体を楽しめますので。』

『またかよっ!?。いや、まだ、スリッパを…。』

『ふふ。既に脱いでおります。』

『用意周到!?。』


 綺麗に揃えられたスリッパ。

 コイツ…狙ってやがった。


『どうですか?。』

『ええ。嫌だよ。』

『えっ!?。何故ですか!?。にぃ様!?。』

『こんなところで裸になろうとするな。睦美。灯月の相手をしてやってくれ。』

『畏まりました。旦那様。』

『そんな…にぃ様………むぅ。もう、良いです!。睦美ちゃん勝負しましょう!。真のヒロインを賭けて!。』

『真のヒロイン…良いじゃろう。旦那様の正妻の力、見せてやろう!。』

『っ!?。正妻は私です!。』

『ワシじゃ!。』

『俺は審判でもやってるかな。』


 互いに位置についた灯月と睦美。

 後ろでは八雲と夢伽が各々に対峙する。


『ふふ。睦美ちゃん。ちょっとした特別ルールにしませんか?。』

『特別ルール?。好きじゃな?。そういうの。』

『ええ。勿論です。ルールは簡単。球を打ち返す毎に互いに普段胸にしまっている気持ちを叫びます。私は睦美ちゃんに対し思っていることを、睦美ちゃんは私に思っていることを叫ぶんです。』

『ほぉ。普段言えない本音を語らう場にしようと言う訳か?。』

『その通りです。』

『ふっ。良いじゃろう。その提案乗ってやる。』


 ラケットを片手に球を構える睦美。


『行くぞ。灯月。』

『はい。どうぞ。』


 高く上がる球。

 振りかぶったラケット。


『くたばれっ!。巨乳ぅ!。』

『なっ!。』


 物凄いスピードで放たれた球は台の上に焦げ跡を残して灯月後方の壁にめり込んだ。


『ちょっと!。睦美ちゃん!?。何ですか今のは!?。』

『胸の内を放っただけじゃ!。覚悟せよ!。』

『……………。分かりました。貴女がその気なら。こちらも本気です!。』


 うん。こっちは平和だな。

 さて、こっちは?。


『ほぉ…なるほど。良いな。それ。夢伽。』

『ん?。何でしょう?。』

『私達も特殊ルールを採用しよう。』

『お姉さん達の真似ですね。どんなルールですか?。』

『球を打つ度に…神さまが好きなものを言う。というのはどうだろう?。』


 はい?。


『おお!。良いですね!。つまり、打ち続けお兄さんの好きなものを多く言った方が、よりお兄さんのことを好きってことですね!。』

『その通りだ。では、決まりだな。行くぞ!。』

『はい!。いつでもどうぞ!。』

『はっ!。【ゲーム】!。』


 ゲームは大好きだ。あってる。

 打った球がバウンドし夢伽のコートに。


『えっと。【ランニング】。』


 毎朝続けているからな。

 好きと言えば好きだな。好きじゃないと続けられないし。


『【ハンバーグ】!。』

『【お刺身】!。』

『【耳掻き】!。』

『【マッサージ】!。』


 次々と発せられる俺の好きなもの。

 二人とも良く知ってるなぁ。


『やりますね!。八雲お姉さん!。なら、とっておきです!。【私達】!。』


 私達。恋人達ってことか。

 ああ。好きだ。世界で一番な。


『ほぉ。そこに踏み入るか!。負けんぞ!。【うなじ】!。』


 何か、部位の名前を言い始めたぞ?。

 嫌な予感が…。


『【お尻】!。』

『【おっぱい】!。』


 あっ…ヤバい…。 


『【■■■】!。』

『【ぴーー】!。』

『【■■■■】!。』

『【ぴーーー】!。』

『【■■■■■】!。』

『【ぴーーーー】!。』

『すとーーーーーっぷ!!!。』


 飛び交う球を空中で掴む。


『え?。どうしたんですか?。お兄さん?。』

『神さま?。』

『流石に恥ずかし過ぎるって。止めよう。二人とも。』

『分かりました。止めます。』

『お兄さんがそう言うなら。』

『今度はお前達と遊びたい。向こうに行こう。』

『っ!。はいっ!。』

『嬉しいです。』


 灯月達はどうかな?。


『【旦那様は、私のだあああぁぁぁ!!!。】』

『【私のお兄ちゃんだあああぁぁぁ!!!。】』

『【私のだもんっ!!!】』

『【私のっ!。】』


 うん。審判は必要ないな。


『神さま。何をしますか?。』

『お兄さんが、決めて良いですよ!。』

『そうか?。なら…。』


 俺が選んだのはぬいぐるみが沢山入っているクレーンゲームだ。

 二人には今まであまりプレゼントをあげられていなかったから、この機に思い出が残せればと考えた。


『クレーンゲームですか?。』

『可愛いぬいぐるみがいっぱいです!。』

『とってやるよ。どれが良い?。』

『良いんですか?。』

『神さま?。』

『ああ。俺からのプレゼントだ。好きなの選んでくれ。頑張って取るから。』

『やった!。では、私はあのドラゴンのぬいぐるみをお願いします。』

『ん?。あのドラゴンか?。』

『はい。なんか…クミシャルナさんに似ているので。綺麗で…。格好いい。』

『そう言うことなら。神さま。私はあの金魚をお願いしたいです。ひらひらして可愛い。』

『ドラゴンに金魚な。了解。ちょっと待っててな。』


 お金を入れるとクレーンが動かせるようになる。


『この辺かな?。』

『あっ。凄いです!。ぴったり。』

『流石です!。神さま!。一回で取れちゃいました!。しかも、二つ繋がったままで!。』『偶然、引っ掛かるなんてお兄さん凄い運です!。』


 このクレーンゲーム。アームの力が強すぎないか?。ワンコインで取れたぞ?。

 正直、二十回くらいは覚悟していたんだけど。

 まぁ。何はともあれ。


『ほら。二人とも。これ。』

『わぁ!。ありがとうございます!。お兄さん!。』

『大事にします!。神さま!。ありがとう!。』


 嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめる二人。

 二人を眺めていると、今度は、景品ではなく。ちゃんとしたプレゼントを贈りたいと思ってしまう。


『えへへ。可愛い。宝物が増えちゃいました。』

『うん。可愛い。今日から一緒に寝よう。』

『さて、灯月達は…。』


 そろそろ部屋に戻るか。

 灯月と睦美の方を見ると。

 そこには、互いに浴衣が乱れて、はだけた状態で倒れた睦美と灯月がいた。


『ふ。やりますね。睦美ちゃん。ここまでやるとは、正直驚きました。』

『はは。お前こそな。ワシを本気にさせるとは恐れ入る。』

『ふふ。』

『はは。』

『『ははははは!!!。』』


 何あれ?。

 不良同士が喧嘩の末に互いを認め合った後みたいになってる。

 男の友情?。


 その後、倒れている睦美と灯月を回収し俺達は部屋へと戻った。

次回の投稿は14日の日曜日を予定しています。

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